天使のてんちゃん
星乃秋穂(ほしのあきほ)
第1話 天使のてんちゃん参上
天使のてんちゃん参上
加々見良子(84)天寿を全うし天国で暮らしていた。しかし、もうそろそろ下界で修業
してくださいと言われたのである。今日は神様の面談で次の生まれ変わりを相談する事に
なっていた。
椅子に腰かけ待っていた。すると面談室に5歳くらいの男の子がやってきた。ブルドックのソースのTシャツにズボンのポッケにもブルドック、ぬいぐるみもブルドック。
「おや、ぼくちゃんも神様の面談があるのね」
「違いまちゅ、あなたの面談をしに来ました。天使のてんちゃんでしゅよろしく」
「え?神様はどうしたんですか?」
「夏季休暇中でしゅ」
「え?神様って休めるの」
「神様からのお手紙預かってましゅ。どうじょ」
加々見さん。今日から三日間、夏休みを取らせてもらいました。健康のために海で泳ごうと他の同僚と楽しみに行ってきますね。てんちゃん。天使の資格を習得しているので安心してください。多少わがままですがいい子ですよ。
そんな手紙をもらった。
「んで、てんちゃん。加々見しゃんになってもらいたい動物あるの」
「私は、普通の人間でいいですよ。」
「えー。つまらないでしゅ」
「じゃあ何にしてくれるの」
「犬」
若干、加々見さんは戸惑った。犬ね・・・。まあいいか。
「かわいい。犬にしてくれるのならいいわ」
「かわいいでしゅよー。ブルドック」
「は?」
「てんちゃん。神様のお手伝いだから、一番好きな動物にさせたいの。きっと可愛いよ」
可愛くない。犬でもチワワやトイプードル。柴犬など色々あるではないか。
「嫌です。」
「自分のお顔見てください。お笑い芸人になりたいんでしゅか」
子供は残酷なことを平気で言う。そして、残酷なこともする。てんちゃんは書類を書きポンとはんこを押した。加々見さんはそのまま下界に落ちていった。するとひ孫の飼っている犬がブルドックだった。雌犬で妊娠していた。その中に紛れ込んだ。今後どうなるかわからないがいい飼い主がみつかるようにと神様が手回しをしている。
次の未来は、きっと前より良くなりますようにと、てんちゃんは見送った。
おわり
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます