毒親みさこ

@tasyrya

第1話

 私のいちばん最初の記憶・・・


 と言われて思い出すのは、団地のコンクリートの無機質な間取りに照らされる夕陽に、母の握りしめたカレースプーン。

 ズキズキと痛む頭のペタッと湿った部分を指で探り、それを確認すると指にほんのりついている薄赤い血。


「死んじゃう」

と恐怖と寂しさと不安で涙声でつぶやく私に「死ぬなら死ね!」と鬼の形相で切り捨てる母。


 2歳の記憶。



思い返すと子供の頃の記憶に母の笑顔の思い出がない。

いつも不機嫌そうで、口をへの字に曲げてイライラしていた。

私が何をしても、何を話しても、楽しそうに笑う母の記憶がない。

「お前はできない」「お前には無理」「どうせお前なんか」という言葉しか思い出せない。


そして何かで怒りの火がつき、私を罵倒する時に必ず聞く言葉は

「お前なんか産まなきゃよかった」


全部幼稚園に行った頃の記憶。






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