お前の彼女、寝取ってやったぜw

うにどん

本編

『ワリィw お前の彼女、寝取ったw』


「はあ・・・・・・?」


 電話越しから聞こえる声は凄く弾んでいた。


 この日は休日。

 買ったゲームをスマホで攻略情報を見ながらやっていたら、いきなりの着信。

 友人とのやりとりは殆どラインでやっていたから電話だなんて珍しいと思いながら相手の名前を見て、俺は「うげっ!」と声に出した。

 相手は自称・クラスの人気者からだ。

 コイツとは入学したばかりの時に仲良くなったものの、時が経つにつれ見下すような発言をしてきたり自分の好きなものをバカにしたり、とにかく放漫な態度が目につくようになったから俺はコイツと距離を取った、今ではコイツから俺にウザ絡みしてきては言いたい事を言って去るという妙な関係が続いている。

 そんな相手からの電話、当然、俺は無視した。

 着信拒否してやろうと考えたが、したらしたで絡まれるのが目に見えているので辞めた。

 結局、無視しても何度も何度もかけ直してくるから観念して出たら、最初の一言がお前の彼女、寝取ったである。


「はあ・・・・・・?」


『いやぁ~w お前の彼女さん、お前より俺が良いってw』


「何か勘違いしてるようだから言うけど、俺、付き合ってる奴、彼女なんていないぜ」


 彼女を寝取ったと言われた時、俺が思ったのは何を言ってるんだコイツだった。

 俺はどちらかと言うと彼女を欲しいと思ってない、どちらかと言うと友人と遊んでいた方が良いと思っている。俺の友人達もそんな感じで休みの日はよく遊びに出掛けて居る事が多い。

 だから、俺には彼女はいない。


『おいおいw 寝取られたからって記憶改変してんじゃねえよw 四六時中、いつも一緒に居たじゃねえかw まあ、お前はお友達とのお喋りでまっったく相手にしてなかったけどなwww』


「・・・・・・なあ、その子、どういう子?」


『ぷっは~www 自分の彼女いや今は俺の彼女かw 元カノのことを知らない奴なんて居るかよw 黒髪のおさげでいつも黒いセーラー服着てる子だよw』


「黒いセーラー? 可笑しくないか?」


『はっ?』


「俺と四六時中、一緒に居たって事はその子は俺達と同じ学校の子だよな? 俺達の学校の女子の制服って、黒いセーラーじゃないよな?」


 俺は疑問に思ったことを話す。

 俺達の学校は男子も女子もブレザー、色は茶色。

 例え、転校してきたばかりでまだ制服が出来上がってない場合は前の学校の制服で来ると思う、だけど、入学してから転校生の話題なんて一切聞いてない。

 この話をしたら、流石に彼奴も狼狽えていた。


『い、いや、で、でも、他校の生徒かもしれないだろう!?』


「じゃあ質問、その子と初めて会ったのは何処だ?」


『え、あ、が、学校。お前に無視されたって泣いてたのを俺が・・・・・・』


「へえ~、学校で会ったのか。それなら、その子は他校からの侵入者になるな」


『あ、あああ・・・・・・』


「四六時中、俺と居たって事は教室にも居たってことだよな。他校の制服を着た子が教室に居るってなったら誰もが気付くし大騒ぎになると思うんだよな~」


『・・・・・・・・・・・・なあ、俺と一緒に居る女はなんなんだよ。教えろよ!!!!!!』


「知らねえよ」


 俺はそう言って電話を切った。

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