61話スージィ・クラウド大いに憤る
「……は?…………は?!・・・はぁ?!!はぁあぁぁ~~~~~っ?!!!!」
信じらんない!信じらんないぞコイツ!!
「アーヴィン何言ってんの?!そのまま逃がした?放流した?!リリースした?!意味ワッカンないンですけど!わっかんないンですけ、どぉおっっ?!!」
「ま、まてスージィ!まずは落ち着け!」
「落ち着け?!まずは説明が先でしょうが?!釈明義務を果たしなさいよ?!よぉーーしっ!歯ぁ喰いしばれ!取りあえず一発
「ミアッ!!」
「スーちゃん!
「はにゅムぷゅ!みゅみゅヌ!!」
アーヴィンを一撫でしてやろうか!と足を踏み出す寸前、咄嗟に駄肉ホールドに捕えられ動きを封じられてしまった!
おのれぃアーヴィンめ!明らかにホッとした顔しやがって!!
命拾いしやがったな!
取り敢えず足を前へ進めるのは諦めるが、口は開かせて頂く!
ええ!この場から動きゃしませんけどね!むにゅぅ!
「そこで捕まえてれば、全部丸っと解決だった、じゃん!!」
むむにゅむ。
「無理だって、あそこで捕まえるのは流石に無理があるって!」
「アーヴィンのクセにナニ常識的な事、言ってんの?にゅむ!」
「酷くね?!」
アーヴィンのクセに、ショックを受けた様な顔をしおる。
だがわたしは知っているゾ!それがパフォーマンスだという事を!
特に何とも思ってもいないクセに、一応外面だけは体裁を整える物だと、ビビに指導を受けている事を!!むむむにゅ!
「最初は捕まえて全部吐かせようと思ってたんだよ。だけど向こうがベラベラ喋ってくれたしさ。捕まえておくだけの理由も無いじゃん?」
にゅむ、むにゅにゅ。
「それにさ、どうも姐御がアイツらの動きを把握してたらしい事を思い出してさ。コイツ等は泳がしておいた方がいいのか?と思ったんだよ。姐御の事だからどうせ裏なんかは取ってるんだろうし」
「にゅむ?」
「その後直ぐに総領事に報告に言ったら、用意していた警護の人等を速攻で送り出してたしな」
「準備は整っていたって事よ!」
「ビビ?」
「ご報告が遅くなり大変申し訳ございませんでしたお嬢様!」
「アンナメリー迄?」
アンナメリーの話では、叔父様だけでなく、衛士隊やら、騎士団やらデケンベルの都市防衛組織までもが動いているとか何とか。
ふむふむにゅむふむ……?
「要するに、そいつらの関わっている裏帳簿とか顧客リストとかが必要だから、裏を取る為に泳がせている……、と?」
「ご明察で御座いますお嬢様。更に、複数存在するアジトの何処に機密が隠されているのか?それも探らねばなりません」
そんな物は「片っぱしから潰しちゃえば良いのに……」とぼそりと言ったら。「流石に人員が足りません」とアンナメリーに真顔で答えられた。
まあ街中を虱潰しにしなきゃいけないんだもの、そりゃそうなんだけどね!
要するに今回の出来事は、元から予測された想定の範囲内ってヤツだから、わたしは気にする必要はない。大人しく静かにしていなさいって事らしい。
ふみゅ……。
「そう…………そうです、か。わかりまし、た」
わたしはミアからゆっくり離れ……実に名残惜しいが……。ラウンジの出口へと足を向けた。
「では、わたしは今夜はもう休み、ます」
「…………アンタ。ホントに分かったの?!」
「分かりました、よ?それじゃ、おやすみぃ」
「「「…………」」」
何故か皆んなが胡乱な目を向けてくるが、わたしは気にせず自分の部屋へと急いで向かうのだ。
まあ、何をやっているのかが分かったからと言って、何もしないかと言うとそんな事は無いわけで!ウム!!
なる程ね、叔父様も動かれているという事なんだよね。
アニーにまで累が及んでいるのだから、当然と言えば当然と言うべきなのだが……。
ならばここは直接叔父様に伺うか?
でもこんな時間に、お屋敷にお邪魔する訳にいかないのは分かっている。
大体もう21時になろうと言う時刻だ。
今外に出れば、完全に門限破りだ。
門限がとっくに過ぎているのに、そんな事をすれば寮を抜け出したと思われる。
実際抜け出すんだけどさっ!
そうなれば、不必要なご心配をおかけする事になってしまう。
それは出来れば避けたい所だ……。少なくとも今は!うむ!
ならば明日あさイチで……って、そんな悠長に待つ気はない!
それじゃ遅いから、今夜動くつもりなんだから!
もし万が一、夜中にでも襲撃をされたらどうすんのさ?
叔父様が手配をされた警備が後れを取るとは思わないが、それでも!そんなものは無いに越したことは無いのだ。
なによりも、カレンや双子ちゃん達にこれ以上怖い思いなどさせられない。
誰が何と言おうと、今夜中に憂いは断っておくべきなのだ!
実力行使あるのみ!ってヤツよ!謂わば!!
ンでも、相手の情報が皆無なのが問題なんだよねーー。
闇雲に繁華街とかスラム近辺を探したとして、今夜中に目当てが見つかるとは思えない。
いっその事、前に思った様にあの辺りを更地にしてやりたい所だけど、流石にそういう訳にもいかないもんね。ビビの冷たい目が幻視されてしまう。
わかってますわよ、致しませんわよそんな事は!
さてさて、どうしたものか……そう言えばアーヴィンの話しだと、例の『姐御』が情報を掴んでいた様な口ぶりだったとか?……ふむ。
あ、あとアレもひょっとして使えるか?ちょいと当たってみよかな。
さて、夜のお出かけの方針も決まった事だし、ちょいと支度でも整えるか。
さすがに制服でうろつく訳にも行かないもんね!
村から持って来た物もそれなりに目立つしなぁ。
ヒラヒラのスカートで繁華街やスラムを歩いて、人目を引くなって方が無理だよね。
でもそれ以外の狩り装備とかは、全部アンナメリー預かりだし……。
…………しょうがない、久々にインベントリから装備を引っ張り出すか。何が良いかな?
やっぱこれが無難かなぁ……ゼロランクの軽装備『ハードレザーアーマー』
これならまあ、目立つ事も無いと思うんだ。
ミニスカ仕様のワンピっぽい作りで、色は渋めのモスグリーンだから比較的地味だと思う。腰回りを絞める煉瓦色の太い革ベルトが、ちょっとしたポイントだ。
前部を留めるのは2本のトグルボタン。
それが3か所付いていて、これが結構カワイイ。
足元は、踝が隠れる位の編み上げショートブーツ。色はチョコレートでヒールは5センチくらい?
そしてチャコールグレイのオーバーニーソックス。絶対領域はちょっとだけ広めだ。
この革装備ならなら、まあ余り目立たないだろう。
若い女ハンター辺りに見てくれるんじゃないだろか?
流石にお嬢様学校の、ミリアの生徒と思われる事は無いだろうな。ウン!
さて!それじゃコレから、夜のお掃除と洒落込みますかね!
◇◇◇◇◇
「消えた!」
「ビビちゃん!ホントに消えたよ!?」
「ミア!急いで部屋へ向かうわよ!」
「うん!」
「やっぱり居ない!……窓からか!」
「でもビックリだね、本当に気配が無くなるんだもん」
「御頭首が言った通りだったわ!『スージィは気配を完全に消す』って!」
「これは抜け出しても見付けられないよねぇ」
「ラウンジから、やけにアッサリ引き上げたから怪しいとは思ってたけど!」
「何も、やらかさなけりゃ良いんだけどね……。無理か」
「もう、やらかす確信しかしないわよ!」
「それじゃ!しょうがないからスーちゃんの代わりにベッドに入って、寮監様の目を誤魔化すねっ!!」
「何言ってんの!アンタじゃ身長的にバレるわよ!アタシが残るから、アンタはアタシのベッド工作お願い!」
「ぅえ?!そ、そんな……、折角スーちゃんベッドを堪能する機会……」
「戻って来たら、小言の一つや二つや三つや四つ!タップリ聞かせてやるわ!」
「ぅぐう……、スーちゃんの温もりをぉ……」
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