幕間

幕間1 海へ行こうよ!

「イヤッフゥーーーーーッッ!!一番乗りぃぃーーー!!」


 ダーナが真っ先に、チェリーピンクのビキニで布地の少ないお尻を震わせながら、波間へと向かい走って行った。


「ああ!ダーナ!抜け駆けズルいよ!!」


 カーラが走り始めたダーナに向かい、ドンッ!と砂地を蹴って向かって行く。


 カーラの水着は白と瑠璃色の細かいストライプが入ったホルターネックのビキニだ。

 そのままダーナの脇を駆け抜け、その速度の衝撃でダーナを吹き飛ばした。


 カーラを追いかけて、アリシアとジェシカも波間へと走って行く。


 アリシアはこれも、背中と脇が大きく開いた大人っぽい白いホルターネックのワンピース。いつもの様にポニーテールを揺らしながら海に向かって走ってる。

 ジェシカは、そのスタイルの良さを余す事無く見せつける黒いマイクロビキニで、いつもは両側に降ろしている三つ編みを纏め、お団子にして頭の両脇に留めていた。

 二人もバシャバシャと波間まで走り、しおの飛沫を上げている。


「スーも早くおいでーー!!」


 カーラ達が波間からわたしを呼んでいる。


 ダーナが吹き飛ばされた先で、砂に突っ込んだ頭を引き摺り出し、ぷひゃぁー!と大きく息を吐き出した。


「ヒドイよ!カーラぁ!!」


 口から砂を、ペッペッと吐き出しながら叫んだ。


 サラッサラで眩しい位に白い砂浜。

 突き抜けるディープスカイブルーの空に、白く立ち上がる大きな入道雲は夏の空そのものだ。

 キラキラとしたエメラルドグリーンの海はやはり眩しくて、その波音は耳に心地良い。


「スーちゃん行こうよ!」


 海に見惚れていると、隣に立って居るミアに声を掛けられた。


 ……ミアは、む、胸元にV字の切れ込みの入っているチューブトップのビキニだ!

 ナニソレ!?零れないの?ズレ落ち無いの?!

 只でさえデッカイ堕肉が、ムッチャ強調されてゆわよっ!

 布地も菫色すみれいろのストライプとか入っていて妙に大人っぽくて、ィろッぽい!

 鼻先に突き出されたら、目が離せなくなっちゃうじゃにゃい!!


 それでも思わず自分の胸元を手で押え、納得出来ない物も感じてしまうにょだ!


「今更押えても何にも変わらないわよ!」


 と、後ろで囁く不埒もの!!

 振り返れば奴がいる!そう!ビビだ!!


 ビビは、白い水玉の入った鮮やかなペパーミントグリーンの水着を着ている。

 背中は大きく開いているけど、小さいスカートが可愛いワンピースだ。

 胸元の大きなリボンがポイントかな?


 いつもはそのまま後ろに流している髪を、頭の両側で纏めツインテールにして、その上から大きな麦わら帽子を被っていた。

 ベア子ってばナニやらお嬢様っぽさが全開だわよっ!?


 尤もビビってば本物のお嬢様なのよね!

 この砂浜もクロキ家のプライベートビーチだし。

 ここ、ニューノックスポートでの宿泊先も、クロキ家の別宅だし。

 流石アムカム御三家の一つ、クロキ家のお嬢様!ってな事を言ったら「アンタがそれを言う?」と不審げな顔で言われてしまったのだけれど……ン?なんでよ?


 まあ!今はそんな事よりも、問題はベア子の不埒な発言ですよ!!

 大体にして、わたしには納得の行かない事案があったのだ!!


「おかしい、わたしは、Cの筈なのに・・・なんでコレは、Bなの?!」


 わたしの水着は可愛い菜の花色のビキニだ。

 Vゾーンのカットが中々に際どい。

 でも上下のパーツに付いている大きめのフリルが、イヤラシさでは無く愛らしさを強調し、中々に可憐なデザインに仕上がっていて気に入っている。

 だが、問題はそのサイズだ。

 そうなのだ、普段装着している下着は伸縮性のあるフリーサイズで、明確な明記は無いがCの筈なのだ!

 なのに!この水着はピタリとフィットしているのに、何故かサイズはBだ!納得がいかない!!


「は?何言ってんの?アンタCまで無いでしょ?!」

「な!?あ、あるもの!し、Cマイナスの筈だから、Cだもの!」

「だ・か・ら!Cマイナスなんて存在してないわよ!アンタのそれはBなのよ!!」


『ガ・ガーーーン!!』と描き文字が頭の上に落ちて来た!


「いい?!アンタはBなのよ!B!!」


 と、ベア子は左手を腰に当て、右の人差し指をわたしに突きつけて来る。

 わたしは力なく両手を地に付けてしまった。あう!


「しっかと自覚なさい!自分がBだと云う事を!!」

「な・・・そんな、そんなリボンで、誤魔化して、も!無いのは、変わらない、し!!」


 はぐぅ!と両手で胸元を抑えビビが一歩下った。


「あ、ありますから!ア、アタシちゃんとありますから!!」

「わ、わたし、は、ちゃんと、掴める、し!」

「ア、アタシだって!つ、掴めるしぃ?!!」

「ウソ!ビビは、嘘を、付いて、いる!」


 今度は、わたしが立ち上がってベア子に指を突きつけてやった!

 異議ありぃっっ!!


「う、嘘じゃ無いもの!つ、掴めるもの!」

「掴めるワケ、無い!し!!」

「な、な、な!び、Bと!い、幾らも変わらないし!た、大差無いしぃ!?大体!アンタだってフリルで誤魔化してるし!!」

「ひぎゅっ!」


 あるし!ないし!掴めるし!掴めないし! と、その後わたしとベア子がお互い涙目になりながら泥仕合に突入して行くと……。


「ふ、二人とも落ち着いて!ね?そんな事、ケンカする事じゃないよ?大した事じゃ無いよ?ね?落ち着こう?」


 と、とんでもない爆弾を落として来た者に、二人で涙目のまま、キッ!と睨めつけた。


「「お前が!言うなぁ!!!!」」


 と、目の前でたわわに左右で揺れている、只無駄にデッカいだけの堕肉を、二人で同時に思いっきり掴んで握り込んでやった!


「はンぎゅっ!んぁ!ン~~~~~っぃんんンっ!!」

「「うぁわあ~~~~~~~ん!!」」


 二人で泣きながら揉みまくったさっ!


「ン!だめょぉ!ンぎゅ!ふたりともぉぉおぉーーンんっ!ビビちゃぁン!スーちゃんンーーっん!んぎゅぅん!だめぇぇえっン!」



「何をやってるのかしらね、この子達は……」


 コリンの水着は、色とりどりの小さな三角や、ジグザグの模様が整然と並んだデザインで、なんかアフリカっぽい(?)布地で作られたクロスホルターのビキニだ。

 パレオを巻いて品よくチェアーに座ってる。


 丸太で作ったビーチハウスの日影の下では、ジェシカの妹のジャニスと一緒にビーチチェアで冷えたソフトドリンクを飲みながら、呆れた様に呟いてた。


 ぬぅ……コリン。隠れ巨乳だと言うのが今日判ったわよ!涙が一滴余分に落ちた!


「こ、こんな!こんな物!もげちゃえ!もげちゃいなさいぃ!!」

「にゅ!お、おっきいの!おっきいン!ぐひンん!こんな、こんなのぉお!おっきいのおぉぉ!」

「だ、ダメぇ!もいじゃダメだっからぁンーーぁん!そ、そこ摘ん……ひン!にゅぁんン!!ダメよぉおぉーーーっ!」


 わたしとビビの悲痛に泣き喚く声と、ミアの悲鳴だか嬌声だか分らない声が波音の合間に響き渡っていた。

 それはダーナが参戦し、わたしのビキニトップが奪い取られるまで続いたのだった。

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次回「狩りへ行こうよ!」

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