パーツの過不足

おしゃんしゃい

ダイレクトアタック

その昔私も子どもであり、まだまだ経験も知識も無く、無邪気に生命を刈り取っていました。

昆虫採集って夏休みにやったりしますが、まぁ大量虐殺であり、昆虫からしたらたまったもんじゃない。

何というか相手も生きているし、やる事やって子孫も残す。その為にはやはり格下殺して餌にする。ただ、無意味に殺すのではなく、生きる為にやるんだけどね。


さて、その全力で生きてる昆虫さんですが、概ね狙われる対象は決まっており、地上では僅かな活動時間しかないセミが狙われます。私も狙いました。

そこでお互いに悲劇が起きたのです……


ある時いつもの様にアミと虫かごさげて獲物を探していました。すると、見たこと無い色のセミを見つけ、興奮気味に新種?とか思って、勢いよくアミを振り回し見事に捕獲したのでした。

昆虫採集する子どもなんて大概獲物を手掴みしますよね?私も【ダイレクト】に手に取って、その成果を確認しようとしたのです……したのですよ……

セミ、確かにセミ、背中というか羽の根元から頭近辺に【異物】が付着していたのです……

新種?とか思ったのは、この異物のせいで色が違って見えたからだったのです。私の記憶では、緑系統でつぶつぶとした感じだったと思います。それをダイレクトに掴んだのです……絶叫して投げ捨てました。

ダイレクトアタックを(自ら)くらって、急いで家に帰り、とにかく必死に手を洗いました。

それ以降私はセミを捕まえた事は一度もありません。

本来無いはずのパーツがあるだけで、セミは寄生虫とか菌類とかにやられやすいので、自分にも感染るのではないか?という恐怖心でいっぱいでした。


夏の恐怖体験で昆虫が少し怖くなりましたが、そこは子どもですし、秋頃にはまた昆虫採集していました。

秋といえばトンボ

もう……あーとかおもった?

ええ……アミを振り回しトンボを捉えた時、少し慎重に確認してからカゴへ入れようとした時、それは起きました……無いのです……アレが無いのです……

ヘッド!くるくるメガネのついている頭が無かったのです。乱暴にアミを振り回した結果何処かへ飛ばしてしまったようなのです。まぁそれだけなら可哀想では有りますが、特筆すべきことはありません。そやつ……飛びやがったんです……はい……また悲鳴を上げて逃げました。


後日もう空飛ぶヤツはやめて、カッコいいカマキリを狙う事にしたのですが、やらかしたんです……

カマキリは植物の茎の所に何というかふわふわシュワシュワっとしたやつをくっつけて、その中に卵を産み付けます。何と!たまたまそれを発見してしまい、喜び勇んで家へと持ち帰り、【机の引き出しへ】と大事に片付けたのでした。

もうおわかりですね?カマキリって一気に大量の卵がかえるんですよ……

ある日机の引き出しを開けると、バッと大量の何かが飛び出してきました。そう忘れていたカマキリの子どもたちが生きており、一斉に飛びかかって来たのです。はい……いつものやつです。悲鳴を上げて逃げました。


私はこれ以降昆虫を苦手とし、今までなんてことなかったようなヤツでも避けるようになりました。

つまり、自業自得ですね。生命を娯楽或いは勉強のためとはいえ、食べる訳でもなくただただ採集しようとした罰なのでしょう。


補足

セミは脱皮したての時綺麗な色をしていますが、その状態ではなく、乾燥し硬くなり、茶色や黒といった本来の色の状態で何者かが付着?寄生?していたのです。

ゴキブリなんかもそうですが、虫というのは身体の一部がどうにかなっても、そこそこ活動しますし、何なら生きてます。何処かで読んだ知識だと、ゴキブリは頭なくても数ヶ月生きており、死因は頭が無いことによる餓死であると。

トンボは飛ぶのでビクッとなるのです。

関係ない話ですが、鶏でも頭無しで生きていた個体がいましたね。

カマキリは、たまたま羽化したタイミングで引き出しを開けたのか、共喰い状態で生きていたのかはわかりません。ただ、二桁程度と思われるカマキリの子どもが一斉にでてきたので、卵の事を忘れていたため非常にびっくりしました。白土三平の漫画ではカマキリ強かったなぁ……刃牙もイメージカマキリと戦っていたけど、カマキリ強いんだよ!怖いよ!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

パーツの過不足 おしゃんしゃい @urawaza

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ