演舞な言霊使い

@StepO

読み切り プロローグ-大場海璃と不良と謎の男-

---最悪です, どうしましょう.

「お嬢ちゃん, カワイイねぇ~笑」

「よかったら俺らと, お茶しな~い?」

補習があって帰りが遅れたから, 普段通らない道を通ってしまった私への罰でしょうか?

「オイオイ, お茶って言い方今時古いだろ.笑」

「そういうお前も笑って最後に言うの古くねぇか~? ま, お茶なんで口実だしいいだろ~よ~」

こんなおバカそうな人たちに絡まれてしまうなんて---


「---というわけでお嬢ちゃん, 俺らと来てくれるよね? 大丈夫, 楽しませてあげるからよ(笑)」

(なにが というわけで なのでしょうか, こっちは早く帰りたいのに…)

そう思いながら私[大場 海璃(おおば かいり)]は状況を把握するため周囲を見渡す. 近道によさそうだからと選んだ裏路地,. 前方には軽薄そうで細身な2人の男がくっちゃべっており, その後ろには筋肉質な大柄の男が腕を組んでこちらを睨んでいる. そして後方には無理に通ったため, 崩れた荷物が散在している, これでは逃げることもままならない.


「オイ, 聞いてんのか?」

不意に男が近づいてくる. それに伴い私も一歩下がった.

「…人を呼びますよ!?」

そう言って脅してみるも

「オイオイオイ!ここは港町の裏路地だぜ? 今の時間帯にこんなとこにいるやつなんざ少人数の作業員か, 俺らと同じ不良だっての. もし来るのが俺らのようなやつらでもいいならいくらでも叫びなぁ?(爆笑)」

「それによぉ, そんな立地だってのになんでわざわざ言葉で誘ってやってると思ってんだぁ?」

そう返されてしまった. どうやらそうとうこの場所の立地に詳しいらしく, ニタニタと笑っている.

ジリジリと距離を縮められているその時, 大柄な男が

「面倒だな, 攫っちまえ」

そう言った瞬間

「アイアイ!」

笑ってないほうの男から何かが伸びて腕を掴まれてしまった.

「!?きゃああああああああ!! ムグッ!?」

突然のことに混乱しながら叫び声を出すも, 口に布を当てられ塞がれてしまった.

「おいしょぉ!」

そのまま箱の中にしまわれそうになりもうここまでだと思った瞬間.




「演舞-雨季-」




突然細身の不良が2人ふっ飛ばされ箱が破壊された.

「うげぇ!」

「なに…!?」

それに大柄な男が驚き, 私の前には

「夜の港に乙女の悲鳴が鳴り響き, 縁もあって参りました」

…意味の分からないことを言う男が立っていました.

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る