少女天使

「あっ、私まだ死ねるんだ」嬉しいなぁ、これって奇跡? はたまた不幸なのかな、まぁ、どうでもいいよね、死ねるってことだし、別に意味なんてないよね? いやいやいやいや、それってさぁ、問題じゃない? なんていうかぁ〜普通じゃない、そう、それだ、そういうことか、「死ねるのって良いことだから、殺しも良いことなのだ」ああ、ロジカルなんですね、ワタシって、めっちゃロジカル、もうほんとうにロジカル、むしろ、ワタシが聖書みたいなところあるよね、ハァ〜、あなたはわかってないなぁ、そういうところですよ? もっと丁寧にしないと、「明日のことなんてもう考えなくていいんですよ」や、そりゃないよね、難しいことをシンプルにするときはたいてい論理がブチ壊れてしまう、細部が丁寧じゃないの、大枠だけがすっごくキレイで、キモい、「踊るのって、楽しい? ビート刻めてる? あなたのダンスだもん、もっと激しく、もっと細やかに」鮮やかっていうのは、心が軋んじゃう、真っ赤なのはすきじゃないよ〜だ、でも、その先が好きなんだ、モノクロで良きに計らいたまえよ、みたいなね? 解んないってのはちょっと遠慮したい、理解は必ず行わなければならないのです、「あなたを囲む真っ黒なお仲間さん、雨なんて、天もアナタのために泣きますってさ、でも、それって幸せのカタチだったりするよね」今あなたの前にいるのは、アナタのために真っ赤なマッカナお色で見つめるわたしくらいだけど、クロって幸福な色なのだ、ちょっぴりジェラシー、「ワタシはあなたの為の天使です、抗うものさえも抱きしめてあげるのです、翼はソラを割るために存在しないのです、あなたを包み込むための、立派な器官なのです」ウソなんて言ってませんけどね? 私ってめっちゃ素直だし、もう、まっすぐ過ぎてヤバいくらい、そーれ、あは、空は私のものです、私がなぜ飛べるのかって? お応えして差し上げます、それはわたくしが空っぽだからでございます、空っぽの心に飛びたいという気持ちを詰めてやれば、ほら不思議、ワタシは自由なのです、「あなたも飛べますって、私につれられて、ソラへとあがることができますとも」



 死という概念に、取ってつけたような薄情な愁いを着せ、儚い少女天使を作り上げたのは、まことに理に適ったことなのである。

 美しさ、それは恐怖に勝る素晴らしきものだ。ああいった胡散臭さは鼻につくが……まぁいいさ。

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