第7話 ウソツキの呟き

3ヶ月後ー早朝



イグシャニファ製配達ドローンによって、

新聞が届いた。



最近、俺の故郷であるグリファンデ国が、

イグシャニファ国と戦争を行うという噂を耳にする。 減り続ける資源を求めて相手の領地を奪う事が目的らしい。


戦争を求め、植民地化し、

資源を確保しようとするグリファンデと

科学技術の発展で新たな資源を作ろうとしている

イグシャニファ



一見、この2国を比べると

イグシャニファの方が、善に見える。だが、

その#科学技術の発展__・__#までの経緯が問題である。

人体実験を軽々と行い、兵器の威力を確かめるために知らせもなく、住民を殺したりとして、

成り立っている科学技術だ。


どちらかと言うと、グリファンデの方が良くは聞こえるな……


まあ、どちらも正しいなんて言えないな。







「どちらも…正しくて、間違って……」



「ん?どうした?」



廊下からカイヤの声が聞こえる。

どうやら、今の独り言が聞こえてたらしい。

結構離れてんのに。耳良すぎじゃないかちょっと。


「今なんて言ったんだ?」



「あー…いや、何も。」



「変なやつ」




そりゃ悪かったな。誰しも独り言のちょっとはあっていいだろう。





…しかし、イグシャニファと戦争か。

これはまた…あの時の…

きっと大きな戦争になるに違いない。

多くの人が死ぬことになるに違いない。


自分と同じ境遇の人が……。


もう、。動かないとな。

今まで正直言って、俺はヘッドトリップばっかだった。

戦争がどう、平和がどう。実際、努力もしてない奴が言えないよな。


……もう、動き始めるか。






「………もう、動かなきゃいけない。」



「……レイグ。本当に…?やるのか?」



「そのために生まれてきたようなものだ。」



「……レイグ。」





幼い時、カイヤに平和について話した時から

既に予定は立ててある。

カイヤに呼ばれ、モンシュがやってきた。  


3人が揃った。深刻な空気が漂う。




モンシュが口を開いた。



「もう、行くのですか?」


「もう。というより、もしかしたら遅いかも。」



「でもレイグ。やるしかないだろ!」



「…カイヤ。」


「俺たちがやんなきゃ…この先誰がやる?」




そうだな。その通り。条件は全て揃った。

モンシュのおかげで、奴隷の中から

平和を望む同じ心意気のものを今まで集ってきた。


この国、グリファンデにも、

敵国になるイグシャニファにも、

その仲間達がいる。



「そうだ。俺たちがやる。」





「…レイグさん。」



「そうだ。レイグ。グリファンデの事は俺たちが対処する。イグシャニファはお前に任せる。」




「ぁあ。…………」




「レイグさん。危ない時は逃げてください!

 僕もまだお礼がしきれてないし、シファも

 悲しみますよ。」



「あぁ。わかってる。でも、モンシュ。

 お前も、…カイヤも、死ぬなよ。」



「…わかった。……生きて帰ってこい。」




「当たり前だろ。」



わかってる。もうわかってる…………
















それから一週間後、貯金をはたいて、

なんとか海外テレポート券を入手することができた。


2人と別れたあと、俺は1人、

イグシャニファに降り立った。



「グリファンデよりは…発展してるなぁ」




仮想現実対応のビルやエリアが多くあった。

ホテルに向かっている最中に

速報が入った。


ARグラスを起動して見ると、


イグシャニファ国のトリフ大統領が

兵器開発に力を入れるという内容だった。





兵器を…俺たちは。





俺はイグシャニファの、

カイヤ、モンシュはグリファンデの

軍事基地をハッキングして

軍事兵器を使用不可能にする、データを消去することであった。


モンシュの知り合いの中に、

ハッキング技術を身につけている者が多いことから

この方法が実践的になった。



 


もし、政府にバレれば、俺たちは殺される。

そして、また、戦争を繰り返す。

止めないと。


この作戦が成功すればしばらくは戦争が止まる。



また、ほかの解決策を考えないとな…







まぁまずは……


「働く場所を見つけないとな…」


どこかに停留して、信用できそうなやつを拘束する。か。




















一方、カイヤ達は、奴隷達と共に、

ハッキングの準備を進めていた。


モンシュは、夜空を見て一言呟く。





「今度こそは………死ぬわけには… いかないな。」

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