8・見下ろす星々(夏目翔弥の場合)
会社が終わって、どうにもコーヒーを飲みたくなった日のことだ。帰りにドリップコーヒーを買って、夏目さんのアパートへ向かった。
アパートの前で桜の木が蕾を膨らませていた。長かった冬がようやく終わりを告げて、少しずつだが暖かい日が増えてきている。それでもしぶとく残る肌寒さのせいで、温かいコーヒーは未だに手放せなかった。
「夏目さん、甘いものお好きですか?」
ふたり分のコーヒーを作りながら、訊いてみる。パソコン椅子に座って『キラメキTODAY』の記事を読んでいた夏目さんは、こちらに顔だけ振り向いた。
「甘いもの? うん、人並みに」
「とくに好きなものとか、あります?」
「取り立ててなにというわけでは……なに? なんかくれるの?」
きょとんとする夏目さんに、コーヒーを差し出す。
「コーヒーを淹れると、甘いものが欲しくなるので。次回コーヒーを淹れるときは、お茶請けを用意したいんです」
「そっか。僕はこだわりはないから、椿ちゃんの好きなのがいい」
夏目さんは「ありがと」とコーヒーを受け取り、ふう、とコーヒーを冷ます息かため息か分からない息を洩らした。
私の過去がお互いの間でしっかり認識されてから、私たちはどことなく、本物の恋人同士のようになった。夏目さんがカップに口をつける。静かな夜だったから、あつ、と呟いたのまで聞こえた。
私は未だに、夏目さんのことをあまりよく知らない。生年月日も血液型も、好きなお菓子ひとつ知らない。でも、知らないことは、これから知っていけばいい。
この人は、私が騙し続けた私自身に、本当のことを教えてくれた。そして、壊れかけた私を受け止めてくれた。私の心の氷を溶かしてくれた。今度は私が傍にいて、この人を理解したい。彼が死にたいと言ったら心中でもいい。夏目さんがいてくれたら、どんなことでも覚悟できる。
私はカップをパソコン机に置いて改めて切り出した。
「あのね、夏目さん。今日新しい連載枠を貰ったんです。雑誌に載せてもらったコンテンツがウケて、今後も継続的に書かせてもらえることになりました」
「へえ! よかったね。そういうの大好きだよ」
「それと、新企画も任されたんです。読者投稿の枠を広げていって……まだ企画の段階ですけど、このままいくと私も忙しくなるかも」
「そっかあ。嬉しいね。これで椿ちゃんに冷たかった連中を見返してやれるね!」
ようやく上司に認められて、先輩も少しだけ優しくなった。思えばこれも、夏目さんのお陰だ。
「ありがとうございます。本当に。お世話になりっぱなしですね」
「僕は数回、写真を撮っただけ。写真が変わっただけで売上がそんなに変わるわけないんだから、椿ちゃんの努力が実ったんだよ」
夏目さんは謙遜しつつ、飲みかけのコーヒーをパソコン机に置いた。彼のカップと私のカップが隣り合って並ぶ。私はそれを横目に、言った。
「そうだとしても、私の能力を引き出してくれたのは夏目さんだと思います。出会えてよかった」
口に出してから、今のはちょっと、直球すぎたかなと気恥ずかしくなった。夏目さんも面食らったみたいに静かになったが、すぐにいたずらっぽい顔になり、椅子から立ち上がった。かと思うと、ベッドに座っている私にがばっと覆いかぶさってくる。急に勢いよく抱きしめられて、私は彼と共に布団の上に倒れこんだ。
「わあっ! びっくりした」
「へへへ、ありがと」
耳元を擽るような声がする。私を両腕で包む夏目さんは、甘え上手な大型犬みたいだ。ただ、抱き寄せてくる彼の体は、異様に冷たかった。
肩に夏目さんの額が当たる。微かな吐息が、首筋にかかる。
「困ったな。こんなつもりじゃなかったのに。本気になっちゃいそう」
「じゃあ、本当の恋人になりますか?」
「まさか。大丈夫、すぐに離すから」
夏目さんの冷たい身体が私から体温を奪う。抱き枕にされた私は動けず、かといって眠ることもできず、大人しく拘束されていた。
*
翌日、取材はなく、デスクワークだけで一日の仕事を終えた。その日の仕事終わりに企画部の会議に参加して、今後の企画の方針について話し合った。まだまだ未熟者な私だが、こうして意見を出せる場所を与えられ、しかも聞き入れてもらえる。同僚と対立することもあるが、それによってよりよい企画に進化していく手ごたえがある。仕事がこんなに楽しいのは、いつぶりだろう。
帰り道で会社の近所にオープンしたケーキ店を覗いた。コーヒーと一緒に甘いものを食べようと、夏目さんに提案していたのを思い出したのだ。店内はきらきらしたかわいらしい装飾で彩られ、ショーケースの前に若い女性客がキャッキャと盛り上がっている。私もその中に紛れてショーケースの中の可憐なケーキを眺めた。黄色い照明の中で小柄なケーキがちょこんと並んでいる。
店員の手書きのポップをひとつひとつ読んでみる。おすすめはチョコレートケーキで、人気商品はシュークリーム。他にも今月のおすすめや店員一押しなどあちこちにポップがつけられている。
ショーケースの前で延々と悩み続けて、結局私は全てのポップを無視してベイクドチーズケーキをふたつ買った。理由はただ単に、私がチーズケーキが好きだからだ。夏目さんが、私の好みで選んでいいと言っていたので、そのとおりに好みで選んだ。
チーズケーキが白い箱に並んで入っていく。店員から箱を受け取ると、自然と頬が緩んだ。
ケーキを買って店を出たら、まっすぐ夏目さんの仕事部屋のあるアパートへ向かう。気持ちがはやって、少し駆け足になる。アパートに着き、私は階段をカンカンと音を立ててのぼった。浮き足立った足取りは軽い。彼の部屋の前につくと、無意識のうちに顔が緩んでいた。
冷たいドアノブに手を添えて、ぎゅっと捻った。瞬間、ガチ、という冷たい音に手が止まる。
開かない。いつもなら、鍵をかけていなくて、私が来るのを待っているのに。
どきん、と心臓が大きく脈を打った。なんだろうか、嫌な予感がする。
出かけているだけかもしれない。たまたま鍵をかけているだけかもしれない。そもそもここは仕事部屋なのだから、いつもここにいるとは限らない。それなのに、どうしてこんなに胸騒ぎがするのだろう。
どんどん、と強めにノックしてみたが、応答はない。考えてみたら、私はこの部屋の合鍵ひとつ持っていない。
鞄から携帯を引っ張り出す。しかし夏目さんにかける前に、画面の真ん中に表示された「留守電メッセージあり」の文字にひやりと手が固まった。開くと、夏目さんからの着信だった。会議の時間にかかってきたようだ。出られなかったし、そのあと確認もしなかった。
留守電を再生する。
「メッセージが、一件あります」
電子音の女性の声に、早く、と苛立った。
「メッセージを、再生します」
夏目さんの声が再生された。
「椿ちゃん、ごめんね。心中できない」
驚くほど無感情な声でそれだけ言って、また音声案内の女の声に戻った。
「メッセージを保存しますか」
携帯を耳に当てたまま、頭の中が真っ白になった。
音声案内の声は、もう耳に入ってこない。
なに?
どういうこと?
携帯を持った手が、がくんと下に垂れた。呆然と立ち尽くして、真っ白になった頭で考えてみる。
考えても、理解できなかった。
ぼんやりしたままドアを見つめる。金属の冷たいドアは私を蔑むようにそこに立ちはだかっていた。
動けずに呆然としていると、隣の部屋から学生らしき若い男が出てきた。彼は異様な硬直を見せる私に、声をかけてきた。
「そこの部屋に用ですか?」
「あ、あの。ここの部屋の人、どこか出かけたのとか、見てませんか」
いくら隣人でも知るわけないだろう、と思いながらも藁にも縋る思いで訊ねる。男はああ、と零した。
「いっつもスーツの兄ちゃんですよね? なんか引越したっぽかったけど。この狭い部屋によくそんなに物が入ったなってくらい、いろいろ片付けてた」
心のどこかでは、いつかこんな日が来るような気がしていた。
私は宛もなく駆け出していた。携帯でずっと彼の番号にコールし続けながら。繋がってはいるようだが、一向に応答がない。最近見るのをさぼっていた『今日のスイッチ』は閉鎖して、URL自体がなくなっていた。なにかが起きている。夏目さんの中で、なにかあったのだ。
東京の街は冷たいアスファルトと半端な気温で私を包んだ。走ると生ぬるい風が頬を乾かす。緑の部分を増やした街路樹が夕焼けの光で黒ずんで、私を嘲笑うように見下ろしていた。
「きゃっ」
地べたに躓いた。チーズケーキの箱が吹っ飛ぶ。這いつくばって足を見ると、靴のヒールが折れていた。足を挫いたが、歩ける。靴を脱いでバッグに突っ込んで、裸足で駆け出す。
あの人の行きそうなところはどこだろう。考えてみても虚しいくらい察しがつかない。だって、私は夏目さんのことをなにも知らないのだから。
*
日が暮れて、辺りは真っ暗になっていた。
私はあちこち駆け回った結果、結局夏目さんの仕事部屋の前に戻ってきていた。外に剥き出しの廊下で、柵に腕を乗せて周辺をぼんやりと見渡す。
郊外の住宅地であるこの地区は、東京とは思えないような灯りの少なさで、夜空に持ち上がった満月が妙に煌々としていた。なんだか今夜は星がたくさん見える。
角が潰れたケーキの箱が、廊下の蛍光灯の光を浴びている。冬の風に晒されて冷たくなっていた。その物悲し気な白い箱を見ていると、妙に諦めがついた。夏目さんが自由人なのは、今に始まったことではない。
昨日私を抱きしめた、あの冷たい腕を思い出す。「すぐに離すから」――多分、あれがスイッチだった。彼が『今日』を選んだスイッチである。
夏目さんが切り取る「自殺者の見る景色」は、静かで、儚く、孤独だからこそ見える景色だ。だから美しい。しかしその撮影者である夏目さんの横に私がいると、きっと、景色は変わってしまう。私は、彼が見たい景色へ出かける旅の、足枷になる。彼がそれに気づいたとき、スイッチが入った。
もうしつこく電話をかけるのはやめた。それが夏目さんの意思なら、仕方ないのかもしれない。私は夏目さんのファンだ。彼の理解者だ。夏目さんの邪魔をするような真似は、しない。あとは素直に、元の生活に戻るだけである。
チーズケーキの箱を開けて、中を覗いた。転んだときに箱が少し潰れてしまったが、箱が汚れただけだし、食べても大丈夫だろうか。箱の中では、チーズケーキがふたつ並んでいる。片方が黄色く尖った正面をこちらに向けていて、もう片方は茶色い背中を向けている。
一緒に食べたかった。もう一度、会えないだろうか。
謝りたいことがたくさんある。お礼を言いたいこともたくさんある。話してないことも、彼から聞いてみたいことも、たくさん、たくさんある。
箱の中で申し訳なさそうに身を寄せ合うチーズケーキを見ていると、白い箱の開け口に、ぽた、ぽたと水滴が落ちた。
ああ、やだな。私はその熱い液体を指で拭った。拭えど拭えど、厚紙の箱の上に音を立てて水滴が落ちてきて、切りがない。
大空で瞬く星が、私を見下ろしていた。そしてもう一度、先程と同じ陳腐な感想が頭に浮かぶ。なんだか今夜は、星がたくさん見えるなあ。と。
ふいに、鞄の中から携帯のバイブ音が聞こえてきた。一瞬、思考が止まる。満天の星空を見上げ、数秒、そのまま固まっていた。
ケーキの箱を閉じて、鞄から携帯を取り出す。そこに表示されていた名前に、息を呑む。応答ボタンを押して耳に当てると、耳に馴染んだ柔らかい声がした。
「椿ちゃん。よかった、出てくれた」
「なんで私が電話しても出てくれなかったのに、急にそっちからかけてきたんですか」
「声、聞きたくなった」
夏目さんの真剣な声の返答に、言葉を詰まらせる。すると彼はいたずらっぽく撤回した。
「嘘。本当は潔くいなくなるつもりだったんだけど、言い忘れたことがあったから、どうしても連絡とりたくてね」
「言いたいことなら私の方が山ほどありますよ」
いつもどおりの穏やかな話し方。いつもどおりの自由すぎるペース。いつもと違うところといえば、どこにいるのか全く分からないことくらい。それくらい、彼はいつもと変わらなかった。
「どこにいるんですか」
怒っているのを全力で表現した声色で脅かしたが、夏目さんは至ってマイペースに答えた。
「これから片道の旅に出るんだ。椿ちゃんは連れて行けないんだけど、言うとついてきちゃうと思ったから言わずに出てきちゃった」
「旅に出てる場合じゃないんです。ケーキがあるんですよ。帰ってきてください」
私の冷ややかな口調に、彼はくす、と笑う。
「ケーキ?」
「チーズケーキ、好きですか?」
「大好きだよ」
久しぶりに、この口癖を聞いた気がした。
「じゃ、一緒に食べましょう。コーヒー淹れて、のんびり話しながら」
「残念だけど、もう。あー、ケーキ食べたかったなあ!」
夏目さんは人懐っこい声で、わざとらしく嘆いた。胸がずき、と痛む。
「そうそう、それで僕が言っておきたかったのはね」
あまりに自然に話すので、明日になったら戻ってきていそうな感じすらする。
「部屋の片付けしてたら、マグとか、椿ちゃんの私物があったから自宅に送ろうと思ったんだけど、よく考えたら家を知らなかったから、とりあえず会社に送っちゃった。ごめんね!」
「ちょっと! 会社に私物届いちゃうじゃないですか」
「あははは! 大丈夫、部署名と宛名は書いたから」
夏目さんが笑い出す。私も、ちょっと笑った。
「他に言っとくことはありますか?」
「ん、そうだな。今言っとかないと、もう言えないからなあ」
夏目さんが細い声で呟いて、考えだす。ずきん、と また胸が痛んだ。
「けどもう思いつかないな……こんなもんかな」
痛い。
「じゃ、椿ちゃん、荷物の受け取り、お願いね」
「待って!」
このままだと電話を切られる。私は慌てて、叫んだ。
「私からも、喋っていいですか?」
なにから話せばいいか分からないくらい、言いたいことがある。夏目さんは事務的に言った。
「携帯の電池が少ないから、手短に」
私は目を伏せて、質問を切り出した。
「旅の行き先は、どこですか? 追いかけないから、教えてください」
「ずっと遠く。少なくとも、携帯は通じない場所」
見えないけれど、夏目さんが不敵に笑っているのは分かった。
「そういうことは、行く前に恋人の私にひと言断ってもらいたいです。あなたが覚悟を決めていても、失う方は、そうじゃないんです。だって夏目さん、私……夏目さんがいないと……」
「ごめん、それ以上は言わないで」
夏目さんが被せてきた言葉に、私はしばし言葉を失った。
「いきたくなくなっちゃう、かもしれないから」
「……分かってるんですね」
私が笑うと、夏目さんは冗談っぽく返してきた。
「君に好かれてる自覚くらいあるよ」
「分かってて、置いていくんですね」
「うん、そう。君は僕と違って、もっときれいな場所へ行けるから」
夏目さんはまた、楽しそうに笑った。
「僕がいると見えない景色を、君なら見に行けるんだよ。僕は、君にその景色を見に行ってほしい。っていう、わがまま」
「わがままなのも、分かってるんですね」
「うん」
もう一度話したいと強く願ってしまったから、嬉しくて嬉しくて仕方なかった。
「私は、あなたと一緒に見に行きたかった」
夏目さんの携帯の電池が切れてしまったのだろう。
気がつくと、ひとりで泣いている私だけが、星空の下に取り残されていた。
*
夏目さんの失踪から一ヶ月が過ぎた。
「桐谷さん、本当に辞めちゃうんだね」
デスク周りの荷物をダンボールにまとめた私に、宮田さんが言った。
「ずっと一緒に頑張ってきたから、寂しいよ」
絶対に本音ではないと思った。でも、腹が読めないあの人に比べれば、宮田さんの嘘なんて見破りやすいし、内容もかわいいものである。
「私も寂しい。今までありがとう、宮田さん」
私は嘘が上手くなった。
「そういえば、夏目さんは? どこか行っちゃったとは聞いたけど、そのあと戻ってきてないの?」
宮田さんが首を傾げる。私は知らない、と首を横に振った。
「旅に出るとか言ってどっか行っちゃったまま。もともと放浪癖のある人だし、芸術家肌で気まぐれだから。なに考えてるのか分からないのよ」
あれ以来、夏目さんの携帯は繋がらなくなった。
彼はもう私の手に届かないところまでいってしまったのだろう。
きっともう、二度と会えないところまで。
でももしかしたら、単に私に飽きただけでどこか遠くでまだ風景写真を撮り続けているのかもしれない。それか本当は、夏目さんを失った私が自殺するというシナリオが最初からあって、私が死ぬのをどこかで待っているのかもしれない。
はたまたどこかの誰かさんみたいに名前を変えて、一からやり直しているかも。そんな期待もしているけれど、あの人のことだから嫌がりそうなので、もう捜さない。
「折角仕事、軌道に乗ってきてたのに、勿体ないな」
宮田さんがカップを両手で持って、コーヒーを啜る。
「その仕事を私に引き継いで、この仕事を辞めちゃうんだから」
「うん、そうしてまでやりたいことが見つかったの」
まずはやることをやって、それからになるけれど。
「カウンセラーの資格でも取ろうかと思って」
死ぬつらさより生きるつらさの方が大きくて、生きるより、死んだ方が楽だった人の、そういう気持ちに寄り添いたい。生きたい人がいるのと同じで、死にたい人がいるというのも、自然なことだろう。
ただ彼らも、生きていたら未来が変わるかもしれない。
私自身も、自分を騙し続けた過去とようやく向き合って、前向きになれるスイッチを押した。もしかしたら私のほかにも、同じスイッチがある人がいるかもしれない。
窓の外に見えた街路樹はすっかり緑色になり、よく晴れた青空に映えている。
この街に、新しい春が来た。
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