〜神式会社〜 異世界で派遣社員をしています。
No-Bitter
第1章 駄女神と俺 〜異世界ノルマを達成するための準備〜
第1話 ノルマは辛いよ、どこまでも・・・
「おっしゃー!今季の営業ノルマを達成だぁ!!」
俺の名前は志村良。
大学を卒業して就職、営業系の会社に努めて早6年、初めて営業成績で社内トップになった。
突出して何かに優れた能力があるわけではないが、地道にコツコツと営業をした結果なので非常に嬉しい。
「今日はご褒美に寿司だな!会社に戻って報告だ!」
営業車に乗り込もうとした瞬間に意識が飛んだ・・・ 目を覚ますと真っ白な空間。目の前には美しい女性が宙に浮かんでいる。
”はじめまして、志村良。 わたくしは、この世界の管理人をしている女神ミューゼとじゃ。そなたを分け合って この世界へ転移したのじゃ。 そなたには、この世界を・・・わたくしを救って欲しいのじゃ。”
「へ?」 突拍子もない第一声に思わず声が出る
「ここはどこですか?会社に戻ろうと車に乗ったところまで覚えているのですが・・・」
”ここは、そなたのいる地球とは違う世界、異世界アナザー。 わたくしの願いを叶えて欲しくて、あなたを召喚したのじゃ。”
「なんで俺を??」素朴な疑問が頭に浮かぶ。
”ノルマを達成と叫んでいたので、思わず・・・”
「へ?それだけですか!?別に俺じゃなくても・・・きっと他に良い人がいると思うので 他の人と替えてもらえませんか?」
(会社で褒められてから寿司を食べる計画が・・・)
”一度、召喚をすると次の召喚がしばらく不可能じゃ・・・そなたがわたくしの願いを叶えると特典付きで元の世界に戻すのじゃ♪
そんなに難しい願いではない・・・実は、この世界は主神からわたくしが管理するよ うに言い渡されているのじゃ、わたくしへの信仰が年々下がってるのじゃ 、わたくしへの信仰心を増加させてほしいのじゃ。”
「えーっと、信仰心が下がっていくとどうなるんですか?」
”この世界の管理人を交代させられるのじゃ。早い話が解雇になるのじゃ。無職は嫌 です・・・” あなたの世界で言う株式会社に似ています。信仰心を集めて主神へお渡しするのじゃ”
「いや・・・それはあなたが悪いんじゃ・・・神様が交代って、ほんと会社みたいですね。 女神様が雇われ社長のイメージで、信仰心が利益みたいなイメージか。配当を大株主、この場合は主神に渡さないと代表取締役を交代か。
株式会社じゃなく、神式会社ってことですね」
”うまいことを言うのじゃ、そのイメージで合ってるのじゃ・・・
そなたにやってほしいことは、地上に教会を10箇所作って欲しいのじゃ。
それが達成出来た際には、そなたを元の世界へ戻すことが可能になるのじゃ。
報酬として、一つだけ能力を持ち帰っても良いのじゃ。”
「能力??例えば、人の心を読めるとか? 金塊を生み出すとか!?」
”いや、そこまで強力な能力はこの世界にはないのじゃ・・・
今のわたくしに残念ながらそこまでの神力はないのじゃ”
「そうですか・・・そのときに考えれば良いか。
あと、なんで信仰心が足りないのですか?少なくとも、あなたは女神様ですよね?
そもそも、俺がこの世界で1から教会を建てるのは非常に大変なのですが、至って普通のサラリーマンですよ!?」
”この世界は、人族が勝手に作り上げた宗教があり、そこが一番権力を持っているのじゃ。
そのため、わたくしを信仰することが年々低下しておる。
わたくしは地上に自由に介入することができないのじゃ。
それで残された神力を使い、あなたをこの世界へと転移したのじゃ。”
「なるほど。どこの世界も変わらないわけだ。俺、異端児扱いされませんか?? 教会をいきなり建てるにもお金も必要ですし、建てても信者がいないと信仰されないわけ ですよね?」
”うむ、そこはそなたの才覚でお願いするのじゃ。わたくしは出来る限りの能力をそなたに与えるので・・・”
(この女神様、もしかして駄目駄目なんじゃないだろうか・・・)
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