わたくし、ケガ人を踏みまくりますわ。

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


 わたくしが、ヒルルに取りついたカテラ様を『浄化』して、

 戦いは終わりました。


 その翌日から、

 クソ王国は大変でしたわ。


 とにかく、ケガ人の多いこと・・・。


 ま、幸いにも被害に遭ったのは、

 ほとんどクソ貴族の方々だけで、国民の皆様には何の影響もなかったので、

 本当に良かったですわ。


 当然の事ながら、わたくしに治療の依頼が来ましたわ。


 それに対し、わたくしが出した条件は一つ。


「復興に必要なお金は、あなた方個人の財布から出すこと。

 国民からの徴収ならびに増税は一切禁止!」

 ですわ。


「むむ・・・、わ、分かった・・・。

 約束しよう・・・」

 と、クソ国王も承諾。


 これでこの国の肥えまくったお腹も、多少はスラリとなるかしら・・・。



 ――ちなみに、治療の順番はわたくしの裁量にゆだねさせました。


 ですが、もちろん治療の順番に私情を挟んだりなど、いたしますわ。


 最初に治療したのは、以前アントニーお兄様がいた騎士団の皆様。


 当然ですわね。


 魔物たちと逃げずに戦ったのは、彼らだけなのですから。


 敬意をこめて踏み踏みしましたわ。


「おお、痛みが引いていく・・・!」


「ありがとう、聖女よ!」


「私は後で構わん!

 どうか部下たちを先に踏んでやってくれ・・・!」


 皆さま、とてもたくましい身体をしていて、

 足の裏ごしにその弾力を堪能させていただきましたわ、うふふ・・・。


 シーケン様も、いつかはそんな肉体美を搭載されるのでしょう。


 楽しみですわ~!


「何をしている!

 そんな兵士共より、先にこちらを治さんか!」


「そうだ!

 我々重鎮を差し置いて・・・!

 この常識をわきまえぬ小娘が!」


 あ~、せっかくの気分が台無しですわ。


 これだけ痛い目にあっても、

 まだこりないようですわね、このクソ共は。


 なので初日は、勇敢な騎士様たちを踏み終わったあとすぐに、


「聖力が限界ですわ(嘘ですわ)。

 本日の治療はここまで」

 と言って、さっさとお城をあとにしてやりましたわ。


 去り際に、クソ王子のエスイクスとクソ女のヒルルが、


「ま、待ふぇフローレス!

 僕は君の婚約者ひゃないか!

 何とか僕ひゃけでも治ひてくれないか!!」


「痛い痛い!!

 フローレス、こんなケガ人を置いて帰るひゃなんて、ひょれでも聖女ひゃの!?

 早くわたしを治ひゃないと、また追放ひてやるんだから!!」


 などと、バケモノみたいに腫れたつらで迫ってきましたわ。


 もちろん、無視してやりましたけれども。


 翌日からの治療も、怪我の大小にかかわらず、うざい事言ってきやがる方々は相手にせずどんどん後回しにしてやりましたわ。


 その対応に罵詈雑言ばりぞうごんを浴びせてくるクソ共も、

 最終的には皆さま、泣いて土下座して、


「申し訳ありませんでした痛い痛い!!」


「我々が愚かだった死ぬッ死ぬぅーッ!!」


「どうか踏んでください骨が骨があああッ!!」


 と、その自分勝手さを反省してくださいましたわ。


 

 ――最後の治療はエスイクス王子とヒルルでした。


 時間を置いたので、鼻骨や頬骨、あごの骨など、顔中の骨が折れたままくっつきかけてしまっていますわ。


「このまま治療すると、歪んだ顔の形のままで治ってしまいますわね(ええ、もちろん嘘ですわ)。

 医療官の皆様、お手数ですがお二人の折れた顔の骨の形をいただけますかしら?」


 その後、お城中にお二人の絶叫がとどろいたのは、言うまでもない事ですわ。


 幸い・・・いえ残念ながら、歯肉がふさがっていたため、折れた歯の再生はできませんでしたが、

 ま、お二人ともそのうち新しいものが生えてくる事でしょう。



【つづく、ですわ】



 

 _____________



『君』は読み進める……。


(うわぁ…、聖女様、えげつないこと考えるなぁ……。


 折れ曲がってくっつきかけた鼻骨を強引に元に戻すとか、

 想像しただけで涙が出そう……。


 ま、ざまぁだけどね。


 それにしても……、


 王子様役のシーケンって、貧弱な体格なのか?


 そうなると、前回までの威圧感や戦いぶりと合わないような……。


 何だろう、この違和感は……。


 それに、二人の歯がそのうち生えてくるって一体……。


 

 ――あ、あれこれ詮索してごめんね、

 作者(多分女子)のジョセフィーネちゃん。


 ちゃんと『応援ボタン』や『コメント』で評価するからね)















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