少年魔術師、かつての仲間と対決する(202309改稿)

 ―――戦いは続く。


 次から次へと湧いてくる魔物達。


 4人とも、

 さすがに息が乱れてきた・・・。


「アルーッ!無事か―ッ!?」


 そこへ助っ人として現れたギルドの冒険者達!


 その彼らにすぐさま付与魔法を発動するアル・・・!


「皆、ありがとう・・・!

 頼むよ!」


「おおッ!!!!!!」」」」」」」


「任せとけ!!!!!!」」」」」」


 その付与魔法で、

 一人ひとりがドラゴン並みの力を発揮する冒険者たち・・・!


 少しずつ、

 だが確実に魔物達の勢いは衰えていく。


 その乱戦の中で、

 見失ったクリスの姿を探すアル。


 それを見たかつての仲間二人が声を張り上げる。


「アル―ッ!

 クリスはダンジョンの中へ後退したひっこんだわ―ッ!」


「お願いアル~ッ!

 クリスを助けて~ッ!」


「ああ・・・!」

 もちろんだ!


 魔力も尽きかけ限界が近いにもかかわらず、

 アルはためらいなくその魔の巣窟へと身を躍らせた。


「アルさん、

 先頭はまかせてください!」


 ―――頼もしい相棒と共に・・・!

 


 ♦ ♦ ♦


 ダンジョンの中にもかかわらず、

 魔物はほとんど現れなかった。


 アルとサーニャ、

 二人はひたすら底へ、底へ・・・。



 そして遂にたどり着いた。


 最下層のさらに深淵、

 魔の祭壇へ・・・


 クリスの元へ・・・!


「はぁッ、はぁッ・・・。

 来たよ、クリス・・・!」


「アル・・・、      

 なぜそこまで・・・」   

【おのれ・・・、

 しつこい奴らめ・・・!】

 

 アルと同じく消耗しきっているのか、

 クリスの表情は薄く疲労の色が濃い。


 それはクリスに取りついた『魔』の力も衰えているという事・・・。


(魔物達が激減しているのがその証拠・・・)


 サーニャはそう判断した。


(『あれ』を倒すなら今がチャンス・・・。

 今ならごと斬ればいい・・・。

 そう、のクリスさんごと・・・)


 ・・・・・・


 ―――な~んて。

 やりませんけどね。

 ちょっと想像しただけで・・・


 アルの相棒として、

 選ぶべきはもう一つの道。


根源こんげん』を退しりぞけ、

 クリスも助ける。


 その方法がサーニャには思い浮かんだ。


 アルには方法が・・・。


「(アルさん・・・)」


 小声でアルにその案を伝えると、


「(えぇッ!?)」


 予想通り動揺している。


「(サ、サーニャ・・・、何でそんな事を・・・?

 何ででクリスを正気に戻せるんだよ・・・!?)」


「(説明している時間はありません!

 どうかわたしを信じてください!)」


「・・・分かった」


 サーニャが、

 仲間が信じてくれというのだ。


 だったら、

 信じて実行するやるに決まっている……!!



「いくよ、クリス・・・!」


 覚悟を決めたアルは、

『魔』を宿すクリスに向かって突っ込んだ!


「アル・・・       

 アルぅぅ―ッ!!」     

【愚かな・・・!

 死ねぇッ!!!!】

 

 放たれる暗黒の炎!!


 防壁魔法シールドで受けながら、

 アルの脚は止まらない!


 全身を焼き尽くされるような苦痛を味わいながらも、

 前へ・・・!

 前へ・・・!!


「【なっ・・・!?】」


「クリスーッ!!!!!」


 その傷だらけの手で、

 アルはクリスの両手首をつかんだ!


「クリス・・・」


「【な、何を・・・くそッ、離せ!】」


 振りほどこうと暴れるクリスに、

 アルは静かに言った。


「先に謝っておくね。

 ごめん・・・」


「え?」


 そのきょとんとした表情かおは、

 まぎれもなくクリス本人のものだった。


 そのクリスにアルは顔を近づけ、

 そして・・・


 不器用に唇を重ねた。


【つづく】



 ______________________




『君』は手を止める……。


(……………………………………………え?


 何この展開?


 主人公は何ゆえこんな事を?



 ――いや、とりあえず、

『応援ボタン』や『コメント』で評価くらいはしてやるが……。


 読んだ者の義務として仕方なくな……。)







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る