少年魔術師、心機一転して依頼に励む(202309改稿)
一方、
そのアルはというと・・・
♦ ♦ ♦
パーティーを追放された日、
アルは、
(今は、
もう何も考えたくない・・・)
と、安宿の部屋でまず、
その頭上に魔法陣を展開した。
通常魔法陣とは、
円の中に五芒星・六芒星が描かれた紋様をしている。
だが・・・、
何故かアルの魔法陣は星の代わりに、
蛇が上下逆向きにとぐろを巻いたような・・・、
早い話が、
『ウンコ』の紋様をしているのだ。
理由はわからない。
子供のころひたすら紙に、
ウンコの絵を描きまくって遊んだせいか・・・。
それとも、周りに内緒でこっそり飼っていた
白蛇の影響か・・・。
(下品な紋様・・・か)
クリス達パーティーの誰にも認められなかった、
この魔法陣・・・。
それを使ってアルは、
自らに強力な
・・・爆睡した。
丸三日ひたすら眠り続け、
目覚めた時にはどん底だった気持ちも多少はマシになり、
同時に猛烈な空腹を覚えた。
『冒険者は大盛りサービス』の食堂で腹を満たす。
気持ちは・・・、
カラ元気くらいなら出せそうだ。
「よし、ギルドへ行こう!」
と、クリス達がいないであろう時間帯を選んでやって来た。
そもそもアルは仕事のえり好みをする方ではない。
パーティーにいた頃は仲間がとにかく金になる依頼、
冒険者として
(心機一転、
初心に帰って……)
依頼掲示板から彼が選んだのは
『薬草採集』であった。
受付を済ませ、準備を整えるとさっそく出発。
(う~ん、ちょっと危険だけれど、
ダンジョンの近くで採るか)
ダンジョン付近は魔物も出やすいが、
質の良い薬草が採れる穴場があるのである。
(魔物のおとしものがいい肥料になるのかな・・・)
・・・などと考えているうちに到着。
さて、
奥の森に入ろうとしたその時、
「はぁっ・・・はぁっ・・・!」
ダンジョンの中から、
冒険者らしい一行が飛び出してきた。
条件反射でアルは、
近くの草むらに隠れて様子を見る。
全員、息も絶え絶えな上に傷だらけだ。
命にかかわるほどではないが。
気になって聞き耳をたてるアル・・・。
「やれやれ・・・、
あやうく全滅するとこだったぜ」
「でもリーダー、
サーニャの奴が・・・」
「仕方ないだろ、
あいつを囮にしなきゃ皆殺しにされていたんだから」
「そういう事。
一番弱いやつを犠牲にするのは当然だろう」
「だからって・・・、
殴って置き去りにするなんて・・・」
そこまで聴いたところで、
アルは彼らの前に姿を現した。
「おいっ!
今のはどういう事だ!?」
「な、何だお前は!?
いつからそこに……」
バキッ(×2)❕
一刻を争う事態と判断したアルは、
まずリーダー格とその腰ぎんちゃくらしき男の2人を物理的に黙らせる。
そして、残り1人の胸ぐらをつかむと、
「囮にした仲間はダンジョンのどこにいる!?
階層と地点を言え!!」
「あ、ち、地下1階のA-4地点・・・
でも、きっともうオークに・・・」
そこまで聴いたアルは相手を突き飛ばし、
すぐさまダンジョン内に飛び込み、
ウンコ・・・もとい、
魔法陣を頭上に展開しながら、
【つづく】
_________________
『君』は読み進める……。
(ウンコ絵の魔法陣……、
なるほど、それが主人公の追放理由か。
それにしたって、追放サイドは了見が狭いな。
ウンコ絵くらい誰だって描いた経験があるだろうに……。
――とりあえず、画面下まで行って
『応援ボタン』や『コメント』で評価くらいはしてやるか。
読んだ以上、それくらいはしなければな。
ありがたく思えよ、作者……)
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