『詞』 愛していると嘘でもいいから言って

 出遅れた恋は きっと届かない

 伸ばした髪にもれられないまま

 きみの最初は諦めて 隣で笑うあのコは知った


 辛くなるだけ…わかっていたはず

 だけど、傍にいたかったんだ

 せめて、見ていたかったんだ


「愛していると嘘でもいいから言って」

 口にした途端ハッとした

 バカみたく笑って 冗談だよって逃げる気でいたのに…

 どうしてわたし 泣いてるんだろう?

 困らせるつもりはなかったのにな



 踏み出した恋は きっと傷つける

 もといた場所にも戻れないまま

 きみの最後に縋りつき 一人ぼっちの夢に溺れる

 

 辛くなるだけ…わかっていたはず

 嘘だ、どこか期待していた

 嫌だ、遠くへ行かないで!


「愛していると嘘でもいいから言って」

 零れ出た本音ちっぽけだ 

 通り過ぎた天使 もう引けないって気付いてるくせして…

 どうしてきみは 黙ってるんだろ?

 これ以上ゆうきはなかったのにな



 辛くなるだけ…わかっていたはず

 なんで? きみは優しいのに

 そうだ! きみは優しいから


「愛していると嘘でもいいから言って!」

 声が枯れるほど 吐き出した

「抱いて欲しいよ、愛してなくていいから」

 それで少しだけ救われる

 初めて会った時 最初から好きだった…好きだったんだ

 なのにどうして わたしじゃダメなの?

「ねぇ、お願い嘘でもいいから…」

 

「愛していると言って!」

「愛していると言って」

「愛していると言って…」

 

 困らせるつもりはなかったのにな

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