第8話:ぼくの父親(My father is doing fine today as well.)

 ぼくの父親はバカがつくほどお人よしだ。

いくつかエピソードがあるが、一番記憶に残っている話は車お釈迦事件だ。

彼のライフワークである釣りにいった時の話。そこはキチンと整備された釣り場所ではなく、駐車スペースも簡易的なものしかなかったそうで。駐車スペース内の移動のルールも、きちんとしたものがなかったのだろうと推測される。


 その場所で。大好きな釣りが終わって帰るときに。

他の車に横からにぶつかられて、ドアが大きくへこんでしまった。

明らかに先方の不注意で。謝り倒されて。

普通だったらここは、問答無用で警察を呼ぶ案件。でも、今日は忙しいから、電話番号を渡します、ちゃんと後日対応します。と拝まれて。

人がいい父親は相手を帰してしまったのだ。

その後、何度か電話しても「電話に出んわ」

泣く泣く、全額自己負担で廃車にすることに(#^ω^)


 人の善意につけこむアホにも腹が立つが。

そこまで相手を信用しちゃだめでしょと、父親にも腹が立った。

まじで100万円くらいの損失よね。釣りをする人間は良い人しかいない、とでも思ったのだろうか。( ;∀;)ぼくも社会人になってたし、今後はそういう対応をしないようにお願いはした。当の本人が一番そう感じていただろうけどさ。念のため。


 そんな父だが、もうじき80歳。酒とたばこで内臓はボロボロだが一向にやめる気がない。楽しく生きる方向を選択したのだろう。それも一つの生き方よね。子供としては長生きはしてほしいけどさ。

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