#21

 俺のメガネが外れるのと同時に、小杉あずさは俺の世界から消えた。

 


 ヒビが入ったメガネなんて、普通、使わないよな。

 俺は、時間をまた進めるために。

 メガネを多摩川に投げ捨てた。



 もう、彼女に会うことはない。

 ド天然でいつもニコニコしていた俺のいもは。

 いつも俺についてきてくれる健気な少女は。

 もう、俺の世界には現れないんだ。



 なぜだろう、涙が溢れ出てきて。


『あずさはいつも、みんなで笑っていたいって思っているんだよ』


 脳天気な声が聞こえてきているようで。


「………フフッ、フフフフフ……ハッハッハッハッハッハッ!!! ハアッハッハッハッハッハッ!!!」


 俺は、夜空に向かって、笑い続けた。



 あずさの夢は、俺の夢。

 俺は、俺自身の道をまた、進み続ける。

 その先にはきっと――


「やはりこの俺が、この国の統治者にならねばならぬようだなあ‼ これよりっ、”あずさ作戦”を実行に移す‼ 国民全員、笑って過ごせるような国を創ってやるよ!!!」


 そんな世界が、俺の進んだ先にある。

 そうだよな、あずさ。



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