Brain RE:Right

たいらかおる

 2025年4月27日日曜日、東京都渋谷区、とある居酒屋にて


「ねえ、君はさ、脳内補正って知ってる?」

「うーん、脳内補正ねえ……聞いたことはあるかなってくらいかな」

「まあ…一応説明しとくね。脳内補正ってのは目で見たものの足りない部分を脳が自動で補ってくれる機能のこと」

「それって世界のことを自分の都合のいいように見てるってこと?」

「そゆことだね。すごいよね人間って。見たいように周りのことを見れるってことだよ」

「……で、さっきの話と脳内補正になんの関係が?」

「君の話を聞いたところによると、君のお友だちは姿が見えない子に話しかけることが多いっていうことだよね?」

「うん、始めはただの厨二病の設定かなとも思ったんだけど、どうにもそうとは思えないんだよね。なんか目がマジなんです」

「なるほど。まあ考えられる一つ目の可能性はその人は妄想大好きな厨二野郎ってことだね。そんでもってもう一つの可能性は……彼は脳内補正みたいなことをしてるってこと」

「と、言いますと?」

「つまりね……」




 ――――お友だちが呼びかけている相手は、もうこの世にはいないってこと。









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