未来は時計塔が知っている

チカガミ

【プロローグ】夏休みが終わる二週間前

 今でも忘れられないことがある。

 すごく暑い、そうあれは地元にいた小学校の夏休みが終わる二週間前のこと。仲良くしていた幼馴染の両親が突然亡くなった。

 ウィーク領域の旅行からの帰りの最中に起きた事故だった。詳しくは俺も覚えてはいないけれども、確か鉄道の事故だった。

 あまりにも大きな事故だったから、ウィーク領域や地元である聖園みその聖園領域で連日ニュースになっていて、毎日見知らぬ大人の人々がやってきた。

 そんな大人達の標的になったのは生き残った幼馴染だった。

 ただえさえ両親を失ったショックは計り知れないものだというのに、更に追い討ちをかけるように大人達に辛い記憶をひたすらに聞かれ続ける日々……。まさに地獄だったに違いない。

 ……だったのに、俺はあいつを守るどころか逆に傷つけてしまったのだ。ちゃんと考えていれば、傷つけるなんて分かっていたはずなのに。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る