番外編IFその2~もしも、セヴランのウソが大公の耳に入っていたら~ セヴラン視点(5)
「そちらの噂は、ただちに訂正をいたします!! わたくしがこれより大至急真実を広め、数日以内に――明日の夜までに!! 貴族界にっ、平民の間にもっ、正しき情報を浸透させます!! ですのでどうかっ、寛大なご判断をおくださいませぇぇぇ!!」
四つん這いになって額に地面をつけたあと。次はその額を地面に擦り付けながら、喉が裂けんばかりの大声を上げた。
「全ては嘘!! 自身を大きく見せるために偉大なる御方を利用した、タチが悪く無様な大嘘!! そちらを自ら伝えて回りっ、閣下が望まれる罰を――い、命が関わるもの以外であればっ! なんでも喜んで実行させていただきますので!! どうかっ、ご寛大なご判断をっっ!! 一度だけチャンスを、くださいませぇぇ……!!」
額が熱を帯びて血が出てくるが、ここで止めてしまったら誠意をお見せすることができなくなってしまう。なので熱さと痛みをこらえて継続させ、更に声を絞り出した。
「こんなことになるとは、思っておらずっ!! 婚約者との間だけの話になると、思っておりまして!! 浅慮でございした!! 猛省、しておますっ!! このような真似は金輪際っ、一生涯いたしませので!! 閣下!! なにとぞっ、なのどぞ!!
鼓膜が破れてしまいそうなほどの大音声を出し続け、回らなくなってきた舌を死に物狂いで回して訴える。
そ、そうすれば……。ずっと沈黙されていた閣下は……………………
「言い広まることは確かに想定外であり、これは初回の『迷惑』。大きな悪影響などもなかった迷惑。よかろう、一度だけ全てを不問にふすとしよう」
!! や、やった……! やった……!!
助かった……!!
「セブラン・フィレーダ、分かっておるな? 二度目はないぞ?」
「きっ、肝に銘じております!! かっ、感謝いたします!! でっ、それではっ!! これより噂の修正行動にとりかかります!! しっ、失礼致します!!」
安堵によって涙とよだれ塗れになっているが、それらを拭いている時間が勿体ない。そんなことに時間を使ってしまったら、閣下の反感を買うかもしれない。
そこでそのままの状態で馬車に飛び乗り、そうして贖罪が始まって――
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