勇樹の絵と子どもたちの驚き


 「これは壁に絵を描いて、見た人を喜ばせるために使うものだ」勇樹は5人の肩に両手を置きながら言うと、地面に置いた白と茶色と黒いスプレー缶を使い白い壁にあくびをするメンフクロウの絵を描いた。

 驚き集まった子どもたちに、『紫いもタルト』のライブでも使っている12本の色鉛筆とスケッチブックを水色のリュックサックから出し、ロンドンの時計塔ビッグベンを描く。「わ―――‼」と歓声が上がり、集まってきた20人の子どもたちに囲まれる勇樹。

 「スプレー缶は絵を描いて、見た人を喜ばせるために使うもの。いじめに使わないでほしい」一人一人の顔を見ながら言うと、「はい」と満面の笑みで答えた。


 

 「ジョニー。俺はペインターで22歳の勇樹だ」ポンと肩をたたくと、「僕はジョニー・ピュア、9歳です。勇樹さん、ありがとうございます」と笑みを見せた。

 

 

 ストリートライブを終えた『h・m』が、亮介に駆け寄り満面の笑みを見せる。「ノーマン・ハイセムズィーク、19歳です。ヴォーカルのフォルモーントやギターの笑子たち5人と、ロンドンの通りで熱唱してます」

 「俺や美月と歌ってみるか?」と聞くと、5人が「はい‼」とうなずく。亮介と美月はノーマン、フォルモーントと一緒にマイクを持ち、10曲を熱唱した。



 濃い茶色の毛にオレンジ色の目を持つオスの狼犬、オータムと茶色い短髪でベストの胸元に水色のバッジをつけた25歳の映画館スタッフで飼い主のドーン・ムービーファンはダニエル、メイと一緒に大通りを疾走。

 銀色の車から灰色のコートと黒いタイツ、青のブーツ姿で肩まである金髪に茶色い目の女性アマンダと、肩までの黒髪に新緑色の目を持つストリートダンサーの道堀サラが降りてきた。アマンダが手に握るナイフから、汗が地面にしたたり落ちている。


 「サラのストリートダンスは、俺やソフィーもよく見に来るよ」黒髪で新緑色の目を持ち、胸元に八ツ橋と抹茶アイスが描かれた銀色で薄手のコートを着た24歳の男性が持っていた布袋に、アマンダのナイフが入った。

 「ジーニアス‼」驚くアマンダの腕に、1匹の女王バチが8センチの針を刺す。アマンダは失神し、地面に倒れ込んだ。


 「サラ!」ドーンがサラに駆け寄り、バタークッキーを渡す。ダニエルとメイも

「サラさん!」と呼びかけ、太い木で作られている椅子に座った。


 「『いじめを止めるハチ』」バタークッキーを食べながら小声で言うサラ。ジーニアスが彼女の肩をたたき、「俺はジーニアス。ロンドンの学校で同級生の男子二人と熱唱しながら過ごす佐々木アリアの父ジェームズの弟で、7歳から17歳までルークやアイリーンたちと劇団員をやってたんだ」とサーモンとチーズ、ベーコン入りのサンドウィッチをかじって言った。

      


 

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