第15話

『わざわざありがとう、カリヤ』

いつもと変わっていない笑顔が僕の恐怖心にさらに火をつけた。残酷なことをしたのになんでこんなに明るいままでいるのだろう、

『うん』

僕はサリーに何も言えなかった。平和だった、明るかった日常を失いたくないから、せっかく手に入れたあの頃とそっくりな時間を壊したくないから、殻に籠もりたくなってしまう、

「これからどうすればいいのやら」

隠れ家ラベンダーに戻っても絵の続きは描けなかった。

「また後戻りか」

とりあえず、どうにかこうにか仕上げたが、前のようには楽しめなかった。

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