第33話

 (※アーノルド視点)


 私は用事を終え、屋敷に帰ってきた。

 今日こそは、白黒はっきりとさせる。

 ナターシャが読んでいる本の巻数は、私が勘違いしているだけだったのか、それとも、彼女が嘘をついているのか。


 私の記憶では、彼女は六巻を読んでいる。

 だから、私が彼女の部屋に入って、もし彼女が六巻以外の本を読んでいたら、彼女が嘘をついていることになる。

 私はそれを確かめるため、彼女の部屋に入った。

 そして、彼女が手にしている本の巻数を確かめた。

 なんと、彼女が持っているのは、八巻だった。

 

 なんてことだ……。

 やはり彼女は、嘘をついていたのか?


「あれ? 君が呼んでいたのって、六巻じゃなかった?」


 私は彼女に確認した。


「何を言っているの? 私が読んでいたのは、八巻よ。最近は、勘違いが多いわね」


 彼女は真顔で答えた。

 もしこれが演技だとしたら、なんと恐ろしいことだろう。


「確かに、そうだな。悪かったよ、私の勘違いだったみたいだ」


 私はそういうと、部屋から出て行った。

 まだ、勘違いではなかったと決めつけるのは早い。

 落ち着くんだ。

 まずは、カレンダーに書いたメモを確かめるのが先決だ。


 私は確かに、六巻だと記憶していた。

 今なら確かに、勘違いの可能性がまだある。

 しかし、カレンダーに『6』と書かれていれば、私の勘違いではなく、ナターシャが嘘をついていたことになる。

 それを、今から確かめる。


 私の鼓動は、うるさく感じるほど速くなっていた。

 私はリビングへ向かい、そこにあるカレンダーを見た。

 そして、メモをしたところに目を向けた。


 カレンダーのメモに書かれていた数字は……。

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