第17話
(※アーノルド視点)
ナターシャが万能薬を飲んでから、数か月が経過していた。
彼女の体は、まだ不自由なままだ。
残念ながら、万能薬の効果が現れることはなかった。
いったい、どうしてなんだ……。
あの場にいた誰もが、ほかの人たちと同じように彼女の体も完治すると思っていた。
私は記者の人たちは期待の目でその様子を見届けていたが、彼女の体は治らなかった。
その結果に落胆したし、信じたくなかった。
絶対に治ると思っていたのに、まさか、万能薬が効かないなんて、そんなこと、未だに信じられなかった。
しかし、実際にナターシャは自由に動けないままだ。
私は万能薬の開発室の人に相談した。
すると、彼女だけが例外で、ほかの人たちは完治していると言っていた。
そのことが、彼らも不思議だと言っていた。
そして、その原因を調べたいとも言っていた。
「ナターシャ、今日、開発室の人に会いに行ったんだけど、彼らが、君の体を調べたいって言っていた。もちろん、無理にとは言わないけど、どうする?」
私はナターシャに聞いた。
彼女はあれ以降、少し元気がなくなったようにも見える。
「やめておくわ。どんな検査をするのか知らないけど、体を調べるなんて怖くて無理よ。それに、万能薬も効かなかったのに、彼らのことなんて信用できないわ」
「確かに、そうだね。私も無理にとは言えない」
体を調べれば原因がわかると思っていたけど、本人が嫌がっているのに、無理強いはできない。
必ず効くと思っていた万能薬が効かなかったこともあり、彼女はあの開発室の人たちを信頼しないのだ。
しかし、いったい、どうして彼女だけ、万能薬が効かなかったのだろう。
今まで万能薬を摂取した人たちは、全員、完治していた。
ナターシャが万能薬を飲んだあとから、万能薬を飲んだ人たちも、完治している。
それなのになぜか、彼女だけが治らない。
しかたがない、レイチェルに相談してみるか……。
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