8話:彼女と登校イベント ①
誰しも、一度は憧れを抱いたことがあることといえば何だろう。
そう、彼女との登校である(?)
しかし、まさかこんな形で叶うとは思っていなかった訳だ
「さぁ、一緒に学校に登校しましょう」
どうして、俺の家を知っているのかは分からない
教えたつもりもない
しかし、彼女である花が目の前にいることが事実だった。
☆
昨日、俺に彼女ができた。
仮という形ではあるが、彼女である。
それも、色々と闇のようなものは隠れているが
高嶺の花で、百合の花園に所属している
水田花と付き合っている。
よく、百合に挟まる男は刺されると言われるが
俺の命が、何日持つか今更ながら心配になってきた。
正直、昨日は深く考えていなかったものの
一日経てば、冷静になって頭も回るらしく
朝から、そんなことを意味もなく考えていた。
昨晩の、おやすみメール以降
花からの連絡はなく、朝になった。
今は、起きて食パンを頬張りつつ
インスタントで作った、カフェオレを、飲み
テレビを見ているところだった。
朝の、番組はほとんどみるものが固定されていて
毎朝同じチャンネルのニュースを見るのが日課である。
基本的に、朝のスタイルはこんな感じでゆったりとしている。
所謂、ルーティーンというやつだ。
基本的に、ルーティーンは崩れないもので
朝食を食べた後、歯を磨き
服を制服に着替え、少し早めに学校に出る。
しかし、そのルーティーンというやつは
今日、家から出るタイミングで崩れてしまった。
[ピンポーン]
誰だろうか?
こんな朝から宅配便が来ることはないし
俺の家を知っている人はわずかなはずだが...
そう思いつつ、ドアスコープを覗いた。
すると、そこには制服を着た花
俺の、仮の彼女がいる。
何故だろうか?
家を、教えたはずではないのだが...
だがしかし、ちょうど学校に行こうとしたタイミングであり
開けなければ家からは出れない。
居留守をすれば、それはそれで、間に合うか不安になる
何せ、学校へ向かう電車はローカル線を挟むため
来る本数は多くないのだ。
そのため、自然と扉を開けることとなった。
「あ、おはようございます 雄太くん!」
どうやら、水田花(聖の姿)らしい。
そこには、本来理想とする彼女がいた。
「あ、おはよう"花"」
そして花は、結局俺を雄太くんと呼ぶようになったらしい。
俺は、恥ずかしがらないようになるべく自然に花と呼んだ。
そうしないと、花が闇の姿になりかねないのは
昨日の時点で学習済みだった。
「それで、何故ここに?」
疑問を投げかける
素直な疑問だった。
「はい、彼女ですし、折角なので一緒に登校したいと思い、雄太くんの家まで来ました」
「いや、何故俺の家を知ってるの、言ってなかったよね?」
「はい、彼女なので彼氏の家は知っているのが当然です」
「もしかして、俺が家を出る時間とかも...」
「はい、彼女なので知っていて当然ですよね?」
当たり前のように言うが、なんだ?
もしかして、ストーカーなのか?
心当たりのないはずの事実
しかし、これ以上この件について問いても
より知りたくない事実が出てきそうな気しかしない
所謂、地雷というやつで
そして、昨晩の花が大人しかった理由は
今日のこれがあると分かっていたからなのだとおおよそ察することができた。
とりあえず、考えても結果が出ない物を考えては
既に無駄なことは、昨日の時点で見当がついていた。
あれだけ考えても、現実がそれを容易に塗り替えると分かったから
だから、考えても仕方ないことは
考えず受け入れていくべきなんだろうと思う。
それは、ほとんど悟りに近い物だろう
「さあ、一緒に登校しましょう!」
聖の状態の彼女は、既にウキウキ状態でいるし
大人しく、登校したほうがいいのだと思う。
それに、どうせ一緒に登校しないと言っても
方向は同じだし、時間だって同じだ
結論、どう頑張っても逃げれる気がしない。
「よし、わかった、行こう」
「物分かりの良い雄太君は好きです!」
聖の状態の彼女は、可愛い
だからどうか、その状態でいてほしい
そして、別れる時が来たら
よし、無理だ別れようとならないか
あわよくばそうなってほしいと願う。
☆
共に登校するとは言ったが、花は別に手を握ったりしてこようとはしなかった
それは、予想外だったため
聞いてみた、自分から
そしたら
『そういうのは、両方が望む形でがいいので』
と、割とまともな回答が返ってくる
一体、昨日のあれは何だったのだろう。
半ば脅迫ではなかったのか?と聞きたいものだが
聞いたとしてもどうなるのか分からず、聞くに聞けない
というか、聞いてはいけないと分かっていた。
そして、登校中いくつか分かったことがある。
花は、友人として話すには話しやすかった。
陰キャオタクな俺も、必要であれば会話はできるし
話は、繋げる
これは、話術とかではなく。
常識の反中に過ぎない。
これが、コミュ障とかであれば困ってしまうかもしれないが
そういった類でなく、普通に話は盛り上がった。
そして、もう一つ分かったのは
話をしていると、周りの景色が良く見えることと
あっという間に、時間が過ぎるということだ。
俺の特性的に、話をする際
何か、周りにあるものから連想し題材を持ってくることも多く
それによって、今まで気づかなかった景色
例えば、猫がいたりとか、電柱があったりとか
家が新しくたっていたりとか、そんなことに気が付けるようになっていた。
そして、そんな話をしている間に、あっという間に
駅までついていた。
駅からもそうだ。
普通に話をしていればあっという間だった。
だから、はっきりと気づいていなかったのだ。
周りのこちらに対する視線と
ひそひそとした、うわさ話に...
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