第7話 ヴィヴァーチェ顕現
「さ、私たちは探検を続けようか。案内図を読めるのは私だけだし、離れないように」
「分かりました」
しばらく城内を歩き回ったが、大広間や祭壇、空の武器庫があるだけで、何か冒険に役立ちそうなものとか、財宝は見つからなかった。未来人が全て採り尽くしてしまったのだろうか。
だが、地下に降りてみると、薄暗い部屋に一振りの剣が展示されていた。
透明なガラスに収まり、照明で照らされている。
「へぇ。二千年前に鍛造されたと伝えられている剣、か。」
案内板の文字を読んだらしいレイカさんが呟く。
千年後の未来から見て二千年前ということは、今から千年前に作られた剣ということになる。なぜ錆びていないんだ? 魔剣の類だろうか?
「まぁこういう貴重品は、接収しておくに限るよね」
レイカさんは蹴りでガラスを叩き割り、剣を取った。
「あれ? これ抜けないわね?」
レイカさんは早速鞘から抜き放とうとするが、できないようだ。
「はーつっかえな! もういいわ」
レイカさんは剣を投げてよこした。
俺が受け取ると、剣は淡い光を発し始めた。次いで剣は消え去り、人間の影が現れた。
「な、誰だ!?」
「救世の英雄、アレス・ルーラオム様。こうして生きている姿を拝見できただけでも、光栄の極みです!」
見ると、美少女が顕現していた。俺のことをなぜ知っている? それと、救世の英雄ってどういうことだ?
「だから誰なんだ?」
「私の名はヴィヴァーチェ。こうして人間に変身できる剣です。ちょうど二千年後に解ける封印を施されていたんです」
そんなことがあるのか。
「とっくに封印は解けていたんですが、展示ケースに入れられてしまいまして。誰も手に取ってくれなかったので、変身できなかったわけです」
「はぁ」
なんか情報量多すぎてついて行けないな。
「要するに美少女に変身できる魔剣ってことね。私はレイカ・タニガワ。よろしく」
レイカさんは気さくに話しかける。
「よろしくです! アレス様の右腕! 剣士谷川玲香! お会いできて光栄ですわ!」
右腕って。レイカさんは俺の恩人なんだが。
ヴィヴァーチェは素で失礼なことを言ってしまうらしい。
さっき『つっかえな』とか言われた仕返しなのかもしれないが。
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