ラーメン界に革命をもたらした!"うどん大好きおじさん"「林幹雄48歳(フリーター)」

林幹雄

[第1話]ラーメン界に革命をもたらしたうどん大好きおじさん林幹雄48歳フリーター

私の名前は「林幹雄」

物心つく頃から眼鏡をかけていた。

小学校では、頭が良いと褒められ。

中学高校の勉強も難なくこなしていった。

大学は、全国的に有名な「東大」だとか「京大」だとかには劣るが、この辺の人ならほとんどの人が知っているであろう大学を出た。

私は、勉強が得意だった。


大学を出てからは、大手電気メーカーに入社し、手取りが27万ほどあり。

ある程度お金に余裕のある暮らしをして、ある程度綺麗な女性と結婚し、二人ぐらい子供をつくって、ある程度いい人生を送るつもりだった。

だが、そううまくいかなかった。

私は、営業マンだったが、取引をあまり取ってこれず。先方からもあまり好かれたりすることもなく、業績はよくなかった。

上司からは、「役に立たんね」と言われ。

同期たちからは、陰で笑われている、

そんな気がしていた。

その後すぐに辞職した。

その後はなにをやってもうまくいかず、

会社を転々としていた。

ついには、経理を担当してパートのおばさんたちにやり方を教わりながらコツコツ仕事をしていた。この時点で大学までで培ったものはついに生かされることは無くなった。

最初は上手く行った感じだったが、

次第に仕事が出来ないことが浮き彫りになり、更には周りと馴染むことも出来ず、

自分の居場所がどんどんと狭く感じ

最後の会社を辞めることになった。

このとき私は39歳だった。


この時支えてくれたのが、うどんだった。

私は大のうどん好きで、家でもよく出汁から炊き、麺は打ち、具材もこだわり、作るぐらいだった。

特に、チェーン店の「○亀製麺所」と言う店のぶっかけうどんが好きで会社勤めの時は毎日通っていた。

その近くにはラーメン屋があった。

「○亀製麺所」にいくたびに前を通るのだが、ずっとバイト募集の張り紙がしてあった。私はそれを知っていたので、会社を辞めてすぐそこで働くことにした。

えらんだ理由は朝も昼も夜も「○亀製麺所」に寄れるからだ。

ほんとに目と鼻の先にあった。

私は毎日うどんをすすりたいのだ。


わたしは、ラーメン屋のバイトを始めた。

このとき林幹雄は45歳。

大将は私よりも全然歳が上で、明るく、声もでかく、熱苦しい人だが、とても好感が持てた。

ラーメンに対する愛情は本物で、うどんを愛する私と重なったのだ。

初めは、皿をかけさしたり。

ラーメンをこぼしたり、メニューを聞き間違えたりとミスをしてよく叱られたが、

勤めていくうちに、ミスも段々と減り、

段々と大将と信頼関係が生まれて、

若いバイトの子に仕事を教えたり、

自分のやることにやりがいを感じ、

昼と夜にはうどんをすすった。

私の人生の中では一番長続きしており充実した仕事場だった。


うちのラーメン屋では、

たびたび、大将が新しいメニューを開発してコケては、また、新しいメニューを開発していた。

先月もまた「ザリガニラーメン」なるものを新しいメニューとして出して失敗していた。

大体一週間に2.3杯出るくらいだった。

私も食させてもらったが、

ザリガニのアクが強く、それが麺に絡み最悪だった。二度と食べたくない。

だが、「○亀製麺所」のカニの入ったあんかけのうどんはまた食べたい。


そんなある日、

「林さん、ちょっとラーメン作ってみてくれないか?

新しいラーメン作りたくてよ、

お前の味の好みも見たいんだわ。」

大将にそう言われ、私は麺打ちに行った。

店が暇で、大将の機嫌がいい時にここで麺打ちを教わったことが数度ある。

私は大将に

「好きな太さに麺を切って、ダシもお前好みに作ってみてくれ」

と言われた。

大将はよく行き詰まった時は私に相談してきた。

この店の賃料が変わったときや、外装を塗りなおすときの色決め、

また、材料費が高騰した時など、自分で決めればいいものを

この私にいつも助言を求めてきた。

私は頼りにされているような気がして、嬉しかったがいつもこれといった助言をしたことがなかったように思う。

だから、今回ばかりはいい助言になればと思う。

思う。思う。うーーーん。

私は考え事しながら他のことができない人間なのだ。

だから、今気づけばすでにミスをしていた。

麺を切るのはいいのだが、

ラーメンやまぜそばの太さを超えた極太麺サイズになっていた。

いや、言うならうどんサイズ。

これは、もはやラーメンではない

うどんなのだ。


だが、あるだけの生地を全て

この極太麺で切ってしまった。

「あ〜もう!私のバカ!

ま、まぁいいか、、、」

スープだけでもうまく調合して、

大将に少しでも助言ができればいい。

私はこの極太麺に絡むようにまぜそばのように濃厚なタレを絡ませてやろうと思った。

そういえば、前にテレビでラーメン屋の師匠ごえ?

の特集が組まれていたことを思い出した。

店主はお爺さんで、弟子は私くらいの年齢のひとだった。

弟子の人が思考の一杯を作り、師のお爺さんに提供していて。それを食べたお爺さんが、

泣きながら弟子に拍手し、弟子の人も泣きながらそれに答えていた。

そして暖簾を分けた、、、んだっけ?

最後までちゃんと見てなかったか?

あれ、、、歳をとると細かいとこ思い出せないんだよなぁ。ん。あっ?!

私はまたミスを繰り返した。

ボーッと鍋を煮詰めていたのだが、

店で使うスープではなく、

癖でよく家で作るうどん用の昆布出汁を炊いてしまっていた。

そして、それをそれを器に移し、

まぜそば用の鰹の粉末をいれていた。

つまり、これは、

うどん出汁じゃねぇーか。

ついでに先程切った極太麺を絡ませて。

ネギをトッピング。

うどんじゃねぇーか。


ラーメン屋でうどんを作ってしまった。

厳密には麺はうどん麺ではないが。

これはなんたるラーメンへの冒涜、、、。

意図せずラーメン好きたち全員を敵に回した。そんな気がしてならなかった。

そこに大将が来てしまった。

「おう!とりあえず出来たか?!

って麺太くね?

ま、いいけどよ!ちょっと食っていいか?」

と私に聞きながら箸を持ち、私が返事をする前にズルズルと麺をすすった。

「こ、これは?」

私は、怒られると覚悟した。

「上手いじゃんこれ!

なにこれ?超あっさり系って言うの?」

私は、「へっ?」と思わず心の中で思った。

大将は食べ続けながら、感想を述べ続けた。

「へぇーいいじゃん

新しい形のラーメンじゃん!」

うどんです、、、。

「なんか食べたことあるなー

どこの店だっけ?」

向かいの「○亀製麺所」のうどんです、、、。

「そもそも、極太にあっさりのスープあわせるとか前代未聞だよ!

こんな考えどうやったら出てくるんだよ!」

出てきたのはうどんです、、、。

どうやら大将はこのうど、、、らーめんを

たいそう気に入ったようで少し改良を加えて「超あっさり系ラーメン」として売り出すことになった。


なぜかこれが割と好評で、


おばあさん「いや〜これは食べやすいねぇ」

おじいさん「わしも、ラーメンというのは脂っこくて食べれないもんが多いがここのは、ペロッといけてしまうわい。」

それは、うどんです。


男「これうまいな。味のバランスがいいというか。」

女「なんかヘルシーって感じ!ラーメンでもこーゆーのだと食べやすいかも!」

それは、うどんです。


外国人A「うわぁお!これはうまいね!!」

外国人B「これが、ジャパニーズラーメンだよ!!」

ちがう!!This is "UDON"!!


私は、ラーメン界に新しい革命をもたらしてしまった。

その後、私はラーメンのパイオニアとしてうどんを作り続ける宿命を全うとすることになる。

うどん万歳。


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どうも林幹雄です。

いや~あれ以来、店が繁盛してとても大変になりました。

週末なんかほとんどゴロゴロして夜中に少しカップ酒を飲みながら、

大して面白くもないコンプラまみれのクソみたいなテレビを見る生活です。

ところでうちの店の近くにそば屋なんてあったのかな、

たまに職人さんとすれ違うんだよなぁ...


さぁて次回のお話は、

「”林幹雄”48歳フリーターvs殺し屋”蕎麦屋の玄さん”」

「店長、痛風になる。」

「○亀撤退」

の三本です。

では、ジャン・ケン・ポン「パー」

ん?いや待ってくださいよ。やはり「最初はグー」からにしましょう。


最初は「グー」、ジャン・ケン・ポン「パー」

...いや、私忙しいので、店戻りますね。ええ。

では、

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ラーメン界に革命をもたらした!"うどん大好きおじさん"「林幹雄48歳(フリーター)」 林幹雄 @nasumaboo

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