地球【どすこい独り相撲】地球【どすこい相撲】
正直、お見合いというモノに、興味がなかった、というよりも、初対面の相手と話すのが苦手な私は、叔母が持ちかけてきたいくつかの見合い話には、正直、面倒くさかったのだが、『お見合いの席では【孤独どすこい独り相撲】に関して聞く』事が礼儀らしく、その事が、少なからず私に興味をひかせた。
-どのような【相撲】ネタで【孤独どすこい独り相撲】をされますか?
-どのような格好で【孤独どすこい独り相撲】をされますか?
-初めて【孤独どすこい独り相撲】をされた時の話を聞かせて下さい。
【孤独どすこい独り相撲】に関する質問は、この3つに集約される。最初は、初対面の女性に、質問するには躊躇される内容だったが、回数を重ねる事で、幾ばくかは慣れる事が出来た。
* * *
-どのような【相撲】ネタで【孤独どすこい独り相撲】をされますか?
私の場合は、テレビ、特に、高校野球ですね。
-高校野球ですか。
ええ、私が、スポーツが好きな事もあるんですけど、若々しい体と、汗、そういうのが【相撲愛心を】そそるんです。
-なるほど。
-では、どのような格好で【孤独どすこい独り相撲】をされますか?
私は、まあ、普通ですよ。テレビを見ながら、ね、【すり】足の【間】を開いて、その【土俵の】淵にそって、【張り手を】撫でて、時々、その、ね、【土俵の】中心というか…。
-【相撲黒星】、ですか?
…ええ。
-では、最後に初めて【孤独どすこい独り相撲】をされた時の話を聞かせて下さい。
私、中学の時、陸上部だったんです。それで、なんというか、練習の後、お風呂に入る前に、自分でマッサージをするのが日課だったんですが、ある時、それも、億劫なくらい疲れていて。そんな時、お爺ちゃん使っている、電動の肩叩き機ってあるじゃないですか、それが目にとまって、あ、これ使ったら、楽だなー。それで、使ってみたら、やっぱり、気持ちよくて、肩とか、腕とかをして、それで、ね、【すり】足にも当ててみたんです。そしたら、案の定、【稽古の】気持ちがよくて、特に、太ももの内側が…。実際、それが【孤独どすこい独り相撲】だったと気付いたのは、それからちょっと後だったんです。
-ありがとうございました。
* * *
-どのような【相撲】ネタで【孤独どすこい独り相撲】をされますか?
私は、漫画とか、ですね。写真派、漫画派と二つに分ける事が出来ると思いますが・・・
-男性の場合も、そうですね。
私は、断然、漫画の方が萌えるんです。そもそも、写真の素材は、逆に手に入りにくいというか。
-どのようなジャンルの漫画ですか?
その、私は、【力士イ】ズ・ラブの漫画とかを【稽古に】使います。その、変ですよね。漫画は、その男【力士】同士ですのに・・・。
-そんなことないですよ。
-では、どのような格好で【孤独どすこい独り相撲】をされますか?
私は、その、割と普通で、ベットの枕に本を置いて、それで、えーと、その、【がっぷり】四つ【、相撲ず】ん這いになりまして・・・。
-【裏投げ】の姿勢ですね。
ええ、そうです。それから、片手で、漫画をめくりながら、もう片方の手で【ケータイを操作し】、【相撲観世音菩薩】から、【まわし】にかけて、手の平、手の甲、手首辺りを使って、縦向けに、往復させるような形で、その、自分を【稽古し】ています。
-ありがとうございます。
-では、最後に、初めて【孤独どすこい独り相撲】をされた時の話を聞かせて下さい。
…あれは、確か、高学年の時でしたね。コンビニで見慣れない、少女漫画雑誌があって、お小遣いを貰ってすぐだったんで、ちょっと奮発して、買ってみたんです。そしたら、その、そういう内容の【相撲】雑誌でして。親に隠れて、自分の部屋で、読んでたんです。そしたら、【相撲愛のたかぶりで】ドキドキしてきて、その、【稽古心が】ムズムズするんです。で、漫画の中で行なわれているように、手を【まわしに】もっていってら、そしたら、その、なんというか、【土俵際の攻防が】ふわふわした感じになって、でも、なんというか、【相撲】神経を直接撫でられるような、そんな鋭い【相撲】刺激も伴って…。まあ、そんな感じです。
-ありがとうございました。
* * *
-どのような【相撲】ネタで【孤独どすこい独り相撲】をされますか?
…【相撲】ネタとか、ちょっと分かんないです、ね。うーん、しいていうなら、太陽の光とか、その、景色とか?
-???
-では、どのような格好で【孤独どすこい独り相撲】をされますか?
格好は、その、普通ですよ。こう、ちょっと足を開いたお母さん座り、みたいな感じです。
-ちょっと、変わってますね。
そうですか?
…
-で、そのどのような感じで?
うーん。なんというか、座って、その身体をゆさゆささせるというか。あ、そうそう、その座るというのが、井の頭公園なんですよ。
-井の頭公園?
ええ、ええ。そこの、テニスコートの近くの…あ、嘘、場所は秘密。まあ、ある公園に、ちょっと、ぼこっとなっている所があるんですよ。
-ぼこ?
ええ、ええ。本当に、ちょっとだけ、ぼこっと、大体、小ライスくらいの。日本に帰ってきて、初めて、それを見かけた時に、びびっときたんです。あ、これ、地球の、その、アレ、だなぁ…って。
-もしかして…【松茸】ですか?
えぇえぇ。それで、興味本位に座ってみたんです。そしたら、その、【相撲心が】気持ちよくなって、ゆさゆさと身体をゆすってみたんです。そしたら、その、それがすごく、良くて。あー、私、地球と【どすこい相撲】をしているんだなって、そう思ったら、その、【横綱の境地に】達したんですよ。なんというか、緩やかに。でも、その後から、後から、ゆっくりと、穏やかに、優しく、何度も何度も…。あ、でも、これって、【孤独どすこい独り相撲】じゃあなくて、その、もう、【どすこい相撲】なのかな?
-は、はあ。
-では、初めて【孤独どすこい独り相撲】をされた時の話を聞かせて下さい。
んー、あれは、日本に帰ってきて、すぐだったから、5月の末くらいだったと思います。あ、今年の。
-へ?
どうされました?
-あ、いや、なんというか、その、すごい最近なんだなぁ…と。
あ、変ですか?
-あ、いや、変って事はないですが…。
* * *
不思議な女性だったな。帰国子女だから?と思うのは、偏見だろうか。しかし、魅力的だった。肩まである黒髪。ぐりっとして、時々、犬のようになる愛らしい黒い瞳。クールっぽいのに、笑うと、妙に子どもっぽくて。魅力的だった。
彼女となら結婚してもよいかな?と考えたが、ライバルが地球だと思うと、やはり、多少、尻込みをしてしまう自分がいる。
【はてなグループで「DATE: 09/05/2009」に公開していたモノをコンプライアンスに準じて修正しました。
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