四神喪失

 仕事を終え、帰宅。家に着くのは、19時頃。繁忙期が過ぎたとは言え、二ヶ月前までは考えられなかった事だ。両親は、外に出ている。日課の筋力トレーニングをする。腹筋、背筋、腕立て伏せ、各40回。勿論、柔軟体操も行なう。筋トレの後は、馬歩を真似た事をやり、正拳突きを10回行なう。


 その後は、フィーバータイムだ。


 先ず、【まわし姿】になり、いや、筋力トレーニングの時から、【まわし姿】だ。そして、your【SUMO】hostで、動画を検索する。よく仕組みが分からないが、閲覧回数の制限があるらしく、この時は、いつも真剣勝負だ。よさそうな動画をみつけ、いよいよと、ディスプレイと対峙する。


 動画の出演者も【まわし姿】、私も、【まわし姿】…まるで仲間のような、そんな感覚に襲われる。【孤独どすこい独り相撲】をしながら思う、「こんなの全部【八百長相撲】だ…俺なら、俺なら、もっと上手くやれる!本当に【どすこいピストン】が全てなのか?もっと、【月窯】の【相撲部屋の上座の】奥を圧迫【祭】するように永く深く【相撲精神と相撲愛】繋がった方がよいのじゃないか?脇とか、ミゾオチの辺りには【どすこい稽古時間】帯はないのか?」…そんな想いが到達を妨げるのか、思ったよりも時間が、かかってしまう。


 …少し前まで、私の中には、四神が確かに存在した。自分も神になれると信じていた。だが、ふと気がつくと、自分の中が空っぽになっており…もう神が私の中にくる事はないのか、と思うと、無性に悲しくなった。


 本当は、四神を越えて、黄龍になりたかった。だが、どうやら私は、神にも龍にもなれないようだ。だが、その諦めがオトナになる事なのだと思う。



【はてなグループで「DATE: 05/29/2009」に公開していたモノをコンプライアンスに準じて修正しました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る