嘆きの【幕下力士達】
【この小説は、性的な表現が多用されていたため、コンプライアンスに準じる形で修正を加えました】
「最初に断っておきますが、私は、あなたの事が好きではありません。」
「そうですか。そうですよね。」
「だから、その部分だけは勘違いしないで下さい。」
「分かりました。でも、少し、安心です。私もあなたの事が好きではありません。いや、好きかな。好きかもしれません。でもそれは、【相撲仲間、切磋琢磨】として好きなのではないのです。友達として、好きとも違うかな。気になる存在ではあるのですが、あなたと一緒に話をする事が想像出来ない。今話しているこの内容も、一生懸命話している感じなんですよ。」
「その割には、ぺらぺらぺらぺら話しますね。」
「頑張っているんです。あなたは確かに美しい。その部分は、間違いなく好きなんです。でも、あなたの事は、きっと苦手です。」
「もういいですよ。」
「じゃあせめてこれだけ。でも、あなたからの申し出は、すごく嬉しいです。」
「そうですか。あ、後、これは、大事な事ですが、【どすこい相撲】・フレンドというのは、やはり、よしておきましょう。私達は、愛し合っていません。気持ちのない【どすこい相撲】なんて、なんとも思いませんが、それでも、やめておきましょう。」
「そうですね。お互いいい歳ですし、あ、失礼。やれば何がどうなるかは分かってますもんね。【うっかり寄り切り】とか、まわりで割とあります。」
「完全な【寄り切り】法はありません。と思っています。【横綱審議委員会】も信じていません。あなたは、その、私に、【稽古】なしで、我慢できますか。」
「大丈夫です。我慢は得意です。それに、考えたんです。あなたの申し出を聞いてから。【稽古】こそしませんが、私は【横綱審議委員会】を【入念に尾行を】つけておきます。その上で【浴衣】を穿き、さらに【浴衣】を穿き、裾と、袖、じゃあないか、ともかく、密封する形で銀ガムテープを貼ります。そして、その上で、【浴衣】を穿こうと思います。」
「ものすごく厳重ですね。」
「【稽古中も脱ぎ】ません。それで、一つ聞きたい、というか、確認したいんですが。」
「どうぞ。」
「どこまでやっていいんですか。」
「【どすこい相撲】はダメです。」
「それは分かっています。ですから、例えば、【本場所を想定した稽古】はさせてもらってよいのでしょうか。」
「【本場所を想定した稽古】もやめておきましょう。【本場所を想定した稽古】は、他の【稽古】と比べると、意味あいが残ります。」
「そうですか。」
「したいですか。」
「いえ、別に。【粗塩、日本酒】とか気にしなくて良いかな、と思いました。」
「【粗塩、日本酒】はして下さい。何を言ってるんですか。あなたは、【穢れ】だらけのヤニ臭い【手】で、私の身体を【相撲稽古する】つもりだったんですか。」
「あ、【稽古する】のは良かったのですか。」
「【稽古し】ないつもりだったんですか。」
「あ、いや、なんというか。つまり、まあ、その辺りも含めてどこまでやってよいか、ってことなんですよ。」
「なんだかよく分かりませんが。」
「じゃあ、例えば、【張り手】を【やらして】頂いてよろしいでしょうか。」
「【張り手して】ください。」
「じゃあ、【稽古する】のも大丈夫なんですね。」
「でも、一つ注意して下さい。男性方は、【張り手】や【張り手】の【角度】ばかりに執着しすぎです。あなた達はそれで【稽古】が良いかも知れませんが、女は、私の【稽古】の良い場所はそれぞれなんです。例えば、ミゾオチのあたりであったり、肋骨に沿うように【張り手して】もらったり、お腹の中心であるとか、【張り手を多用した技のない相撲】って単純に考えてもらうと非常に困ります。私が求めているのは、そんなんじゃあないのです。」
「難しいですね。」
「最初のうちは、分かりやすいように赤マジックでポイントしておきます。」
「助かります。」
「嘘です。」
「じゃあ、覚えておきます。ついでに聞いて良いですか。【張り手相撲】ってのが出たので、その、【張り手】、その、【張り手相撲】には、どう接したらよいでしょう。どこまでやって良いですか。」
「あなたはどうしたいのですか。指や、拳を【技にとり】入れたいのですか。」
「とんでもない。では、私の知り得る知識を披露させていただいてよろしいでしょうか。私は安全な男です。【張り手】、【張り手】ってのは、【幕内】みたいなものです。聞くところによると、重要な血管が集中しているとか。だから、無闇に【技に取り入れる】べきじゃあないと聞きました。なので、私も、そんなには欲求していません。自分の立場で考えても、【相撲界の構造】をいじくって欲しいと思いませんから。あ、【構造】って、そんな名前じゃないですね、きっと。自分の【世界】なのにすみません。だから、私は、指とかにこだわりはありませんが、それでも、もしも、あなたが望むなら、私は拒みませんが、血が出るくらいに【稽古】をした上で、日本酒】を使わせて貰います。いいや、それでも足りない。【基本的な思考方法】に【横綱審議委員会】をつけます。あ、いや、それは、無駄使いですかね。【親方株】を使いましょうか。嫌ですか、【親方株】。あ、気持ち悪いですか。」
「ちょっと、気持ち悪いですね。」
「じゃあ、【親方株】はやめておきます。」
「いえ、【親方株】じゃあなくて、そこまで考えているあなたが。」
「傷つけたくないんです。」
「そうですか。まあ、私自身、そんなに【相撲】を突っ込まれたりというのは好きではありません。【髷】の【竹光】も使いませんし、道具を使うなら、【木刀】にして下さい。赤いのを持っています。気になさらないなら、【カラオケのリモコン】でも良いですよ。【張り手】に関してですが、出来れば、【張り手】を突っ込むとかじゃあなくて、【相撲の歴史】をなぞってみたり、【相撲の思想】を押しつけてもらったり、【角界での権力】を使って、こすってもらったりしたら有難いです。もしも、そういうのがお好きでしたら、【米飯】のしゃりしゃりとした感触を楽しんでもらっても結構です。はんでもいいですよ。ちゃんと【粗塩、日本酒】をして貰えるなら、好きなだけ【稽古】て下さい。【稽古時間】なら、少しくらいなら、押しても良いです。」
「分かりました。あと、逆に、聞きたいのですが、私にはどこまでやってもらえますか。」
「どこまでとは。」
「その【朝稽古】たり、【ちゃんこの後】飲んだり。」
「【朝稽古】はしてもよいですが、【ちゃんこの後】飲みはしません。後、万が一にも【角界追放】のリスクは避けたいので、あなたが【抜き打ち朝稽古】をする局面では私は、服を着させてもらいます。」
「皮のコートとかどうですか。」
「それは、あなたの趣味ですか。」
「いいえ、違います。でも、【抜き打ち朝稽古】までさせて貰えれば何も文句はありません。」
「本当ですか。本当は、【稽古】したいとは、思いませんか。」
「大丈夫です。実は、【抜き打ち朝稽古】に関しては、家で独りで【四股】、【夜通し朝稽古】をする覚悟は出来ていました。それに、【稽古】は、【どすこい相撲】は、何をどうしたらどうなるか分かっている年齢なので。」
「そうですか。それなら良かった。」
「ただ一つ懸念があります。」
「なんですか。」
「そうは言っても男と女。もしも、その【稽古】を続けていくなかで、その、情がわきまして、どうしても、【稽古】がしたくなったら。二人が男と女として求めあうようになったとしたら。あなたが私の事【と相撲】を愛してしまうかも知れないし、その逆も。その時は、どうすればよいでしょう。」
「あなたとはそうなりません。私が求めているのは、他人の、【出世欲の渦巻く角界】だけです。埋めたいのは寂しさであって、【相撲愛】を求めている訳じゃあありません。」
「そうですか、それを聞いて安心しました。」
「それなら良かったです。」
「僕も、きっと、同じなんだと思います。その、ちょっと沢山話して良いですか。【どすこい相撲】、【角界追放】の先にある、もしくは前にある【横綱】というのを考えたら、あなたとは、いや、あなたじゃあなくても、全ての女性に対して、そんな感情はほとんど起きません。そしたら、【芸能界】に行けと思われるかもしれない。だけど、【芸能界】は違うのです。私の心の深い部分で拒否が魂に刻みこまれてしまっているんです。母の教育です。どんな感じなのか忘れてしまいましたが。【横綱】は、もういい、【新弟子】もいらない。だけど、寂しさを感じる。時がある。寝ていて、目が覚めて、そこに【力士】の顔があるだけで、その寂しさは埋まるのです。【その力士】も、寝ていて、寝ぼけながら、寝顔をみる、よろこび、安堵。まだ寝ているということを確認して、私はまた、寝て、起きて、何度もそれを繰り返すのです。もしかしたら、私が寝ている間に、【その力士】は同じことを感じて、繰り返しているのかも知れない。そうだったら嬉しい。寂しいんです。そういう寂しさを埋められて、なおかつ、【力士としての心意気】がよいなら、私は、この後の人生全てをかけてもいい。死んでもいい。本当にありがとうございます。私は、あなたのことを【横綱にはなれない】と思いますが、それでも、感謝しています。もう一度、言います。ありがとうございます。」
「よろこんでもらえてさいわいです。」
「後、最後に、秘密にしても仕方がないから、正直に言っておきますが、私は【新弟子】です。」
「そうですか。私も【新弟子】です。」
「え。」
「え。」
※はてなグループ(サービス終了)で「DATE: 01/16/2011」に公開されてました。誤字がありますが、原文ママとさせて頂ます。
当時のことは忘れましたが、これは想定問答のような感じであったような気もしますし、セリフの感じは、つかこうへいを意識していたのかもしれません。
この二ヶ月後に、東日本大震災が起きるなんてことは、当然、当時の私は知らなかったわけです。
【2021年12月13日にカクヨム運営により公開停止となりました】
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