死神と呼ばれる侍の幽霊
まにゅあ
第1話
死の図書館と呼ばれる図書館があった。
入館した者が翌日に死んだり、死に関する本ばかりが
けれど、残りの一割の者――実際にはもっと少ないかもしれないが――は、気づいてしまうかもしれない。
黒の
この場合の「場違い」とは、何も侍が本を読んでいることではない。戦国時代を生きた侍たちの中には本を読んでいた者もいただろう。当時は今の図書館のような立派な施設があるわけでもなく、本を手にすることのできる者が数少なかったと言えど……。
「場違い」という言い方が分かりにくいと言うのなら、「時代にそぐわない侍がなぜ現代に?」と言い換えれば伝わるだろうか。コスプレと言ってしまえばそれまでだが、実際に視えた者にとっては、彼あるいは彼女――外見からは男か女か判別できないような中性的な容姿をしている――が、「本物の侍」であると分かってしまう。
どう見ても、どう感じても――
本物の侍の幽霊である。
脳みそがそう直感してしまう。証明しろと言われればできないのだが。
どんな本を読んでいるのかと表紙に目を向けるが、途端にタイトルも著者名もぼやけてしまってよく見えなくなる。不思議だが、これまでに彼の呼んでいる本のタイトルが視えた試しはなかった。
「気が散るから
こちらを
性別について本人に
館内の一角の席に腰掛ける
「お断りだと言っている」
「そこを何とか頼む」と武蔵に頭を下げる。
彼と接する俺が周りからどう見えているかと言えば、そこは上手く見えているらしい。誰もいない席に語り
話が
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