春のお届けもの

星織

第1話 春屋 菫

 俺は、春屋はるや すみれ

名前でよく間違えられるが男だ。母が菫の花が好きで名前につけたらしい。


 中学の入学式の日、自分の名簿番号の席に座っていたら担任の先生に、

「そこは春屋 菫の席だぞ?」

と言われたので、

「春屋 菫は俺ですが?」

と返したら凄く驚かれた。名前で女子生徒だと思っていたのだろう。


 まあ、こんなことは入学や担任が変わった春にはよくあることなので慣れてしまった。


 俺の一家、春屋は先祖代々『皆に春を届ける事』をモットーに仕事している。

皆の悩みを聞いて、できることであれば解決、悩みを緩和できるように日々努めている。

 春を届けるなんて空想的な言い方では伝わりづらいと思うので、自分的に言えば『相談屋さん』だと思う。


 そして俺は、春屋の当主になる為に春屋代々が卒業した春風しゅんぷう高校、通称S高に入学し、いろんな人の相談を受け、春屋の仕事に慣れるための修行をしていこうと思っている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る