第18話 やっぱりお前が悪い
目覚めたら次の日の朝だった。
いつものように朝日と鳥の囀りという名の雄叫びで目を覚ました。
魔界の鳥は赤色の頭に鳥の体、尾には黒い蛇が付いている姿をしており、朝一番に鳴くのだが決して可愛いものじゃない。ギャァゴェエ〜!みたいな感じでこの世の終わりを告げるかのような声を出す。これが毎日太陽が出るわけではない魔界にとって朝の指標になっている。
そんな声に起こされてしばらくは余韻でぽやぽやしてたんだけどだんだんと昨日のことを思い出してきて恥ずかしさにベットの上をのたうち回ることになった。
ほんとに昨日の出来事はなんだったのか!
またしてもあの後一切の世話をやかれたことが一目見てわかる。
明らかに昨日とは違う服に下着まで…
まぁあんなことしたんだから変えないといけなくなったのはわかる。
でも、そもそもあいつがちょっかいを掛けなければ済んだ話で、全部、全部あいつが悪いんじゃないか!
ふつふつと怒りが湧いてくる。
どうしようもないので枕をサンドバックにポスポスとパンチをする。
しばらくすると枕が目の前から消えた。
ふと顔を上げると呆れた顔をしたカマエルが枕を俺から取り上げていた。
「何してるんだ……昨日は慣れないことに無理させたかと思ったが、そんなに元気なら心配はいらないな。」
「〜〜〜っ!」
「なんだ、顔真っ赤だぞ。もっと…か?」
「なっ、なっ、何を言ってるんだ!バカ!」
やつの意味深なセリフに昨日の感覚が呼び起される。
細い指が肌を滑り胸の突起をいじることでだんだんと身体の熱が高められ、耳からは遠くで聞こえる誰かの嬌声とやけに響くやつの命令。そして…
もう考えちゃダメだ、絶対ダメ。
あんな気持ちのいいことほかに知らない。
でも"知らない"は怖い。
カマエルが知らないを与えてくることに怖くないかと言われれば嘘になるがこいつは俺が嫌なことや悲しんだりするようなことは俺にはしないとわかってる。
伊達に付き合いは長いからな…
でも、そうすると昨日のあれは嫌じゃなかった?
いやどころか、途中からはやつの言う通りもっととさえ思っていた自分がいる。
思い出すと下腹がきゅっとなって少し切ないなと思う。
これは病気か何かかもしれない。
そもそもやつはなんであんなこと僕にしたんだろう…
考えてもわからない。自分が自分でなくなるような感覚は少し怖かった。
だからもう二度とカマエルには触らせない。
僕に勝手に触ったら、絶交だ!って言ったらどうなるかな?聞かないだろうな…
でもしばらくは警戒するに越したことはない。
なんだかんだカマエルに連れられご飯を食べさせられた。
特に何もしてこなかったが、終始にやついている顔がすごくムカつく。
ベルの警戒心はこの後1ヶ月続き、その間カマエルに指一本触れさせないことをこの時点でのカマエルは知る由もなかった。
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