第75話 芸術は爆発だ
エリート街道にキャリアウーマン……
「ん? 布津野君、何か言ったかい?」
「えっ!? いっ、いえ、別に何でもないですよ!!」
やべぇ……思わず声に出してしまったぜ。しかし、さすが生徒会の人達だけあって、二人共凄い名前だな!?
「私達の自己紹介が終わったから次が根津にぃと津田くん、自己紹介をしてくれるかな」
「オッケー、それじゃぁ俺から自己紹介をするぜっ! 俺は3年のアクティ部部長『
「えっ、俺ですか? そうですね俺はだいたい3、4時間くらいですかね……」
毎晩、皆からのメール攻撃のお陰で俺はいつも寝不足んなんだよ!!
ほんと、マジで何とかならないものか!?
「おーっ!! なかなかだねぇ?」
え? 何がなかなかなんだ?
「俺は毎日睡眠は2時間って決めているんだよ。もし寝ている間に何か面白い事が起きてしまったらめちゃくち後悔するだろぉ? だから俺はできるだけ起きている様にしているんだよ!! でも君はやっぱりうちの部向きだと思うなぁ。『普通の子』が毎日3、4時間しか睡眠をとらないなんて、それは『普通の子』ってよりも『異常な子』の方がピッタリこないかい!? ハッハッハッハ!!」
こ、こねぇよ!!
毎日2時間しか寝て無いのにその元気さって……あんたの方がよっぽど異常だよ!!
でも『普通の子』と言われるより『異常な子』って言われる方が心が落ち着くのは何でだろうか!? 俺が『異常な子』ってのを認めているのか!?
しかしこの根津部長……『寝ている間に面白い事があったら後悔する』って、どこかの『お笑い怪獣』と同じ事言ってるよな!?
それと、肝心な根津部長のフルネームは『
ん、待てよ?
『ねずげんき』……『ねずにぃげんき』……『寝ずに元気』……
あぁ〜ハイハイ、わかりました~参りました~っ!!
「オイッ、『ネッチー』!? あんたの自己紹介はもう良いから、早くアタシに自己紹介させなさいよ!!」
「おっ、ゴメンゴメ~ン津田ちゃん。そんなに怒らないでくれよぉ。ほんと君って気が短いよねぇ」
「当たり前だ!! 気が長い芸術家なんてのは二流の芸術家だ!」
この津田さんって人、さっきからちょっと怖いんだよなぁ……
身長はテルマ先輩並みに小柄だけど見た目は金髪に近い髪色のショートカットと思いきや、実は後ろ髪は太ももの方まで伸びてるし、前髪長すぎて口しか見えないし、服装も乱れているし……
それと、さっきから美代部長の事は『オッチー』、根津部長の事は『ネッチー』って呼んでたけど、この人は最後に『チー』をつけて名前を呼ぶ癖があるんだろう。
それじゃぁ、俺の事はどう呼ぶんだろうか?
『フッチー』かな? それとも『ヒッチー』かな? 少し楽しみでもある……
「で? 君は『布津野君』って言ったっけか?」
「へっ? あっ、はい……」
「ん、何だ? その残念そうな顔は?」
「い、いえ。まさか普通に『布津野君』って呼ばれると思っていなかったもので……」
「ハッハッハッハ!! そういう事かい。いや、アタシは誰彼無しに『チー呼び』をしている訳では無いんだぞぉ!!」
「えっ、そうなんですか?」
「あぁ、そうだ。私が名前に『チー』を付けて呼ぶ奴等は私が見下している奴等だけなのさ。アーハッハッハッハ~!!」
「えっ? じゃあ、私は津田さんから……」
「え―――っ!? 津田ちゃん。そうなの~っ!? 俺、津田ちゃんに見下されてたの~っ!?」
「あぁ、そうだ。今まで気付かなかったのか? 相変わらずスポーツ以外はダメな奴だな。でもネッチーの事をそう呼ぶようになったのは最近だけどな……」
「だよな~? だから俺は津田ちゃんがついに俺の事を『友達』として認めてくれたのかと密かに喜んでいたのに……」
「まぁ、アタシも去年までのネッチーは運動部の奴等よりも運動ができるという面では一目置いていたけどさ……でもアンタさぁ~……」
「でも何!?」
「でもアンタ、『ダブり』じゃん!! 本当はこの場所にいるのもおかしいよな? アタシは勉強できない奴は尊敬できないんだよ!!」
ガ―――――――――ンッ!!!!
わぁ、さすがにあれだけ元気のあった根津部長でもショックがデカすぎてテーブルの上で頭を抱えているぞ。かなり凹んだんだろうな……
グ―――ッ……グ―――ッ……
????
バシィッ!!
「こらぁっネッチー!! 落ち込む振りをして寝てるんじゃねぇよっ!!」
根津部長、あんた寝てたんか――――――いっ!?
「で、布津野君。アタシは君に少し興味があったからアーカイ部の奴等を使って色々と調べさせてもらったんだよ。君が『普通の奴』から『なんか凄い普通の奴』に昇格したことなど……」
俺、『昇格』してたのかっ!?
ってかアーカイ部って色んな人にこき使われているんだな?
少しだけモブオが可哀想に思えて来たぞ。
「ネガティ部の中で現在、『居ないと困る存在』になっている事や……」
えっ? 俺がネガティ部には居ないと困る存在だって?
「それと君は絵を描くのは得意だそうだが今まで応募したコンテストでは『努力賞』『特別賞』『佳作』しか受賞した事が無いってのもな……」
なっ、何で俺の中途半端な『絵』の遍歴まで知ってんだよ!?
っていうか、その情報関係なくないですか!?
皆の前で言われたらめっちゃ恥ずかしいんですけど……!!
「そういう事でアタシは布津野君の事を『今は』それなりに認めているから『チー』は付けないのさ。まぁ『今は』な……」
何故、『今は』を2回言ったんだ?
「ところで津田君、そろそろ自己紹介をしてくれないか? 早く総会を始めたいんだが……」
「ちょっと待てよ『海藤』!! アンタに言われなくても今から自己紹介をするところなんだ!! ほんとアンタはいつでもどこでも『クールメガネ』な奴だな!!」
こ、この場合、津田部長は海藤会長の事を認めているから『海藤』と呼ぶのか、それとも見下しているから『クールメガネ』と呼んでいるのか……一体、どっちなんだろうか?
「それでアタシはクリエイティ部部長をやっている3年の『
「え? 座右の銘ですか?」
「そうだ。アタシの座右の銘は……」
「座右の銘は……?」
「『芸術は爆発だ』だ!! よく覚えておくんだな」
全っ然、意味分からんし、覚えても何の役にも立たねぇよ!!
ん、でも待てよ?……
『つだばくは』……逆さにすれば『ばくはつだ』……
芸術は……『ばくはつだ』…………
まさに、『芸術は爆発だ』じゃねぇかっ!!
もっ、もう勘弁してくれ~っ!!
お腹一杯だってば――――――――――――っ!!!!
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