第73話 生徒会長&アクティ部部長

 【四大茶部総会会場の生徒会会議室前】


 うわぁぁぁぁぁぁぁ~!!

 めちゃくちゃ不安で緊張してきたぞぉぉ!!


 生徒会長やテンテンさん以外の部長さんと顔を会わせるのも初めてだし、マジでヤバいぞ。 

 

 よりによって何で1年生の俺が『四大茶部総会』に出席しないといけないんだよ?

 それも『学園長命令』ってどういう事だ……


 全然、意味が分からねぇぞ。もしかして親父と学園長が友達っていうのが関係しているとかなのか? それなら親父に文句を言わないと……でも何て文句を言えばいいんだろう? っていうか、今はそんな事を詮索している場合じゃないな。


 俺なんかよりも、美代部長の方がもっと不安そうな表情をしていて今にも倒れそうで心配だからなぁ……俺まで不安な顔をしている場合じゃないよな? 


 俺だけでも『普通の顔』をしなくては!! って、誰が『普通』だ!!


「み、美代部長、そんなに緊張しなくても俺が傍にいますから大丈夫ですよ」


「あっ、有難うございます。一矢君が一緒に出席してくれて本当に良かったです。じゃないと私はとっくに倒れて頭を会議室のドアにぶつけているところでした……」


「いや倒れたとしても頭をドアにぶつけるのだけは避けましょうってか、美代部長が倒れでもしたら速攻俺が支えますのでご心配なくです!!」


(ポッ)「一矢君が私を支えて……それなら倒れて……」


「え? 何か言いましたか?」


「い、いえ何でもありません。少し緊張はしていますが、1人で出席する事を考えれば全然マシですし……ほんと、学園長に感謝しないといけませんね……」


 俺は逆に学園長を昨日から恨みまくりだけどなっ!!



 ガラッ、ガラガラッ


「し、失礼します。遅くなり申し訳ありません……」

「しっ、失礼します!! 本日、越智子部長の補佐として出席させて頂きます1年の布津野です。今日は宜しくお願いします!!」


「おぉ、元気な1年生だなぁ。よく来てくれたね。さぁ、2人共席についてくれたまえ。それに他の部長達はまだ誰1人来てないよ。越智子君達が1番乗りさ」


 うわぁ~っ!!


 こ、この人はこの学園の『生徒会長』……入学式で挨拶しているところを見ていた以来だなぁ。でもあの時は距離が離れていたから顔がよく分からなかったけど、間近で見るとかなりのイケメンメガネ男子だったんだな!?


 髪の色は真っ黒で髪型はオールバック風……男の俺から見てもかなりカッコイイ。そしてメガネのレンズ越しから見えるあの鋭い目……只者では無いような気がするぞ。絶対、敵に回すと怖いタイプだなこれは。俺の『動物的勘』がそう言ってるぜ!!


 この人の見た目ってまさに『エリート』を絵に描いた感じだな!!


「え? 私達が1番のりなんですか、海藤君……?」


 会長の名前って『かいどう』っていったのか。全然、覚えてなかったわ。


「さぁ、お2人共こちらの席へどうぞ」


 ん? この品のある美人は誰だろう? 


 生徒会の人には間違いないだろうけど……茶色がかった長い髪に毛先が少しパーマがかかっている感じで色白で顔が凄く整った美人さんだよなぁ。姿勢も凄く良くて何か『できる人』って感じがするぞ。それになんといっても、む、胸が舞奈級にデカい……って、俺はこんな時に何を考えているんだ!?


「あ、有難うございます、卯馬ううまさん……」


 『ううま』? この人の苗字かな?

 それとも『ううま』って名前のほうなのかなもしれないな?


 いずれにしてもこの学園には『へんてこりん』な名前の奴ばかりが集まっているよな!! って、俺も人の事は言えないけども……



 ガラッ、ガラガラッ!!


「お―――っス!! 海藤、俺が1番乗りかーいっ!?」


「残念だな。根津兄ねづにぃ……君は2番乗りだ」


「へっ!? 『ねずにぃ~』??」


 し、しまった!!

 思わず声に出してしまった!!


「フフフ……布津野君が驚くのも無理は無い。そう私は今、彼のことを同級生なのに『根津にぃ』って呼んだからね。まぁ簡単に説明すると彼は『ダブり』なんだよ。だから私よりも1個上だから苗字の『根津』に『兄』を付けて『根津にぃ』って呼ぶようにしている。私が彼にできる最大限の気遣いってやつだな」


 うわぁこの会長さん、アッサリと言いにくい事をそれも本人の前で言っちゃったよ。


「オイオイオイッ、海藤!? 全然今の説明は簡単じゃないぞぉぉ!! はっきり『ダブり』だって言っているじゃないかぁああ!!」


 ほらやっぱりな。さすがに俺みたいな1年生の前で恥をかかされた感じだし、そりゃぁ怒るだろう。


「海藤、そんなアッサリと言われると照れるじゃないかぁ!!」


 照れただけかよ!?


「フッ、照れてる場合じゃ無いだろ? 今年は大丈夫なんだろうな? 学園内で成人式を迎えるっていうのは勘弁してくれよ?」


「分かってるって、大丈夫大丈夫!! 来年はちゃんと卒業するから大丈夫さ!!」


 しかし、この根津さんって人は子龍先輩並みに背が高くて髪色も同じだなぁ。でも髪型は子龍先輩とは真逆の短髪、これって『角刈り』なんだろうか? それに体型もガッチリしていて見るからに『スポーツマンタイプ』の人だ。


 ただノリが『テンテン部長』に近い感じがするのが不安なんだよなぁ……でもあのテンテン部長以上にテンションが高い人なんてこの学園内には存在しないと思うから根津さんの方がマシだとは思うけども……いや、思いたいぜ。


「おーっ!? 君は越智子部長の付き添いの子じゃないのか?」


「え? あ、はい!! 1年の布津野といいます。根津部長、本日はよろしくお願いします!!」


「お~っ!! 君が布津野君か~っ!? 噂はよく聞いているぞぉ!! 『何か凄い普通の子』という異名があるみたいだねぇ!? まぁ異名はどうでもいいけど見た感じ元気があって礼儀正しくて俺は気に入ったぞ!!」


「あ、ありがとうございます……」


 その異名、久しぶりに聞いた気がするぞ。しかし根津部長まで知っているなんてなんか凄く恥ずかしいんだけど……


「あの天翔が君をポジティ部にスカウトした気持ちが分かる様な気がするよぉ!! それでさぁ、どうかな? 天翔の誘いなんて無視してさ、うちの『アクティ部』に来ないかい!?」


「えーっ!!??」


 ガラッ、ガラガラッ!!!!


「オイッオイオイオイッ『ゲンゲン』!! 僕がいない間に抜け駆けはダメでしょう!? 彼は前から僕が狙っているんですからね~っ!! って、あっ!? ミヨミヨ~いつも綺麗だね~っ!? 君の顔を見たら今日一日の疲れが吹っ飛んでしまったよぉぉ!! 今日の総会はお手柔らかに頼むよぉぉ!? あ、それとヒトヤン君も宜しくねぇ!? 君とは久しぶりにあった気がするけど、ヒトヤン君も元気そうで何よりだよ―――っ!!」


 あぁ~遂に一番ややこしい人が来ちゃったよ。


 それと今、テンテン部長は根津部長の事を『ゲンゲン』って呼ばなかったか?

 きっと根津先輩の名前の一部からきているんだろうけど、どの部分を取ってるんだろう? 


 っていうか、俺はどちらの部にも行かねぇよ!!

 なんで俺は濃いキャラの男子にだけ人気があるんだよ!?


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