第47話 とにかく帰ってくれ
なっ、何でここに天翔部長が来るんだ!?
っていうか何で俺の家を知っているんだ!?
でも今はそんな事はどうでも良い......
あまり家の前で大声を出されたら近所迷惑だし、何より恥ずかし過ぎるわ!!
ここは美代部長を守る為にも、俺が気合いを入れて、面と向かって追い払わなければっ!
・・・・・・
・・・・・・
いや、ここはインターホンで応対した方が……べ、別にビビっている訳じゃないからな!!
ポチっ
「ど、どちら様ですか? セールスならお断りなんでお引き取りください……」
「おーっ!! この声は普通じゃ無くて布津野君だね!? まさか君がインターホンで出てくるとは思わなかったよ~っ!!」
「イッ、イヤ、ここ俺の家なんで、俺が出るの当たり前じゃないですか?」
「ハッハッハッハ、そうだよね!? 言われてみれば君の言う通りだよ!! これは一本取られたな~っ!!」
「全っ然、一本なんか取ってませんから!! それに、ここには美代部長は居ませんので速やかにお引き取り下さい!!」
「おっ? 何だ布津野君、さっきまでの僕の独り言が聞こえていたのかい!? それとも君は『エスパー』か何かなのかい!?」
「どっ、どこが独り言だよ!? 近所に丸聞こえなくらいにデカい声だったじゃねぇか!! それに今時『エスパー』って言葉使う奴いねぇよ!! 俺は『魔美』じゃねえしな!!」
ハッ!!
し、しまった……思わずタメグチで突っ込んでしまったぞ。これは、ヤ、ヤバイかも……
「ナイス突っ込み~っ!! やはり君は最高だよっ!! 僕が期待していた以上の突っ込みだね!! 『エスパー』の突っ込みの後にまさか『魔美』まで持ち出してくるとは……なんて素晴らしい~っ!! 布津野君、君は最高の『突っ込み師』だよ~っ!!」
タメグチは良いのか!?
それに、まさか俺の突っ込みをあんなに褒めてくれるとは……なんだか悪い気はしないなぁ……
って、俺はなに喜んでいるんだ!?
ここで何とか天翔部長を食い止めなくては!!
「とっ、ところで何で天翔部長は俺の家を知っているんですか!? それに何でうちに美代部長が来ているとおっしゃるんですか!?」
「なぜ僕が君の家を知っていてミヨミヨがここに居るって知っているかだって!? それは勿論、僕が大尊敬しているルイルイ先輩が教えてくれたからに決まっているじゃないか~っ!!」
なっ、何だと――――――――――――っ!?
あの女、自分は来るなって言われたから、それに対する報復だな!?
きっとそうに違いない!!
ちくしょう、何て女だ……
それでも俺達の顧問かよ!?
「それにルイルイ先輩はこうも言ってくれたんだ~!! 僕が行けば『ミヨミヨも布津野君達も凄く喜ぶぞーっ』ってね~っ!!」
だっ、誰も喜ばねぇよ!! 逆に大迷惑だわ!!
「てっ、天翔部長……その時のルイルイの表情はどんな感じでしたか?」
「えっ、ルイルイ先輩の表情かい? う~ん、そうだなぁ~満面の笑顔だったと思うよ!!」
あの女ぁ……
いつか痛い目に合わせてやる!!
「いずれにしても天翔部長、ここには美代部長は居ませんのでそろそろ帰って頂けませんか? お願いします!!」
「う―――ん、でもあのルイルイ先輩が僕に嘘をつくとは思えないんだがな~」
「あっ、天翔部長それは嘘では無くてルイルイ独特の『からかい気味のギャグ』ですよ!! 天翔部長と俺とのやり取りを、絶対どこかでコッソリ見ていて腹を抱えて笑っているはずです!! ぜ、絶対そうですよ!」
「なるほど、そういう事かっ!! さすがは布津野君だね!! 僕なんかよりもルイルイ先輩の性格をよく分かっているみたいだね!? これは恐れ入ったよっ!!」
「分かって頂いて嬉しいです。ということで、そろそろ帰って頂けませんか?」
「ところでさ、布津野君?」
「な、何だよ、まだ帰らねぇのかよ!?」
しまつた。またしてもタメグチで……
「いやぁゴメンゴメン……今の突っ込みも最高だったけどさぁ、一つだけ気になる事があってね~」
「な、何なんですか!?」
「せっかく僕と君はこうやって楽しく会話ができる間柄になったんだ。だからもう僕の事は『テンテン』って呼んで欲しいなぁと思ってね~それで僕は君の事をこれから『ヒトヤン』って呼びたいんだが、構わないかな~!?」
何が楽しい会話ができる間柄だよ!!
でも……
「その要望に応じれば絶対に帰ってくれますか!?」
「ああ、勿論だとも~っ!!」
「わ、分かりました『テンテン部長』……これでいいでしょ? どうかお引き取り下さいませ!!」
「オッケー、了解ですっ! !せっかく今日、家を覚えたことだしまた遊びに来るよ『ヒトヤン』!! それではまた明日、学校で会おう!!」
二度と来るんじゃね――――――よっ!!!!
ハァ、ハァ、ハァ……
めちゃくちゃ疲れたぜ……
「あのぉ……一矢君……」
「えっ?」
「一矢君……私を助けてくれて有難うございます……」
「あっ、美代部長に、皆さんも居たんですか?」
「一矢君、凄かったよ!! あのテンテン部長にあそこまでの事を言えるなんて……惚れ…いや、見直したわ!!」(ポッ)
「菜弥美先輩……そ、そんな凄い事では無いですけども……」
「一矢君……今日の夕飯……ご褒美としてわ、わ、私が一矢君に『あ~ん』して食べさせてあげるわ……」(ポッ)
「えーっ!?」
こんな俺にそんな事をしてくれるんですか!?
っていうか、そんな『あ~ん』しているところを母さんや皆に見られるのは恥ずかし過ぎるって……
「じゃあ私も一矢に……あ、あ……っ、う~…む、無理〜っ!! 一矢、ゴ、ゴメン……」
「舞奈、謝らなくていいから……」
「じゃあ、僕が代わりに『あ~ん』を……」
「子龍先輩、もう家に帰りますか!?」
「ゴッ、ゴメン、一矢君!! それだけは許して下さい!!」
どっちが先輩だ!? ついに立場が逆転しちまったな!?
「一矢君、本当に有難うございます。あなたが入部してくれたお陰で学園生活残りの1年はとても安心して過ごせそうです……」
「美代部長、そんな大袈裟だなぁ~」
「いえ、本当ですよ。私はとても感謝しているんです……あの……」
「あの?」
「そう、あの『占い師』を……」
占い師にかよ!?
ピンポーン……
!!??
「ヒトヤ~ンッ!! まだ言い忘れていた事があるんだけど良いかな――――――っ!?」
まっ、まっ……
まだ帰ってなかったのかよ―――――――――っ!!??
早く帰れよ――――――っ!!
じゃないと俺、引っ越しするからな――――――っ!!!!
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