第30話 2年生トリオ
さぁ、やっと昼飯にありつけるぜ!!
屋上のドアの鍵、ちゃんと開いているだろうなぁ~?
ガチャッ……
おっ、開いてるぞっ!!
良かったぁ……
ギィ~ッ……
んっ?
何だか人影が見えるぞ?
誰だろう? せっかく一人で静かに昼飯をて、あっ!?
「菜弥美先輩とテルマ先輩に子龍先輩じゃないですか!?」
「おっおーっ!? 一矢君かぁ~ビックリしたじゃない。普段、私達以外はあまり屋上に上がって来ないからさぁ……」
「えっ、そうなんですか?」
「うん、そうなのよ。基本的に屋上に入るのは禁止になってるからね。ただ私達三人は学園の許可を貰っているんだよ。それと、鍵も特別に一つずつ貰っているしね」
「え―――っ、それってメチャクチャ良いじゃないですか!? 凄い特別扱いですよねぇ?」
「ま、まぁ……特別と言えば聞こえは良いけどもさ……」
「えっ、菜弥美先輩、何か深い理由でもあるんですか?」
「ま、まぁ……そこら辺の話は食事をしながら話そうよ? さぁ、一矢君もここへ来て一緒に食べよう?」
「え? あっ、はい、そうさせてもらいます!!」
ちょっと三人とは距離を空けて座ろうかな……
やっぱ先輩だし、いくら慣れてても少し緊張するしな。
よっこらしょっと……って、んッ!?
テ、テルマ先輩が、急に立ち上がって俺の左隣に座ったぞ!?
一体、どうしたんだ!?
「テルマ先輩、俺の横なんかに座って嫌じゃ無いんですか?」
「別に嫌じゃ無いからだから隣に座ったの……最近私の出番が少なかったから、一矢君の隣にいればきっと出番が多くなると思って……」
そっ、そんな事は作者に言ってくれよ――――――っ!!
「今のは冗談よ。部活でも私はあまり一矢君とお話出来ていない様な気がするから、この時間はゆっくりお話出来るかなぁ〜と思って……もし一矢君が嫌なら、私は家に帰るけど……」
「い、嫌な訳無いじゃないですかっ!! って、家に帰る必要は無いでしょ!?」
「プッ、フフッ。面白過ぎるよ……私ね、一矢君のそんな突っ込みが大好きよ……」
ぅわ――――――ッ!!!!
テルマ先輩の何とも言えない天使の様な笑顔が超絶可愛過ぎなんですけど――――――ッ!!
俺の弁当と一緒に、テルマ先輩も食べちゃいたいくらいだわ!!!!
くぅ~っ、頭ナデナデしてぇえ――――――っ!!
「そ、それじゃあ一矢君の右隣には僕が座ろうとしよ––––」
バンッ!!
「いっ、痛てっ!!」
「あらっ? ゴメンなさいね子龍」
な、菜弥美先輩、今ワザとぶつかりましたよね?
子龍先輩とぶつかる瞬間の目、あれは殺意のある目でしたよっ!!
そして何事も無かったかの様に、普通に俺の右隣にチョコンと座って……
「私も一矢君とゆっくりお話がしたいわ。いつも部活での私は一矢君の質問に答えているだけの様な感じだし、夜のメールは文章だし……あれじゃ本当の会話じゃ無いもんね?」
な、菜弥美先輩……
俺はいつも美代部長に質問しているんですよ。
それを美代部長が答える前にあなたが奪い取っているのは御存じですかっ!?
「んん? どうしたんだい一矢君? あまり私の顔をジロジロと見ないでくれないかな? テルマみたいに気にし過ぎる事は無いけど、とても恥ずかしい……」
うわ~っ!!
やはり美代部長に負けず劣らずで菜弥美先輩も美人で恥ずかしそうにしている表情がたまらん!!
モブオが言っていた通り、本人に自覚さえ有れば学園のアイドルになること間違い無しだぜ!! ここは一つこんな返しをしたらどうなる?
「す、スミマセン菜弥美先輩!! イヤ〜先輩があまりにも美人さんなので、ついつい見とれてしまいましたよ~!」
よしっ!!
この『返し』で良いよな?
これで少し和んだところからの楽しいトークの始まりだ。
「びっ、びぃっ、美人ですと――――――ッ!? ひっ、ひとぉ、一矢君、なぁ、何て事を言うんだ!? 私が美人なハズ無いじゃない!! じょ、冗談はキミの『普通さ加減』だけにしてくれないか!?」
あちゃ~『返し』方をミスっちまったよ――――――ッ!!
それと俺の『普通さ加減』は冗談じゃねぇし!!
そ、それに左隣に座っているテルマ先輩から凄く熱い視線を感じるんだが……
「テ、テルマ先輩、どうかされましたか!?」
「べ、別に何でも無いわよ。な、菜弥美が一矢君に……び、『美人』って言われたからって、羨ましいとか全然思っていないんだからね!!」
なぁっ、何なんだーッ、この世界一キュートな『ツンデレ』さんはっ!!
「テッ、テルマ先輩何を言ってるんですか!? 俺はテルマ先輩が『世界一キュート』だと思っていますよ!! あまりテルマ先輩の事をジロジロ見たら、またテルマ先輩に『ジロジロ見ないでよっ!』って怒られそうだから見ないだけで……でも俺はテルマ先輩を学園内で見かけたり、こうして話をしてる時には常にチラ見をしているんですよ~」
よしっ、今の『返し』は完璧だな!?
「キュッ、キユ、キュート!!? それも世界一ですって!? 一矢君っ、それは言い過ぎじゃないかしら!? 私はただのチビで金髪で色白なだけの女だし……でもキュッ、キュートだなんて……それに、いつも私の事をチラ見していただなんて……一矢君、キミは『普通一の変態さん』だわ!!」
ま、またしても俺は『返し』をミスってしまったのか!?
それと俺が『世界一キュート』って言ったからって、俺の事『普通一の変態さん』って……別に『普通一』はいらねぇだろ!?
そこは『変態さん』だけで良いじゃねぇか!!
いや、それも良くはない!!
でもテルマ先輩って、意外と俺より『返し』が面白いな。
ちょっと俺、勉強やり直そうかな……
「さ、三人共……とても楽しそうで良いなぁ……ボソボソ……」
あ?
し、子龍先輩……そういえば居ましたね?
何か戦いに敗れて、疲れ果てた様な顔してますけど大丈夫ですか!?
っていうか、顔が正面向いてるぞ!!
ま、まさか……治ったのか!?
……んっ?
なんだよ、やっぱ、体は横向いてるのかよっていうか……そんな体勢じゃ……
べっ、弁当食べづらいだろ――――――――――――ッ!!??
――――――――――――――――――――――――
お読みいただきありがとうございました。
次回でこの章は最終話となります。
どうぞお楽しみに(^_-)-☆
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