第23話 超セクシー美女
「二人とも大丈夫ですか!? 何をそんなに怯えているんですか!?」
それに子龍先輩?
怯えている時の顔の向きはちゃんと真っすぐなんですね!?
テルマ先輩はしゃがむと余計に小さくなって……まるで『巣の中で子猫がお母さんの帰りを待っているが、外から人間の声が聞こえたので息を潜めて隠れている』ような感じだな。
えっ、例えが長いって?
それじゃあ簡単に言うと『連れて帰りたくなるくらい可愛い』って事だ!!
「ひ、一矢君……今、菜弥美が言ってたでしょ? 『あの顧問』が帰って来るのよ。私は前から『あの顧問』がとっても苦手なの。『あの顧問』の顔を思い浮かべただけで拒絶反応が出てくるというか……実は私のママによく似ていてね、私、ママも苦手でさ……見た目も話し方もソックリで嫌なのよ。だから『あの顧問』には会いたく無くて……」
テルマ先輩はお母さんが苦手で、その顧問もお母さん似ていると?
何だか複雑な話を聞いた気がするぞ。
「ぼ、僕もなんだ。『あの顧問』は人の顔を見るなり、色々と言われたくない事をズケズケと言うんだよ。部活にはたまにしか顔を出さないから僕は部活続いてるけど、『あの顧問』が来るまでは部員は数十名いたんだよ。それがほとんどの子が『あの顧問』が嫌で辞めちゃったくらいだかし……だからこの体の震えは、またキツイ事を言われるんじゃないかという『恐怖』から震えているのさ……ガクブルッ……」
しかし二人ともさっきから『あの顧問』っていうワード言いまくりだな!?
『あの顧問』って、一体どんな人なんだろう??
ってか、この学園にはそんなに多くのネガティブな人達がいたのかよ!?
そっちの方が驚きだよ。一体、どんな学園だ!?
「ちょ、ちょっと一矢~!? さっきのメールの話、まだ終わってないんですけど!!」
「へっ?」
「へっ? じゃないわよ!! 私ともちゃんとメアド交換してよね!? じゃないと私、一矢は本当は私と友達になりたくないけど、『ネガティ部』に入部させたいから仕方無しに友達を演じている『なんか腹黒で凄い普通の子』だて思うわよ!!」
「な、何じゃそりゃ!? それに納得していない俺の異名に『腹黒』の追加までしないでくれるかな!? わ、わかったよ……後でちゃんとアドレス交換するから……」
しかし、半分は当たっているだけに胸が痛いな。
「あのぉ、一矢君……ちょっとよろしいでしょうか?」
「えっ、美代部長まで何ですか?」
「少しお聞きしたい事がありまして……毎晩一矢君に送らせていただいている、私の自撮り写メはいかがでしょうか? 変じゃないですか? もし変だったら私、整形手術をしてでも一矢君が絶対に気に入る様な顔にしようかと……」
「っ!! いやいやいや!! 美代部長! 全ッ然変じゃないですから!! それどころかオカ……いや、凄く癒されてますし、一日の疲れが一瞬で吹っ飛ぶって感じですよ~!! ハッ、ハハ……ハハハ……」
「みっ、美代部長、一矢君に自撮り写メを毎晩送ってるんですか!? それで、一矢君はその写メで癒されていると……??」
「こ、今度は菜弥美先輩まで参戦ですかっ!?」
「一矢君!! 私も今度、自撮り写メを送ってみるから感想を聞かせてくれないかい? ただ、感想次第では私の悩み事がまた増えるかもしれないので、そのへんは十分に気を付けてほしいけど……」
なっ、何という注文だよ!?
感想は欲しいが内容はよく考えろと!?
はああぁぁぁぁ……
でも、菜弥美先輩の自撮り写メもなかなか良いんじゃないのか!?
これはこれで楽しみが増えたよな。
「オイオイオイ! 今のはちょっと聞き捨てならないんだけど!!」
なっ、何だ!?
あれだけ部室の片隅で怯えていた二人がいきなり何だよ!?
テルマ先輩は可愛いから良いけど、子龍先輩、あんたは関係ないだろ!!
「一矢君……わ、私も個人メールしても良いかな? 特に大した事は書けないけど……その……私だけがメールをしていないのは何かイヤなの」
テ、テルマ先輩、恥ずかしそうにしながら俺に話しているその表情、マジで可愛過ぎるぞ――――――っっ!!
マジ、我が家で飼いたいくらいだ!!
まぁ、それを言えばその可愛らしい小さな手で絶対にぶん殴られるだろうな。
「ひ、一矢君!!」
「ハイハイ、子龍先輩は普通にメールをしてくれれば良いんで」
「えっ? 普通で良いのかい??」
「はい、普通でお願いします! っていうか絶対普通で!!」
「あ、あぁ……分かったよぉぉ……」
子龍先輩、何残念そうな顔をしているんですか!?
ってか、もし『普通』じゃなかったら一体どんなメールをするつもりだったんだ!? 考えただけでも恐ろしすぎるぜ!
絶対、子龍先輩には『変な感情』だけは芽生えさせない様にしなくては……
もしかしたらこれからの俺の『メインテーマ』になるんじゃないのか!?
フッ、アホらしいぜ……
コツン コツン コツン
ん!? 何か足音が聞こえるけど、もしかして……
「あ、あの足音は顧問の『ルイルイ』の足音ですわ!!」
「『ルイルイ』!? 美代部長、『ルイルイ』って何ですか?」
「は、はい……『ルイルイ』というのは顧問の呼び名でして、本人がどうしても自分の事をそう呼ぶようにと言われるんです。皆、顧問の事をそう呼ぶのは凄く抵抗があったのですが、ようやく最近慣れてきたところです……」
はあぁぁ……また突っ込み甲斐のある人の登場ですか?
自分の事を部員達にわざわざ『ルイルイ』と呼ばせる顧問なんて世界中どこを探してもいるわけないよな!?
ガラ、ガラガラッ!!
・・・・・・
!!??
なっ、何だ、この人は!?
明るい系茶髪のパーマがかったロングヘアー……スタイル抜群のうえにピンク系のスーツで超ミニスカート……瞳の色が綺麗な薄いグリーン、カラコンかな? それに顎のほくろが更に色っぽさを増している感じのめちゃくちヤ美人じゃないか!?
この人が顧問の『ルイルイ』……
ネガティ部は顧問であっても、『美女』しか受け付けないのかよ!?
そして、その『美女』が俺達に向かって口を開く。
「よ~っ!! 根暗で陰気なうじ虫共、相変わらず湿気た面をしているな!! 私がいない間でもちゃんと生きていた様だな――――――っ!!??」
・・・・・・!?
え、え―――っ!!??
『ルイルイ』……なっ、何が『ルイルイ』だよ!?
あっ、あんた、めちゃくちゃ美人のクセにさぁ……
口が悪過ぎるだろ―――――――――――ッッ!!!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます