『ネガティ部!』~美男美女ばかりなのに普通?の俺が入部しても大丈夫なのか!?~

NOV

第1章 ネガティ部の仲間達編

第1話 普通の少年

 4月……俺、布津野一矢ふつのひとやは晴れて高校生となった。


 1つだけ言っておくけど、決して俺の名前を聞いた途端、大阪弁で「普通の人やん」なんて言わないでくれよ!?


 ただ俺が普通の人とっていうのは間違いでは無い。


 運動はちょっと苦手な方だけど勉強は普通のレベルだし、顔の方は……うーん、俺としては中の上と言いたいところだけど、まぁ顔も普通ということにしておこう。


 いずれにしても俺は昔から「普通の人やん」ってからかわれるのがめちゃくちゃ嫌で「普通」っていうワードだけでも身体がピクッとなってしまうほどなんだ。


 だから昔から友達にからかわれる度にこんなふざけた名前をつけた両親を恨んだもりもしたよなぁ……でも恨んでいるのは名づけの件だけで両親のことは基本的に尊敬しているんだけども。


 まぁ、今はそんなことどうでもよくて、今日から俺の通う高校の名前の方こそ何か突っ込んでもらいたいものだ。


 そう、俺が通う高校の名前は何を隠そう『私立名染伊太学園』という。


 え? 学園の名前がよく分からないって?


 うん、期待通りの質問だな。


 学園の名前は『なぞめいたがくえん』という。普通は『なぞめいた』と聞けば『謎めいた』っていう文字が浮かぶよな?


 俺もそうだったし……何でそんなよく分からない学校名なんだろうと考えたものさ。でも考えたって仕方が無いし時間の無駄だから途中で考えるは止めた。


 それよりも俺はこれからこの学園で理想の学園生活をおくる為にどうするべきかを考える事にしたんだ。


 理想の学園生活……


 それは勿論、ラブコメアニメの様な面白おかしい学園生活。そしてその中で可愛い女子と出会い、そして恋が芽生え……


 ウウッ!! 想像しただけで鼻血が出そうだぜ。


 小中と女子にモテたことが一度も無かった俺……いいなぁと思った女子に告白なんてできる程、根性も無かった俺だったけどな。まぁ、フラれたら凹んで立ち直れない自信があったから余計に告白できなかったんだが……


 もう1つだけ言わせてもらうが、別に俺は俗にいう陰キャ男子ではない。友達も多かったし、女子とだって普通には話せるんだ。でも一歩先に踏み込む勇気がなかっただけなんだ。


 でも今度こそ、この学園で俺は理想の女子と出会って、そして告白して付き合えるようになりたいという思いが有る。幸い、この学園には中学までの俺を知っている奴はほとんどいない。


 だから俺がこの学園で積極的に女子に声をかけてもそういうキャラだと認識してもらえやすいとは思う。あとは俺自身の問題だ。俺のクセを控えるようにしないといけないよな?


 俺のクセ……クセというよりは得意な事と言った方が正しいかもな。

 でもその得意な事が恋愛に関しては邪魔をする可能性があるのでこれから十分に気を付けないといけないな。


――――――――――――――――――――――――


 無事に入学式も終わり、教室での担任の挨拶やこれからの学園生活についての説明も終わった。一緒に来た母さんはこのまま保護者説明会があるのでそのまま教室に残らないといけないので俺は一人で学園内を見学することにした。


 学園は校舎の内外共に大賑わいになっていた。上級生達が自分達の部活に新入生を必死に勧誘しているのだ。


 さすが入学初日、色んな部活の先輩達が勧誘をしているぞ。


 野球部、サッカー部、テニス部、水泳部、卓球部……どの運動部もとても華やかに見えますなぁ……


 ただ、残念ながら俺は運動はちょっと苦手だから運動部は最初からパスをする。

 特に球技は昔から全然ダメなんだよ。


 マジで、あんな丸いものを自由自在に操る奴はホント尊敬するよ!!


 ゴメン、俺は見栄を張っていた。運動はちょっと苦手だと言ったけど本当はめちゃくちゃ苦手なんだ。俺は走るのも遅いし、力も全然無いんだよなぁ……だから女子にモテなかったのかもしれないと今頃になって思ってしまう……ただ意外と『年下』だけにはモテていたんだぞ。


 小学生の頃は幼稚園児に、中学生の頃は小学生に……

 はいはい、そうですね。これってモテているとは言えませんよねぇ……フンだ。


『じゃあお前は何の特技も特徴もない普通の人以下か?』と思ったかもしれないけど、実はこんな俺でも2つだけ得意な事があるんだ。


 聞きたいだろ? え、聞きたくないって?

 いやお願いします。是非、聞いてください!!


 ま、まず1つ目に俺は絵を描くのが得意なんだ。

 以外だろ?

 

 こう見えて俺は小学生の頃や中学生の頃に絵のコンクールでよく賞をとったものだ。佳作、努力賞、奨励賞、特別賞……


 ……はいはい、一度も入賞、金賞、優勝などの一番は取った事は無ですよーだ!!

 ほ、ほっといてくれ!!


 き、気を取り直して、俺が2つ目に得意なもの……これはかなり自信があるぞ!!

 

 それは何かというと……


 『突っ込み』だ!!


 い、意味わかるよな!?

 あの突っ込みの事だぞ!!

 漫才師とかがボケた相手に対して使うあの突っ込みな!!


 俺は大阪生まれでお笑い好きの親父の影響で、小さい頃から漫才や新喜劇などのDVDを観せられて育ってきたんだ。


 だから俺は結構、お笑いにはかなりうるさい男なんだよ!!


 ただ、本当は『ボケ』をやりたかったんだけど、小さい頃の俺は『恥ずかしがり屋』だったからなのかどうか未だによく分からないけどボケが浮かんで言おうとしても全然口に出してボケる事が出来なかったんだ。


 結局、俺より先にボケてくる友達、それも大して面白くもないボケに対して思わず突っ込みを入れてしまう日々の繰り返し……


 何故か『突っ込み』をする時だけは恥ずかしだも無く自然に突っ込めたんだよなぁ……


 で、そうこうしている内に俺はいつの間にか自称『突っ込みマスター』になったという訳だ。


 という事で、早い話、俺は運動部には全然興味が無いって事なのさ。

 だから必然的に文化部の方に気持ちは行ってしまう。


 別に3年間『帰宅部』でも構わないんだけど、クラスの女子だけでなく部活内での出会いっていうのもなんか素敵だしなぁ……

 

 それに入学前、「この学園はユニークな文化部が多いから色々と見学してみろ」って学園OBでもある親父から言われていたので、俺は文化部が活動しているという『本館』から少し離れた場所の『別館』へと向かっている。


――――――――――――――――――――――――


 ほぉぉぉおお!!??

 

 こ、これが文化部が活動している『別館』かぁ!?

 

 それにしても本館と違って、別館はなんと歴史を感じる建物なんだ。

 正直に言えば「古くてボロボロ」……


「何だここは、幽霊屋敷かよ!?」


 いかんいかん、悪いクセが出てしまったぜ。建物に突っ込んでも何も得なんてないからな。それよりも早いとこ『別館』の中に入るとしよう。


 

 どよ〜〜〜〜ん……


 な、何だ!?

 この『どよ〜ん』と言いたくなる様なこの別館内の暗い雰囲気は??


 みんな『部活』の勧誘はしているっぽいけど、なんか全然活気が無いよなぁ……

 ここの人達ってちゃんと部活動しているのか??


 なんか俺が期待していた感じとは雰囲気が違い過ぎてどんどんテンション下がってきたぞ。か、帰ろうかなぁ……3年間『帰宅部』でもいいかなぁ……


 それにバイトも始めるつもりだから部活で出会いを期待しなくてもバイト先で新たな出会いが待っているかもしれないし……


 そう思い俺が帰ろうとすると背後から女子の声が……


「あ、あのぉ……す、すみません……す、少しだけお話させて頂いてもよろしいでしょうか……?」






――――――――――――――――――――――――

お読み頂き有難うございました。

新連載開始です!!

これからどんどん面白くなっていきますので楽しみにしてください。


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