(三)-2

 もうすでに蒲田からいなくなってしまったのかもしれない。長田を含め捜査員の多くの頭にそんなことがよぎった。

 犯人は若い男女というだけで、具体的な容疑者像は全く浮かんでいなかった。その意味で犯人の方を探し出すのは難しかった。だからなんとかして浦上を見つけ出さなくてはならない。

 捜査本部も捜索範囲を広げるかどうか、決断を迫られていた。


 三日目、長田と白石は蒲田駅周辺を見回っていた。人口密集地であり、通勤通学客の多い駅前で一人の人間を探すのはそれはそれで大変であった。警察と怪しまれないようにしなくてはならず、人混みに紛れ込まなければならなかった。

 捜査本部で配布された浦上の顔写真をときどき見て顔を覚えては、街を行き交う人の顔を追った。


(続く)

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