捜査線上の交差点(クロスロード)

【い-14】文学フリマ京都_筑紫榛名

(一)

「大阪府警が? 何しに?」

 捜査会議の終わりに呼ばれた警視庁羽田警察署の刑事・長田おさだ長治ながはるは、一回り年下の捜査本部の本部長・神埼かんざき尚人の言葉にそう返した。

「飛行機の時間までの時間つぶしですか?」

 長田は笑いながらそう言った。

「いえ、事件についての情報交換です」

「何の事件です?」

「大阪で会社員が殺害された事件があったのをご存じですか」

「ええ、十日前くらいでしたか」

「あの事件の担当者だそうです」

「コロシの担当が、オヤジ狩り事件の捜査本部に?」

「マル被はいなほ銀行の社員だったとか」

「そういうつながりか……」

「関係あるかはまだわかりませんが」

 そう言いながら捜査本部が設置された会議室を出る神崎に続いて、長田は会議室を出た。


(続く)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る