第148話 ふざけてる時はあんなに息が合うのに──ッ!!
「俺、カレンちゃんが爆弾を解除出来たら、またハンバーグを作って貰いたいです」
『それぐらいいつでもって、フラグっぽいこと言わないでぇ!?』
「俺、カレンちゃんが爆弾を解除出来たら、ハンバーグを作らせようと思ってます」
『なんで言い直したんですか!? 微妙にわたしの扱い酷くなってるし!』
「ハンバーグ作ってください」
『さてはただのハンバーグ食べたい人ですね!? 爆弾解除とかどうでもよくなってませんか!?』
「そんなことないですよ。ちゃんと真剣にやってますって。ほら、ちゃんとマニュアル読んでますし。え~と、次は……、そろそろ諦めるパートですかね」
『ねぇえ!? 諦めるって何!? 解除は!? このままだと爆発しちゃいますよ!?』
「そう言いますけど、もう時間無いですよね?」
『まだ20秒ありますよ!?』
「はっはっは。最後に残された祈りの時間ってとこですかね」
『笑いながら言うことじゃないーッ!!!!!! あ』
「爆発しました?」
『なんでちょっと嬉しそうなの!?』
「やっぱりこういうのって1回ぐらいは爆発させておきたいじゃないですか」
『爆発させて楽しむゲームじゃないですから!!』
「? でも、カレンちゃんでは遊べてますよ?」
『カレンちゃん『では』!? 今、カレンちゃん『では』って言いました!?』
「ちょっとうまく舌が回ってなかったですね。カレンちゃん『でも』遊べてますよ?」
『ねぇえ!? さっきからわたしの扱い酷くないですか!?』
「? 通常運転じゃないですか?」
『確かに!! って、納得しちゃダメだよ、わたし!?』
「ノリツッコミまで使いこなせるなんて、もうカレンちゃんに教えることは何も無いですね」
『なんで師匠キャラみたいなんですか!? というか、アズマさんに教わることなんてないですから!!』
「じゃあ、爆弾解除の方法を教えるのもやめますね」
『それは違う!! このゲームの遊び方知ってます!?』
「もちろん。カレンちゃん『で』遊ぶんですよね?」
『違うよね? 違いますよね? それだけは絶対に違いますよね!?』
「師匠に楯突くとは、生意気な弟子ですね」
『だって間違ってますから』
「何がですか?」
『アズマさんがわたしで遊ぶのは、このゲームだけじゃないです!!』
「──ッ!? 確かに──ッ!! そこに気づくとは、やりますねカレンちゃん!!!! これは免許皆伝ものです!! 素晴らしい!!」
『嬉しくないよぉ……。こんな褒められ方、全然嬉しくないよぉ……』
「まあまあ、カレンちゃんが作ってくれるハンバーグを分けてあげますから」
『それもおかしいですよね!? なんで自分で作った料理を人から分け与えられるんですか!?』
「いらないんですか? めちゃくちゃ美味しいハンバーグなんですけど……」
『褒められてるのか、弄ばれてるのかわかんないー──ッ!!!!!』
「ということで、爆弾解除の方法なんですが……」
『この流れでゲームに戻れると思ってるんですか!?』
「俺は結構満足したんですが、まだ遊ばれたいんですか?」
『遊ばれたい!? なんでわたしが求めてる風なんですか!?』
「とうとうカレ虐られることに悦びを見出したのかと」
『見出しません!!』
「と言いつつ、構って貰えることは嬉しいカレンちゃんなのでした」
『~~~~~ッ!!!!! ──ッ、爆弾解除しますよ!!!!!』
「あ、ちなみに」
『なんですか? 早く指示をください』
「今回の爆弾解除を何回目で解除できるかで、次の愛してるよゲームの順番を決めるそうです」
『なんで今言うんですか!? もう1回失敗しちゃったじゃないですか!?』
「これで他の3人が1回で解除したら、カレンちゃんが大トリですね」
『ねぇえ!? だから何で言ってくれなかったんですか!?』
「俺には関係ないから忘れてました。何しろ4回やるので」
『それはそうですけどぉ……。嫌ですよ、一番最後なんて……』
「大トリはやっぱり嫌なんですか?」
『それもありますけど、誰かの後『愛してる』って言うのは、なんかヤです……。一番目は、わたしがいいです……』
「カレンちゃん……」
『あ、や、何でもないです!! 今のは聞かなかったことにしてください!! 早く爆弾解除を始めましょう!!』
「今までふざけてたとは思えないほどの、破壊力のあるヒロインムーブでしたね」
『ふざけてたのはアズマさんですよね!?』
「《え、なんだって》?」
『使いどころ違いません!? 普通はヒロインのデレを誤魔化すときに使いません!?』
「ほう。つまりさっきのカレンちゃんはデレていたと。そういうことですね?」
『違うから!! デレとか、そういうのじゃないから!!』
「だって今……」
『いいからもう! 早く、スタートボタン押してください!!』
「はいはい」
ということで、改めて爆弾解除スタート。
役割はさっきと同じ通りで、カレンちゃんが爆弾を解除する役で、俺がマニュアルを読んでカレンちゃんに指示を出す役。
ゲームのルール事態も単純だ。
爆弾を解除する役の人が、爆弾についているボタンや配線を伝えて、マニュアル役の人がそれをヒントにマニュアルに書いてある解除手段を伝えて、協力して爆弾を解除していく。
本当にゲームのルール事態はシンプルでわかりやすい。なんだけど……。
『四角があります!』
「四角がある……? えっと、いくつありますか?」
『四角は1個で、あと丸があります』
「四角が1個で丸がある……? え、何?」
そんな項目マニュアルには書いてないぞ……?
そもそも四角なんて項目ないし、でも丸があるってことは、これか……?
「丸は丸いボタンってことですか?」
『? 違いますよ?』
「え、違うんですか……? 丸い大きなボタンがあるんじゃなくて……?」
『丸い大きいボタン……? アズマさん何言ってるんですか?』
「それは俺のセリフなんですが!?」
とまあ、どんな爆弾になってるかを伝えて来てるはずのカレンちゃんが、何を言ってるのか全然わからないというね。
『だから四角があるんですよ。で、あと丸と、星と、なんかウニョウニョしたマーク』
「四角と丸と星とウニョウニョしたマーク……? あ、ボタンが四つあるってことですか?」
『そうそうそう! そうです!』
「だったらそれを先に言ってくださいよ!」
『言いましたよぉ! 四角と丸と星とウニョウニョしたマークって!!』
「そうなんですけど、そうじゃないです!! えっと、そうすると……。どこかにシリアルナンバーって書いてないですか?」
『ないです!』
「え、ない!? え、本当……? 待ってマニュアルにそんな項目。あ、カレンちゃん。爆弾を傾けたりしてみてください」
『え、動かしたら爆発しないですか!?』
「しないです。しないですから、爆弾の側面とかになんか番号が書いてないですか? 数字とかアルファベットとかで」
『そんなのないですよ?』
「えぇ……?」
『あ、ありました!』
「あるんかい!?」
『底にあるなら底にあるって言ってくださいよ~』
「そこって、え、どこ……?」
『底です底』
「そこって……、あ、『底』ね!?」
『だから底って言ってるじゃないですか!』
「わかりませんって! 発音同じなんですよ!?」
『えっと、それでこの番号を教えればいいんですか?』
「はい。教えてください」
『7199SA5です!』
「7199SA5……。えっと、偶数が混じってないから……。あ、OKです。さっきのボタンに戻ってください」
『戻りました!』
「丸を2回押してください」
『押しました! ブーって鳴りましたよ!?』
「なんで!? え、ボタンですよね?」
『はい。丸いボタンです。『押すな』って書いてある青いやつ』
「押すなって書いてある青いやつ……? え、さっきの四角とか丸とか星のやつじゃなくて……?」
『あ、そっち!?』
「さっきのボタンって言いましたよね!?」
『丸いボタンって言うからこっちかと思いました。もう、それならそれでちゃんと言ってください!!』
「言いましたよ!?」
『あ、ちなみにアズマさん』
「はいはい」
『あと、30秒です』
「残り10秒で祈りの時間に入るんですね」
『諦めないで!?』
「諦めて次に望みを託すって言うのも有りだと思うんです」
『そんなのカッコよくない!! ヒロインを見捨てるんですか!?』
「昔からバカは救えないって言いますし」
『わたしのことバカって言ったぁ!? あ』
「爆発しました?」
『今度は嬉しそうじゃないですね』
「まあ、2回目ですし」
『もう飽きてるんですか!?』
「いいえ。これから先のトライアンドエラーを思って、気が遠くなってるだけです」
『大丈夫ですよ! 次はバッチリ解除しちゃいますから!!』
はいはいフラグフラグ、と思った通り、結局カレンちゃんが爆弾を解除するには、それから14回ほどのチャレンジが必要だったとさ。
『愛してるは最初に言いたかったのに……』
「まあまあ。他の3人がもっと時間かかるかもしれませんから」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます