第29話 てぇてぇはVTuberの醍醐味だよね!!
『ということで~、最終戦でクラウンを獲った~、《全てがエロになる》のインタビュータイムの始まり~』
『勝因は私考案のチーム名よ』
『最終戦以外でクラウン獲れなかった原因はそれか』
「明らかなデバフでしたよね」
『エロを力に変えられないなんて、あんたたちそれでも童貞なの?』
『ツッコミにくいこと言うなぁ!?』
「ナーちゃんって無敵ですか!?」
『今回は~、新人もいるって聞いていたので~、チームの雰囲気とかどうかな~って思ってたんだけど~、仲がいいみたいですね~』
『うむ。チームそれぞれの雰囲気がよければ大会も盛り上がる。やはり皆が楽しんでプレイ出来ることが肝要だ』
お~、さすが《企画屋》のぴょんこさんと袈裟坊主さん。言うことが違うな。
『そうだね。最終戦のクラウンも2人とだから獲れたし。最高のチームだったよ』
『あら、急に褒めるじゃない』
「あざまるうぃーす!!」
『あ~、それ~。戦ってる時も何回か言ってたよね~』
『口癖か?』
「口癖って言うか、挨拶ですね。配信終わるときとか、大体これでしめます」
『なんか元気になるから~、いいな~って思ったよ~』
「マジですか!? ぴょんこさんもいつか使っちゃいます!?」
『あ~、私はいいかな~』
「今いいなって言ってたのに!? 使ってくださいよ~」
『じゃあ~、君たちのチームが優勝してたら使ってあげるよ~』
「ぜひ!! 絶対約束ですよ!!」
『わかったよ~』
よっしゃ!! この後の結果発表が楽しみだ!!
『なかなかに元気がある新人ではないか』
『だからいいんだよ。大抵の人だとナキア先生についていけないから』
『あら、含みのある言い方ね』
『仕方あるまい。安芸ナキアを《ナーちゃん》と呼べる新人が他にいるはずもないからな』
『あ~、それめっちゃ気になってたの~!! アズマさんって~、ナキちゃんのこと《ナーちゃん》って呼んでるよね~?』
「あ、はい。そうですね。顔合わせの時にそう呼んで欲しいって言われたので」
『言われたからって呼ぶ人も早々いないよ~』
『何しろ相手が安芸ナキアだからな』
あ、あれ?
なんか話の方向が……。大会のインタビューじゃないの?
『ナキちゃんって圧が強いでしょ~? 怖がる人の方が多いんだよ~?』
『ちょっとぴょんこ! どういうことよ、それ。聞き捨てならないわね!!』
『こういうところだな』
『あんたは黙ってなさいよ、クソ坊主』
『ナキア先生。口調口調。そういうこと言うから圧強いって言われるんだよ?』
『チィッ!!』
いやいや舌打ちって……。
今、結構な同接人数いるけど!?
『新人君は~、ナキちゃんのこと怖くなかったの~?』
「俺はあんまりそういうのなかったですね。裏でも結構お話させていただきましたし、イラストをプレゼントしてくれたりもしましたし」
『ズマっちはそれは秘密って言ったでしょ!?』
『今の本当なの~ッ!?!?!?』
「え、ああ。はい。すみません、これって言っちゃいけないやつでしたか?」
確かにヤバいかも。
大人気イラストレーター安芸ナキアからイラストをプレゼントされたなんて、ファンからすれば『あいつだけズルい!!』ってなるだろうし……。
あ、ヤバ!? 炎上する!?
『逆だよ~。どんどん言っていっていいよ~。むしろどんどん言っていこう~』
『ぴょんこ余計なこと言うんじゃないわよ』
『え~、余計なことって何~? ナキちゃんが~、本っっっ当に~、気に入った相手にしか~、イラストをプレゼントしないこととか~~~~~~~?』
『ぴょんこッ!?!?!? ちょ、あんた何言って──ッ』
『え、ナキア先生もしかして』
『フメツ。誇っていいぞ。お主は新たなてぇてぇを発掘した』
『黙れって言ってんでしょうが、クソ坊主──ッ!! ちがっ、違うから!!』
『いや~、大会の最後にいいもの見つけちゃったな~。新人君~、今度コラボしようね~。色々と聞きたい話が出来ちゃったし~』
『ズマっち!! 絶対に断りなさい!!』
『へぇ~~~。ナキちゃんってば~、《ズマっち》って呼んでるんだ~~~~。仲いいんだね~~~~~~~~??????』
いやいやいや煽り方よ。ぴょんこさんのテンション上がり過ぎでしょ。
『だから違うって言ってるでしょう!? そ、そういうんじゃないんだからっ!!』
すっご。無敵だと思ってたナーちゃんが死ぬほどイジリ倒されてる。
ていうか、これこのあとどうすんだよ。めっちゃやりにくくならない!?
だって、ほら! コメント欄もすごいことになってるよ!?
『てぇてぇ』
『てぇてぇなぁ』
『これはてぇてぇ』
『てぇてぇしか勝たん』
『てぇてぇの間に挟まるフメツ草』
あ、戸羽ニキにまで飛び火してる。
『思わず新たなてぇてぇに盛り上がってしまったが、そろそろ時間だ』
『え~、もう~? もうちょっとインタビューの時間長めにすればよかったな~』
『早く! 早く終わりましょう!!』
これはナーちゃんに同意。
さすがに、さすがにこの空気にい続けるのはしんどいものがある……。
てぇてぇって、言うのは楽しいけど、言われると何ていうか、普通に恥ずかしいし照れ臭い……。
『最後に一言ずつ感想を述べて貰うとするか』
『じゃあ~、ナキちゃんから~』
『もう帰りたい!!』
『後で連絡するね~。次~、新人君~』
「あ、はい。そうですね。まだデビューして二か月ちょいなんですけど、こんな大きな大会に参加させて貰って、誘ってくれた戸羽ニキと一緒に参加してくれたナーちゃんには感謝です。あと、個人的には最終戦で目標にしてたミチエーリさんに勝てたのが、めちゃくちゃ嬉しかったです!!」
『ミチェちゃんね~。今回も強かったよね~。了解~。じゃあ、最後にフメフメ~』
『我ながら尖ったチームメンバーだと思ったんだけど、だからこそ逆にちゃんと言いたいことが言い合えるメンバーだったなって思うんだよね。今日も二戦目が終わった後に上手く噛み合ってないところを話し合って修正して、そのおかげで最後にクラウンを獲れたんだよね。うまく言えないけど、最高に楽しいチームでした! ただ、まさか僕がてぇてぇに挟まれてたとは思わなかったけど』
『ちょっとフメツッ!!』
『はい~、ということで~《全てがエロになる》でした~。それじゃあ~、この後は最終結果の発表になるので~、みなさん少しだけお待ちくださいね~』
『再開は5分後となる。各人、待機のほど頼む』
さてと、最終結果も気になるけど、それ以上に気になるのは……。
『──カシュッ』
「ちょっと待ってください。誰か酒を飲んでません!?」
『はぁ? 悪い?』
「ナーちゃん!?」
わかるけど! その気持ちはわかるけど!!
『あはは。じゃあ、このまま打ち上げ始めちゃおうか』
「戸羽ニキまで。いいんですか!?」
『大丈夫だよ。だってもう配信枠も閉じてるでしょ?』
「確かにそうですけど。まだ、結果発表とかあるじゃないですか」
『何みみっちぅことを気にしてるのよ。ほら、早くしなさいよ』
『僕は準備OK』
「はや!? ちょっと待ってください!!」
慌てるって、そんなの。
でもよかったぁ、打ち上げやるかもって杞憂してビールを買っておいて。
「お待たせしました」
『待ちなさい。今、あけるわ』
「さっきあけてましたよね!? もう二本目ですか!?」
『文句あるのかしら?』
「……。好きに飲んでください」
やさぐれ過ぎじゃない?
あれだけいじられたらそうなるのもわかるけどさぁ。
『それじゃあ、最終戦のクラウンを祝して乾杯ッ!!』
「乾杯」
『もう飲んでるわ』
「そこは空気読みましょうよ」
『っさいわねぇ。私だって楽しくお酒を飲みたいわよ。それをあのウサ耳女がさぁ』
うわぁ、のっけからめんどくさいモードだぁ。勘弁してくれ……。
『あ、最終結果出たね』
「戸羽ニキはマイペース過ぎません?」
『アズマさんの付き合いがいいんだよ。うわー、チーム総合3位かぁ。惜しかったなぁ』
「1位が埼京さんのところですね」
『うん。雄のことが4位だから、一勝一敗って感じだね。クソー、勝ちたかったー』
うっわ、ていうかポイント差がエグい!!
順位こそ僅差だけど、埼京さんのチームにダブルスコア差つけられてるじゃん。
『あー、まあそうだよね。個人最強はそうなるよね』
「さすがミチエーリさんって感じですね」
続く個人最強の発表で、それだけのポイント差をつけられた理由が判明した。
とにかくミチエーリさんのキル数がとんでもない。
誰かが彼女のことを戦車って言ってたけど、その理由がよくわかる。
あの人だけ別のゲームやってないか?
『2位がナキア先生で、僕が11位か』
「俺は7位ですね」
『あ、本当だ!! アズマさんも上位に食い込んでるじゃん!!』
「これでチャンネル登録者数も増えてくれるといいんですけどね」
『それは大丈夫だと思うよ。VTuberリスナーって、てぇてぇが好きな人って多いし』
「そっちですか!?」
『あはは、冗談。ところでアズマさん。あとナキア先生も』
「はい?」
『何よ』
『この後って時間ある?』
「はい。特に予定はないです」
『私もいいわよ。明日からはまた締め切りに追われるけど』
『じゃあ、OKって送っちゃうね』
え、何? 何の話?
『30分後から大会の打ち上げ配信やるよ。ツルギと雄のチームも一緒に』
はい!?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます