柱 膨張
「くそ……!取り込まれた……!何とかしてこの管から出ないと最悪汚染されて終了だ……!」
僕は柱に取り込まれた後も必死に管を破ろうと剣を突き刺したり、振り下ろしたりしてみた。
しかし、管はヌルヌルしているしすぐに回復する。それこそ出る隙さえない。
「どうなってやがる……!この管……!中心に近いってことか……!段々と変な空気で満ちてきてる気がする……。ここで諦めたらハルくんとの約束が……!くそ……!」
しかし、そこで僕は思いついた。
「この管も完全に無敵ではない……一瞬の隙を狙ってコアを狙えば……!」
そう、コアは見えているのだ。右斜め上に。
「あそこさえ狙えればいいんだ……。」
僕は手にハルくんから貰ったマルタの剣と飛行剣を持つ。
「まずはこれを刺しこんで……!そこから……喰ら……うっ……!」
「ほーれ。時間切れじゃぞー?」
その声とともに上から紫色の液体が流れ落ちてくる。
「くっそ……!こうなったら少しでも粘るしか……。」
僕はすぐさま念力剣を使って液体の一時停止を図ろうとする。
しかし、その瞬間に液体は頭上から消えていた。
「下か!?いや。違う……。どこだ……?」
そうしているうちに横からドロドロという音がしていた。
「しまった……!くそ!キューブだけでも……。」
しかし、液体はすぐさま僕を飲み込んでしまった。
その後しばらく気を失っていた。
「ん……?生きてる……のか?でも、服装も全く違う。真っ黒だ……。」
「そりゃあそうじゃよ……。」
目の前にモゴルパスがいる。前までの僕なら今すぐにでも刺し殺しに行っただろう。
しかし、なぜだろう。そういう意欲は芽生えてこない。何なら彼の前で僕は
「うむうむ。しっかり液体の効果が適応されておるのぉ?わしからの命令は1つじゃ。」
「何でしょう。ご主人様。」
「ハル達を殺して
「承知いたしました。」
もう、前の自分がどうだったかさえ覚えていない。
何なら前から僕はモゴルパス様の忠実な家来だったのではないか?絶対そうだろう。
「モゴルパス様。武器の方はどうしたら良いでしょうか。」
「貴様の手に持っている物体を使うといい。武器になれと命令すればその場に適した魔具に変化する。」
「承知いたしました。」
そのまま僕は階段を駆けあげる。
奴らはまだそこにいるはずだ。
必ず主人様の命令を達成しなくては。
僕は彼の家来なのだから。
そしてあの冒険者達は彼の敵なのだから。
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