第173話 ちょっとウキウキなダルタス

 騎士学科の同窓会…卒業して以来、初めての参加である。


 いつも招待状だけは届いていたが、特に行きたいとも思わなかったが実は今回だけは、ちょっとだけ…いや、実は楽しみである。


 思えば騎士学科時代は色んな意味でよい修行にはなったが自分の中では黒歴史だった。


 だが、今はそのすべてを払拭する位に幸せなのである。


 それをちょっとばかりしたい気持ちでもある。


 自分を気味悪がった女子たちや蔑んでいたクラスメートに今の幸せをみせつけてやりたい気持ちで何だかワクワクしている。


 自分が公爵家を継ぎ、将軍の任に着き大出世をした時もそんな気持ちには全くならなかった。

 思えば、心は本当には満ち足りてなかったのかもしれない。


 皆は驚くだろうな…。


 そう考えてふっと一人笑みをもらす。


 『我が妻、ルミアーナは学園にいたどんな女子よりも可愛くて綺麗で…しかも強い!』


 多分、同期生の男共全員にも勝っちゃうんじゃないだろうか?

 女子ではまず敵うものはいないだろう。


 ルミアーナは、華奢で可愛らしい見た目と裏腹に城の騎士団長ですら、負かすほどの強者である。

 体術に至っては、最近は自分ですら立ち合いをすると三回に一回は投げ飛ばされている。


 その後、大概、自分のほうが、寝技にもちこみそのまま押し倒してしまうのだが…

 あ…いやいや…こほん。


 それは、ともかく…剣技はまだまだ自分の方が数段上だが、そこらへんの騎士には引けをとるまい。


 しかもしかもルミアーナは自分の事が本当に本当に好きでたまらないのだ。


 昨日も、自分と部下たちの為にと手作りの菓子を職場にまで差し入れてくれた。


 部下たちも俺の事が羨ましくて仕方ないらしい。

 ギリギリと歯軋りの音が聞こえるぐらい、悔しがっているのを感じる。


 そうだろう、そうだろう。

 俺が部下たちでもそう思うわ!はっはっはっ!

 心の中ではあるが高笑いが止まらない!


 ルミアーナは昨日から何やらこの俺に恥をかかせてはいけないと同窓会の会場で着るドレスや乗馬服を何やらリゼラやフォーリーと必死になって選んでいたようだが杞憂だ!


 ルミアーナならどんなシンプルなドレスだろうと誰よりも見事に着こなしてしまう!

 清楚で可憐で…人妻になった今ですら乙女のように清らかな雰囲気は変わらない。


 そんなルミアーナががんばって着飾ったりした日には、もう女神降臨とばかりの美しさに皆ひれふすに違いない。


 まぁ、そう思えばあのクンテの狂いっぷりも仕方がなかったと思えなくもないな。

 あんな奴、死刑でも当然だと思ってしまったが…。


 それにしても、あんな目にあったというのにクンテの減刑まで国王に嘆願したルミアーナはやっぱり本当に優しいと改めて感心する。


 それにしても、こんなにも同窓会を楽しみに思う日がこようとは在学中は夢にも思わなかったというものだ。


 ああ~楽しみだ。

 週末はゆっくり過ごせるように来週の分の仕事まで片付けておこう!

 ルミアーナが、家で待っていてくれると思うだけで仕事にも精が出るというものだ!


 ああ、本当に楽しみである。


 そして、俺はもの凄い勢いで書類仕事を来週の分まで終えて家路につく。

 愛しくて堪らないルミアーナの待つ我が家へ…。

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