第168話 その後
翌日、事の次第をその場にいた貴族達や王太子たちから詳細を聞いた国王は怒り、クンテの身分を剥奪し国外追放の沙汰を出した。
本当はクンテは死刑で侯爵家もろとも取りつぶすと言っていたのをルミアーナが必死で止めたのである。
ルミアーナにしてみれば自分は痣もきれいに消えたしダルタスの変わらぬ想いを聞くこともでき、ますますラブラブハッピーになれたので悪い事ばかりではなかったのだ。
むしろ、あんなに自分の顔が美しいと浸っていたナルシスなクンテにルミアーナの痣がそっくりそのまま移ってしまって(実際には移ったんじゃなくて同じようなのをリュートが敢えて、つけただけなんだけど)この世の終わりみたいに苦しんでいるんだから、これ以上苦しめなくても…と思ったのだ。
そんなルミアーナは今日もダルタスの執務室を訪れていた。
そこには王太子やルーク王子、リゼラも集まって、ちょうど、その件の事後処理について話し合っていたのである。
「ルミアーナ、甘いぞ!ああいう奴は、反省などしない!逆恨みするのがオチだぞ」と王太子が言った。
「あら、貴方さまがそれをおっしゃいますか?」とルミアーナが眉をひそめながら言う。
「うぐっ…わ…私は心底、反省している…すまん…」とだんだん声が小さくなる王太子アクルスである。
以前、ルミアーナを自室に監禁し自分のものにしようとした愚行はそうそう忘れてはもらえないのは仕方がない事だろう。
まぁ、国王様が、しぶしぶ私の嘆願を聞き入れてくれたのも、ある意味、王太子の件があったおかげである。
だけど、王太子の言うように国王様は、逆恨みで何かしでかさないかと、心配して下さっていたようだ。
「まぁ、私自身も気をつけますし…早く改心して痣が取れたらいいですよね?」
あれ?ダルタスと王太子とルークとリゼラが、なぜか生あたたか~い目で私を見るのは…なぜ?
と、思うルミアーナである。
「はぁ、とにかく俺と一緒じゃないときはリゼラをつれていけ!リゼラ、頼むぞ」
「はっ、将軍、お任せください!」とリゼラが元気よく敬礼した。
リゼラは私の結婚を機に正式に国王様やダルタス様の承認を得て私の専属騎士となってくれた。
フォーリーとリゼラはもう私にはなくてなならない人たちである。
「我もいるから心配ない!ダルタス」音もなくいきなりリュートが現れダルタスに声をかける。
「おお、リュート!」ダルタスがにっと笑う。
「あら、リュート、いつの間に!」
「呼ばれずとも自由に出没してよいと主が言ってくれた故」リュートは楽し気である。
「ふふふっ、すっかりダルタス様とリュートは仲良くなっちゃったわよね。昨日の件から」
ルミアーナ以外には何人たりと従わぬ精霊が、なんとダルタスにだけは対等な口利きを許したのである。
国王や王太子さえ差し置いて…。
これにはルーク王子はけっこうへこんだ。
嫉妬の嵐である。
「くっ…なんて羨ましい」
「全くだ」
「ですね」
ルーク王子、王太子アクルス、リゼラは、溜め息をつきつつも精霊様リュートに頭をさげる。
まぁ、こればっかりは仕方ない。
何といっても主ルミアーナの夫の特権のでなのである。
しぶしぶ納得するアクルス王太子とルーク王子だった。
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