第10話 アクルス王太子の後悔
あれほどの姫がいたなんて…。
自分は、何てバカなことをしでかしたのかと
…
それどころか、溢れる笑顔は明るく…頬は桜色に染まり、あのダルタスを前にしても物怖じする様子もなかった。
そして、ダルタス相手に恥じらう様子もたまらなく愛らしかった。
元々、自分の妃候補であったのに…。
本来ならあのはにかんだような笑顔も恥じらいも自分に向けられるべきものだったのに…。
時間を巻き戻せるものならば、アークフィル公爵にダルタスを薦める直前に戻って、あの時の自分を張り倒してやりたい。
あの見合いの後のアークフィル公爵の仕事は憎たらしいほど早かった。
その日のうちに、国王陛下に婚約の儀が整ったとの知らせが早馬で知らされ国王陛下からの祝辞まで受けている。
その夜、私はルミアーナ嬢を諦めきれないと正直に父上と母上に告げてみた。
思っていたような令嬢ではなく出会って見ればまさに夢みたような理想の姫だったと。
ダルタスには悪い(実は悪いなんて思ってない)が王太子という立場を利用してでも彼女を取り返したいと…。
父上母上は、眉間にしわを寄せ、首をふりながら、同時に自分を蔑むような冷たい目をむけてきた。
視線が痛い。
父王は「もう遅いわ!このたわけ者め!」と罵った。
「そもそも、そなたが考えたような不細工で根暗のもやしのような姫ならば、王太子妃争いに残る心配もなく他の令嬢をもつ貴族から命を狙われたりはしなかったであろうが!」と言われた。
全くもって、その通りで、ぐうの音も出なかった。
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