第134話 ローオス帝国皇帝戴冠式

 ローオス帝国戴冠式。

 それは戴冠式用に設けられた皇帝大聖堂で行うのが世界の覇権を握った大帝国建国以来の通例だ。

 聖堂に祀られているのは歴代の皇帝陛下である。


 皇帝大聖堂。

 そこに備え付けられた鐘の音が王都中に響き渡り、世界最高峰のオーケストラによる演奏が厳かに始まる。

 大聖堂に帝国中の貴族がこの一大式、皇帝陛下戴冠式を祝うために集まっていた。

 

 大聖堂の入り口から上座まで伸びる真っ赤な絨毯を一人の皇女が歩く。

 床に引きずるほど長く、豪華絢爛な衣を纏った皇女が。

 全ての貴族、騎士たちが皇女に向かって跪いている。

 

 皇女は上座へととうとうたどり着く。

 上座に立っているのは僕、ガイアである。


 皇女。

 第二皇女はとうとう皇帝陛下の座にたどり着いた。

 皇帝陛下のみに与えられる王冠を被らせるのは僕の仕事だ。

 基本的に戴冠式で王冠を渡すのは、前皇帝陛下が生きていれば皇帝陛下。死んでいる場合は四大公爵家の当主の誰かとなる。

 今回は第二皇女が皇帝陛下になるために最も尽力した僕が戴冠する役目を承っている。

 第二皇女が僕の前に膝をつき、頭を垂れる。


「偉大なるローオス帝国。遥か古代より続く我らが大帝国の……」

 

 僕は言葉に魔力を乗せ、祝辞を告げる。

 そして、祝辞を告げ終えた僕は第二皇女、皇帝陛下に王冠を授ける。

 その後は皇帝陛下立ち上がり、上座へと昇る。

 僕は上座を皇帝陛下に譲るように上座から降り、皇帝陛下に向かって頭を下げる。


「今ここに、私が第23代目皇帝の座を受け継いだここに宣言するわ」

 

 言葉に魔法を込め、皇帝陛下はそう宣言した。

 

 今ここに、世界で初めての女性の皇帝が誕生した。

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