第135話 みんなの会話

「戴冠式おつー」

 

 僕は部屋に入ってきた第二皇女もとい皇帝陛下に向けて軽い言葉を投げかける。


「……それが皇帝に対する態度かしら?」


「え?僕とやる?」


「……やらないわ。あなた一人に帝国が滅ぼされそうだしね」


「うん。そうなるだろうね。帝国全土を氷漬けにすることくらい造作でもないよ」


「……信じられないくらいに恐ろしいわね」

 

 戴冠式のときに聞いていた重々しい服ではなく、ラフな格好をした皇帝陛下は僕の前に置かれているソファに座る。

 皇帝陛下が座った隣には第三皇女の姿もある。

 今、この場には皇帝陛下や第三皇女の他にもアリシアとリーエがいる。

 

「それにしてもあなた……本当になんでもやっているのね。『クロノス』があなたの組織だなんて驚愕よ……それと同時に納得もしたけどね。あの裁判所のことも全部あなたの想定通り、まんまと手のひらで踊ったのね……」


「うん。そうだな」

 

「違うよー!私たちが嵌めたんだよ!」


 話に割り込んできたリーエの言葉。


「んや」

 

 僕はそんなリーエの言葉を否定する。


「そもそもの話。僕の目的を間違えているよ。神殺し。あれの頼みの綱であった神を殺す。これが僕にとって一番重要な目的だから。ほとんど想定通りだよ。僕は君たちの手のひらで踊ってあげただよ」

 

 ……まぁ、第二皇女がいきなり僕に接触してきたりとかのイレギュラーもあったけどね。


「ぶぇぇぇぇぇぇぇ!?」

 

 僕の言葉にリーエは驚愕する。


「待ちなさい。全て想定通り?ならグニギラ連合国のも……?」


「うん。そうだね。僕が裏で動いていたよ」

 

「は?」

 

 平然と答えた僕の言葉にアレシアが食いついてくる。


「そんなに睨まないでよ。どうせ滅びゆく国だったんだから。なんか犠牲者一杯出たけど、ちゃんと国は守ってあげたから良いでしょ?どうせ内戦は起きてたよ。わかっているでしょ?」


「……ぐっ」


 僕の言葉にアレシアは沈黙する。

 彼女もわかっていたのだろう。いずれ内戦が起きるだろうということは。


「待ちなさい。待ちなさい。待ちなさい」

 

 皇帝陛下は身を僕の方へと乗り出してくる。


「……もしかしてだけどあなた……教皇以上に暗躍していないでしょうね?」


「しているに決まっているでしょ?忘れた?僕は世界全土を戦争の渦に巻き込もうと動いてたんだよ?上手くいかないように動いていたとはいえ……上手くいけば世界全土を覆う大戦争が起こせるくらいに暗躍しているよ?」


「……」

 

 僕の言葉に皇帝陛下は絶句する。


「……首輪、必要だよね?」

 

 ずっと沈黙していたミリアが口を開いた。

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