第93話
僕は扉の方へと手をのばす。
コンコン。
扉を素早くノックし、音を響かせる。
「どうぞ」
部屋の中から第二皇女の声が返ってくる。
「失礼します」
僕は部屋の扉を開け、中に入った。
部屋の中には第二皇女がくつろいで待っていた。
「どうだったかしら?」
「任務はしっかりとこなしてきましたよ……いきなり僕がすでに滅びた王国、トイ王国の王族であると聞かされて驚きましたが」
「あはは、ごめんさいね……本当は我が国でちゃんと保護するつもりだったのだけど……途中で見失ってしまって」
「別に構いませんよ。僕は僕ですから」
「そう言ってくれると助かるわ」
「それで、僕がトイ民族の領地の方に出向いている間に何か進展はあったでしょうか?」
「……えぇ」
僕の言葉に第二皇女が頷く。
「あなたが居ない間に状況は大きく変わったわ。ローオス帝国の方はまだ大した変化はないけど、神国メシアで起きた反乱は大きく変わってしまったわ」
「……何があったの?」
「イグニス公爵家が、プロテスタントの支援をはっきりと宣言。すでにいくつかの商会と協力してプロテスタント側に対して支援物資を送ったり、神国メシアに物資が届かないように裏から手を回したりしているわね。……誰かはわからないけど義賊、という存在も暴れているみたいで神国メシアはプロテスタント討伐にかなり苦戦しているみたい……その間に着実と神国メシア包囲網が完成しつつあるわ」
うんうん。
どうやら僕の配下たちはちゃんと動いてくれたようだ。
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